葬儀費用は大きく3つに分けられます。
葬儀一式費用は葬儀本体費用とも言われるように、葬儀費用の総額の半分以上を占めるものになります。病院でお亡くなりになられてからの搬送から始まり、自宅や斎場でのご遺体の安置、お通夜、告別式、火葬などの儀式に必要な、物品や人に関わる費用全てが含まれます。
葬儀一式費用は、パッケージプランとして設定されてあるものが多く、葬儀業者との打ち合わせの際に見積もりとして算出してもらえますから、その段階で葬儀全体の費用がどのくらいかかるのか把握することができます。
通夜振る舞いや、火葬後の精進落としなど、飲食接待費の多くは会食の費用となります。飲食以外にも、参列者にお渡しする返礼品も飲食接待費に含まれます。飲食接待費は、参列者の人数によって大幅に費用が変動しますので、葬儀を行う前に業者から見積を出してもらうことができますが、あくまでも想定した参列者の数での概算になります。
日本の葬儀の多くが仏式で行われるため、ここでは仏式の場合にかかる費用について説明します。寺院費用は葬儀業者を通じて支払うものではなく、僧侶に直接支払いを行います。読経の費用、戒名料、僧侶への感謝のお布施が寺院費用に含まれますが、この他にも僧侶が会場や自宅に来るまでの”お車代”などもこれに含まれます。
費用の総額は、葬儀を執り行う者と僧侶の関係性によって価格が変わってきますので、葬儀業者から見積が出ることはあまりありませんが、葬儀業者が住職を紹介した場合については、見積もりを出してもらうことができる場合があります。
葬儀費用の全国平均は195.7万円(財団法人 日本消費者協会の2017年度アンケート調査)とされており、費用の大半を占める葬儀一式費用は121.4万円。飲食接待費が、30.6万円。寺院費用は47.3万円となっています。
葬儀一式費用や、寺院費用は、地域によってそれほど差がないのに対して、飲食接待費は地域によって大きく差が出ているようです。
一般的な葬儀の費用は、どのような内訳になるのか各項目について説明します。
病院からご遺体を自宅や斎場に搬送する時に手配する車の費用になります。通常は定額で葬儀の費用に含まれていますが、搬送距離が長い場合は、距離に応じて追加の料金が発生します。延長の場合は10kmごとに料金が加算されるのが一般的です。
遺体の状態を保つために葬儀までの間、棺の中にドライアイスや、防腐剤、防臭剤を棺に入れて遺体を保存します。保存費用は、葬儀終了までの日割計算で請求されますので、間に友引などがあり、火葬予定日まで日数がかかると、高くなります。
自宅や、斎場に安置したご遺体の周りに、花立てや、燭台、線香などを用意します。
通常のエンゼルケアは、葬儀費用に含まれますが、湯灌などを希望した場合は別途料金が発生します。
自宅などでご遺体を安置することができない場合は、遺体安置室を利用して火葬まで保管することになります。遺体安置室の利用料が保管料となっています。
亡くなられてから火葬されるまで、ご遺体を安置する棺の価格です。棺は木製のものが多く、木の材質や、棺廻りの装飾などによって価格が変わります。
ご遺体は仏衣に着替えをしてから納棺します。棺を乗せる式布団が棺用布団になります。通常はどちらも基本的な葬儀費用のパッケージに含まれていますが、自分で購入して用意することも可能です。
通夜や葬儀に参列した方に、会葬品と一緒にお渡しする礼状になります。会葬品は飲食接待費になりますが、会葬礼状は葬儀の基本プランに含まれていることが多いです。
通夜や葬儀でかかる費用の内訳を解説します。
一般葬儀の葬儀一式費用の中でも多くを占めるのが、生花祭壇のレンタル、設置費用になります。祭壇の種類によって、大きく価格が変わってきますので、葬儀の規模にあった祭壇を選ぶことが必要です。生花祭壇によって葬儀全体のイメージが出来てしまうと言っても過言ではありません。
葬儀や通夜を行う時の式場使用料になります。自宅葬の場合は、自宅で通夜葬儀を行うので、式場使用料はかかりません。式場の大きさや、宿泊施設などがあるかどうかによって式場使用料の価格は変わります。
仏壇の位牌ではなく、葬儀や通夜の際に祭壇に置く位牌になります。一般的なのは漆塗りの位牌ですが、素材の種類によって価格が変わってきます。
故人の生前写真を葬儀業者に渡して、遺影用に大きく引き伸ばしてもらったものと、遺影を収める額のセットが料金となっています。以前は、葬儀業者から写真店などに依頼して制作することが多かったのですが、最近では葬儀業者が独自で制作することが増えています。写真に加工が必要な場合や、特殊な演出を施した遺影の場合は別料金がかかります。
納棺された棺の周りを装飾する生花です。菊やユリなどの生花が使用されます。
自宅で葬儀を行う場合は、自宅まで参列者を誘導する看板を設置します。
祭壇に備える御菓子や果物など、左右一対が基本ですので、各種類とも2個ずつ必要になります。
告別式会場から火葬場への移動に使用するマイクロバスの料金になります。
火葬する際にかかる費用は、自治体によって全く違います。火葬自体を無料で行ってくれる公営火葬場がある自治体もありますし、5万円以上の火葬費用がかかる自治体もあります。公営ではない火葬場の場合は、当然費用がかかります。
通夜や葬儀が終わった後にかかる費用について解説します。
火葬が終わった後、四十九日法要まで自宅に設置する祭壇です。理由があって通夜や葬儀に参列できなかった弔問客が自宅を訪れることも多くなりますので、後飾り祭壇の前でお客様を出迎えます。
火葬後に骨を収める壷になります。納骨式を行うまで自宅で保管しておきます。
通夜や葬儀にかかる飲食接待費の内訳を解説します。
通夜に参列された方に対して、お食事やお酒などの飲み物を出します。参列者の人数によって大きく総額が変わってきますので、なかなか見積通りにはいかず、追加料金が発生してしまうことも少なくありません。
相場としては、参列者1人に対して2000円程度と考えるのが平均的ですから、50人分の容易をすると100,000円ということになります。参列者の半数分の料理を用意するのが平均的です。
告別式や、火葬後の会食費用になります。人数が多く、オードブルがメインとなる通夜振る舞いに対して、火葬後の精進落としは、参加人数も親族だけになることも多いため、コース料理などを利用される方も多いですので、1人当たりの価格も5,000円程度となるのが平均的です。
通夜や葬儀に参列した方に対してお渡しするのが会葬品です。地域によって会葬品の考え方が違いますので、自分の地域の会葬品がどんな形でお渡しするものなのか葬儀会社からアドバイスを受けた方がいいです。
参列した方の香典金額を確認して、香典の金額に応じた会葬品をお渡しする場合は、会葬品が香典返しの役目も果たしてくれるので、よほどの高額でなければ、その後、別に香典返しをお渡しする必要はなくなります。参列した方に一律の会葬品をお渡しする場合は、香典の金額に応じて香典返しをお渡しする必要があります。
会葬品は余った場合は、返品することが可能な場合が多いですので、予め多めに注文をしておくのがいいでしょう。
葬儀の読経など僧侶に支払うお金について解説します。
通夜や葬儀、火葬の際に読経していただくお礼として支払います。読経のお礼は一日だけ来てもらうものと、通夜、告別式の二日来てもらうことで金額が変わります。
亡くなられた方は仏の弟子になられたと仏教では考えられています。そのため、仏界で名乗れる名前を付けてもらいます。戒名は、宗派やお布施の金額によって位が変わってきます。お布施の金額が一番安い「信士」「信女」で相場は3万円~5万円くらいになります。
斎場や自宅まで足を運んでもらった時は、お車代をお渡しすることが多いです。それほど遠方でない場合は1万円くらいがお車代の相場になりますが、遠方から来ていただく時は相応のお車代を用意することになります。
戒名料、お車代などそれぞれを不祝儀袋に入れて、僧侶にお渡しする方法もありますが、お布施として、全てをまとめてお渡しするのが一般的です。お布施を渡すタイミングは、通夜の前が多いですが、その時は、葬儀会社からタイミングを指示してもらえると思います。
一般葬の費用については、上記で解説しましたが、家族葬の費用は一般葬とどこが違うのかについて解説します。
一般葬の平均金額が195万円前後であるのに対して、家族葬の平均金額は120~130万円くらいになっています。約3割くらい一般葬よりも安くなりますが、葬儀の収支バランスを考えると、家族葬の方が一般葬よりもお金がかからないと一概に言えるわけではありません。
葬儀は支出もありますが、香典の収入もあります。一般葬で葬儀の担当者と相談し、予測される香典の収入以内で、葬儀を行うことは可能ですが、家族葬の場合は、参列する人数が限られており、一般葬と比較して香典の金額は非常に低くなってしまいます。
葬儀全体の費用が、一般葬よりも3割安くても、収支バランスを計算すると自分で出したお金は一般葬よりも家族葬の方が多かったということも珍しくありません。
一般葬の場合は、宿泊施設がついている斎場などを利用する人は少なくても、家族葬の場合は、宿泊施設付きの施設を利用する人が多いようです。
故人を最期まで自宅で過ごさせたい! と自宅から出棺させたいと考える方も少なくありません。しかし、自宅葬の場合は、参列者を収容できる大きなスペースが必要なため、大広間を用意できる郊外ならば可能ですが、都心で行うのは難しいのが現状です。
斎場の施設を借りることもなく、全て家族や親族の手で執り行えば、自宅葬でかかる費用は飲食接待費と寺院費用だけになりますが、自宅の大広間をそのまま葬儀に使用できるものではなく、セッティングが必要なので、手間と費用のバランスを考えると、やはり自宅葬でも葬儀業者に頼んだ方がいいと思います。
葬儀業者や、葬儀仲介業者に頼んだ場合でも、自宅葬の費用は30万~50万程度になっているので、一般葬や家族葬と比べても非常に金額は安いと言えるでしょう。
また、通夜を斎場で行い、葬儀は自宅で行うという半自宅葬儀もあります。この場合も施設の利用費が通常の半分になるので、葬儀費用を抑えることが可能です。
葬儀は通夜と告別式の2日間で行われるものですが、通夜を省いて告別式のみを一日で行うのが一日葬です。斎場で葬儀を行う場合でも、通常は2日間施設を使用するところ、一日だけの利用になるので、費用が安くなるのはわかりますが、利用費が半額になるわけではありません。
一日葬が家族葬や、一般葬と比べて費用がかからない大きな理由は、通夜が無いということです。現在、告別式よりも、夕方から開催されて参列しやすい通夜の方が参列客が多いのが一般的です。通夜を執り行わない分、参列客が減ること、そして通夜振る舞いを用意する必要がなくなるというのが、一日葬の費用が安くなる一番の要因です。
一日葬の平均金額は50万円前後となっているので、一般葬や家族葬と比較するとかなり葬儀費用が安いのがわかると思います。葬儀一式費用は安くなりますが、寺院費用などは通夜の読経が無くなるとは言え、通常の葬儀で用意する費用とほぼ変わらない金額となるので注意が必要です。
火葬式は、直葬とも言われるもので、葬儀を執り行いません。一日葬でも通夜を省くものの、告別式は行われるので、葬儀一式費用についてはそれほど内容が変わりません。しかし、火葬式の場合は、葬儀を全く行いませんので、一般式との内容が待ったく違います。
火葬式ではどんなものに費用がかかるかについて説明します。
通常は、自宅や斎場にご遺体を搬送して安置しますが、火葬式の場合、自宅や斎場を経由することなく、火葬場に直送します。しかし、法律上亡くなってから24時間以内は火葬できないということがあるので、遺体安置所でご遺体を安置する必要があります。
自分で安置する場所が用意できない場合は、業者の遺体安置所を借りることになるので、その費用がかかります。
ご遺体を納棺せずに安置しておくわけにはいきませんので、棺が必要になりますので、棺に関しては一般葬儀同様、費用がかかることになります。
火葬後の骨を収める骨壺に関しても同様、自分で骨壺を購入するか葬儀業者から骨壺を購入する必要があります。
火葬場で最後の読経をしてもらったり、戒名をつけてもらう場合は他の葬儀と同様に火葬式でも寺院費用がかかります。しかし、火葬式を選択する人は、時間と費用の節約を重視する人が多く、僧侶を呼ばないケースが多いようです。
ただ、戒名をつけないことによって問題が生じる場合があります。集団墓地に埋葬する場合は全く問題がありませんが、先祖代々の菩提寺に墓がある場合、宗派や寺院の考えによっては戒名がないと納骨はさせてもらえないことがありますので、もしも菩提寺がある場合はあらかじめ確認した方がいいでしょう。
葬儀前に見積もりを出してもらっているのに、葬儀後に請求された金額が見積よりもかなり高くなっていることによるトラブルも少なくありません。どういった場合に葬儀費用が追加でかかってしまうのでしょうか?
業者との打ち合わせの際に、どのくらいの参列者が来そうかだいたいの人数を伝えることで、業者は予測参列者の数を元に見積もりを出します。通夜振る舞いの料理の数や、返礼品の数などは、参列者の数が増えることによって追加料金が発生する可能性があります。
実際、当日になるまで何人の人が参列するかわからないので、返礼品や、通夜振る舞いの費用などは、ある程度の幅を持って理解しておくのがいいと思います。
通常、通夜と葬儀で2日間の日程が組まれますが、何らかの理由により通夜、告別式の日程が延期になった場合は、遺体安置の費用が追加料金として発生します。遺体安置室の利用料金や、ご遺体の状態を保全するためのドライアイスの費用になります。
最初に提示される葬儀の見積はあくまでも、パッケージの基本プランになっています。葬儀の打ち合わせはそれほど長い時間かけるものではありません。当然ながら、ほとんどの方がオプションや基本プランなどをの全てを理解するのは不可能です。
そのため、当日になってから、やっぱりこういったことができないのか?というお客様からのご要望があり、それを応えるためにはパッケージ料金の中で抑えることができずに、オプションとして追加費用となってしまうことがあります。メイクの時の湯灌や、遺影の作成などで当日オプションを利用される方が多いようです。
故人を送るために、心に残る葬儀をあげたい。しかし、それほど葬儀にお金をかけることができない。そういった場合に、気を付けるポイントをあげてみましょう。
葬儀費用の相場がありますので、業者によって葬儀一式の費用に大きく開きがあるわけではありませんが、同じ価格のプラン内容で、含まれているものがかなり違っています。亡くなられてから、葬儀業者を比較して選択することも可能ですが、限られた時間の為、それほど深く検討することは難しいです。
そして、初めて会った担当者に自分の希望の葬儀内容が的確に伝えられ、理解してもらえるかということもなかなか大変です。そのため、終活の一環として、葬儀会社を比較してある程度、見当をつけておくことは、葬儀費用の節約だけではなく、自分の希望通りの葬儀を行える大きなポイントとなります。
確かにお金をかければ祭壇は豪華になり、戒名も位の高いものをつけることができるでしょう。しかし、お金をかければ立派な葬儀というわけではありません。参列者の人数や、故人の生前の人柄を考えて、どのような葬儀を行えば、故人が喜んでくれるのか? 参列者の心に残る葬儀ができるのかと考え、一番あった葬儀のプランニングをこころがけることが重要です。
病院で亡くなられた時に、葬儀業者の見当がつかない方がほとんどだと思います。そういった場合には、病院が提携している葬儀業者を紹介してくれることになりますが、比較検討を行っていないので、葬儀費用が高めになる可能性があります。決して病院紹介の業者が悪いと言うわけではありませんが、業者を比較して検討することにより、金額の節約も、自分の希望通りの葬儀ができるようになります。
病院からの紹介業者には、ご遺体の搬送だけをお願いして、その後業者を比較検討して決定する方法をおすすめします。
大手の葬儀会社では、互助会と呼ばれる月々の積み立てがあります。長期間で満期になるものが多いですが、月々の積み立ては1000円程度のものが多く、満期になった積立は葬儀費用に充てることができます。互助会の会員向けの割引サービスなども用意している葬儀会社が多いので、葬儀会社を比較してみて、もしも気に入った葬儀会社に互助会が用意されているならば入会するのも葬儀費用を節約するための大きな方法になる場合もあります。
ただし互助会関係ではさまざまなトラブルが起こる可能性がありますので、周囲の人に相談するなどして契約内容はしっかりとチェックすることをおすすめします。
家族葬の時にも触れましたが、葬儀費用の総額が大きくなっても、参列者が多ければ香典の収入も多くなり、自分たちにかかる負担は少なくなることがあります。逆に、葬儀の費用の総額が低くても、香典収入が少ない場合は、負担が増えてしまいます。
葬儀費用の総額だけを気にするのではなく、自分たちがどのくらい負担するかという考えで葬儀をプランニングすることで、負担を減らしながら、思い通りの葬儀の形を実現できることになります。
葬儀費用の相場がありますので、業者によって葬儀一式の費用に大きく開きがあるわけではありませんが、定額制の葬儀を取り扱っているようなサービスを利用した場合には、葬儀費用を大きく抑えることも可能です。
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