葬儀は、突然行わなければいけないことがほとんどです。
葬儀の事前準備をしておかなければ、葬儀社の選定や葬儀の案内の連絡など、慌てて対応しなくてはいけません。慌てて行動をした結果、トラブルが発生してしまうケースが多くあるのです。
このようなトラブルを防止するためにも、ぜひ事前に葬儀の準備をしてみましょう。
葬儀の準備を事前にするというのは、少し考えにくいことかもしれません。葬儀は人が亡くなってから考えることだと考えている方は一定数いるでしょう。
しかしいざその時が来ても、非常に限られた時間の中で多くのことを行わなければならないため、十分に余裕をもった準備ができずトラブルを起こしてしまうことになりかねません。
そういったトラブルは、実は事前に準備をしておけば未然に防げるものばかり。これが、葬儀の事前準備をおすすめする理由です。ではまず、具体的にどのようなトラブルがどれくらい起きているのか、トラブルの相談件数のデータと主な事例をいくつか見ていきましょう。
日本国内では、年間40万件ほどの葬儀が執り行われていますが、国民生活センターに寄せられた葬儀やお墓に関する年間の相談件数は約700件となります。
年度 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
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お墓の相談件数 | 1,563件 | 1,456件 | 1,398件 | 1,303件 | 1,236件 |
年度 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 |
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葬儀サービスの相談件数 | 722件 | 764 件 | 716件 | 637 件 | 576件 |
年間40万件の葬儀のうち、葬儀サービスに関する相談件数が700件前後というのは案外少なく感じられるかもしれませんが、実際には国民生活センターへ相談せずに泣き寝入りしている人も多くいるのです。
葬儀の手配を慌てて行うため、トラブルが発生するケースはとても多いです。実際にどのようなトラブルが発生するのか、詳しく紹介します。
葬儀サービスで多いのは、追加料金が発生して予算を超えてしまったというトラブルです。
「格安セットプラン」を提供している葬儀社も増えていますが、どこまでのサービス内容がセット料金なのか確認せずに安易に契約してしまうと、高額な追加料金を請求されてしまうこともあります。
また葬儀費用は、葬儀社に支払う費用、飲食接待費用、お寺に支払う費用に分類されますが、それらについて把握していなければ、思わぬ出費という事態に巻き込まれてしまうのです。
このような理由によって、葬儀サービスで高額な追加料金が発生して、予算を大幅に超えてしまったと嘆く人は多くいます。
近頃は、小規模な葬儀のサービスが増えています。料金が安いため、小規模な葬儀を希望する方も増えていますが、葬儀社によっては費用を抑えた葬儀を嫌がる会社もあります。
葬儀に関する相談に行った際に「火葬式のみをお願いしたい」「予算30万円以下で葬儀を行いたい」と要望を伝えると冷たい態度を取ってくる葬儀社もあるのです。このような態度を取られると不快に思ってしまうでしょう。
葬儀社との相性は大切です。時間がない中で葬儀社を選んでしまうと、対応が悪い葬儀社に当たってしまうこともあります。
ご遺体は病院の慰安室に数時間しか置いておけないため、すみやかに安置所に搬送しなければなりません。
人が亡くなることは突然の出来事なので、多くの方が病院提携の葬儀社に搬送を依頼します。搬送を依頼したからという理由で、その葬儀社に葬儀を依頼しなくても良いのですが、搬送してもらった義理で、その葬儀社に依頼する方も多いです。
しかし、病院提携の葬儀社の費用が想像以上に高くついてしまったというトラブルも後を絶ちません。実際、病院に紹介手数料を支払っている関係で、一般的な葬儀社と比較すると高くついてしまうケースが多いのです。
葬儀サービスに関するトラブルについて報告されている相談件数は、年700件。主なトラブルはオプションによる追加料金や、小規模葬儀に対する葬儀社の態度によるもの。また、病院が提携している葬儀社は料金が割高な場合が多い。
自分が亡くなった後に、配偶者や子供など残された遺族の負担を少しでも減らしたいという気持ちから、終活に取り組む人は増えてきました。そのため、生前に自分自身の希望する葬儀について考える人も増えています。
また、家族の病気の具合が悪くて、突然亡くなった場合には落ち着いて対応ができないため、葬儀を事前に考えるご家族も増えています。このように、葬儀を事前準備する方が増えているのです。
実は葬儀の事前準備をすると、次のようなメリットがあります。
葬儀は人生でそう何度も経験するものではありません。そのため、葬儀に関する準備をしていなければ、慌てて葬儀社を選ばなければいけません。
また、葬儀の案内状を誰に出すか考えたり、葬儀の対応方法や進行手順についても把握したりしなくてはいけないのです。実際に葬儀の準備は想像以上に多いため、大変だと多くの方が答えます。
しかし葬儀の事前準備を行っておけば慌てる必要はなくなり、落ち着いて行動できるようになるでしょう。落ち着いて行動することで、時間が少ないことから発生しがちなトラブルも回避できるはずです。
葬儀は、故人との最後の別れの儀式として執り行われます。
など、人それぞれ葬儀に対する要望があるはずです。
ご臨終から数日で葬儀を決める場合は、葬儀社を比較検討する時間も少ないです。葬儀費用に係る項目はさまざまで、それらの項目一つひとつに目を通す時間はないでしょう。
しかし、葬儀に関しての事前準備をしていれば、ゆっくりと葬儀社や葬儀内容を考えられて、故人や遺族の意思が反映された葬儀を行うことができるのです。
葬儀費用に係る項目は、さまざまなものがあります。そのため、それぞれの項目をチェックして、必要なものか不要なものか区別すると葬儀費用の節約ができるのです。
たとえば、祭壇や棺は豪華なものを選べば費用が高くついてしまいますが、簡素なものを選べば、費用を安く抑えることができます。このように各項目について細かくチェックしていくことで、予算内で希望通りの葬儀を執り行うことができるのです。
急に葬儀社を選ばなければいけない場合は大変です。葬儀社には格安の基本プランが用意されているところもありますが、そのプランには必要最低限のものしか用意されていないということもあるのです。そのため基本プランの料金にオプション費用がかかり、結果的に予算をオーバーしてしまうというトラブルも増えています。
事前に時間をとってプランをしっかり吟味することで、このようなトラブルを未然に防ぐことができます。
近頃は、葬儀の事前予約をする早割の割引サービスが人気を集めています。掛け捨ての保険に入っておくことで、葬儀の費用を保険会社に負担してもらうことができるのです。
この保険の料金は月500円前後と低負担でありながら、葬儀費用は最大で6万6千円まで割引が適用されます。
事前に相談し積み立てておくことで、いざという時の葬儀費用を安く抑えることができるのです。
葬儀の事前準備には様々なメリットがある。準備ををすると落ち着いて行動でき、準備期間が十分にとれるため、本当に必要なプランやオプションについて熟考したうえで故人や遺族の意思を反映できる。保険に入って積み立てることでいざという時の経済的負担を減らすこともできる。
葬儀の事前準備をしておくことで、さまざまなメリットがあることはご理解頂けたでしょうか? ここでは、実際に葬儀の事前準備としておきたいことについて解説します。
葬儀を事前に準備するにあたって、やっておきたいことは以下の8つ。
ここからは、これら8つのことについて詳しく見ていきましょう。
人生で葬儀を執り行う機会は少なく、初めて経験する方もいるでしょう。初めて経験する場合は、葬儀の際の服装やマナーに関するさまざまな不安が出てくることかと思います。
こういった不安も、時間があれば自分で調べたり誰かに聞いて知識を身につけることで解決できます。今や葬儀マナーについては、書籍やネットで知ることもできるのです。
将来的に葬儀を執り行わなければいけないと思った際に、事前準備としてマナーについて勉強しておけば安心でしょう。
葬儀の規模は、会葬者の人数によって決まります。故人の社会的立場や交際範囲、経済状況に応じて葬儀の準備は行われます。
葬儀をしなくてはいけないという状況は突然やってきますが、故人が生前仲良くしていた友人や仕事関係者など把握しておかなければ、連絡するだけでも一苦労です。慌てて連絡をかけると、伝え忘れや連絡のし忘れなどが起きる可能性があります。
そのようなトラブルを避けるためにも、親戚、友人、会社関係の人などの名前を事前にリスト化しておきます。会葬者のリストがあれば、慌てずに会葬者一人ひとりに葬儀の連絡を入れることができるはずです。
実際に連絡をする際には、チェックリストを作成することも大変有効です。葬儀の連絡を済ませた人にチェックをしていけば、連絡がつかず後回しにした人も一目で分かるため、連絡漏れによるトラブルを防ぐことができます。
自分の家の宗旨や宗派が分からないという人は多いです。宗旨や宗派によって、葬儀の飾り付けや形式など内容が変わってきます。宗旨や宗派については、事前にしっかり確認しておきましょう。
ポイントは、お墓がお寺にあるかどうか、信仰している宗派があるかどうかです。お墓がお寺にある、あるいは付き合っているお坊さんがいる場合は、仏式で行います。
また、付き合いのあるお寺がない場合は、同じ宗派のお坊さんを葬儀社に紹介してもらうことができるので、尋ねてみましょう。
近頃は、宗派にとらわれない無宗教での葬儀も行われています。
葬儀の形式も、事前準備の段階で決めてあると、事がスムーズに運びます。
一般的な葬儀から家族のみで行う家族葬(身内葬)、葬儀を1日で済ませる一日葬、火葬のみを行う火葬式(直葬)まで、葬儀の形式は実に様々です。まだ余裕のあるうちに希望を聞いておけば、いざというときも故人の願いを叶えられるはずです。
葬儀形式が決まったら、葬儀社のめども立てられるとなお良いでしょう。葬儀社の数は想像以上に多いです。良心的な価格で手厚いサービスを提供してくれる葬儀社もあれば、心ない葬儀社もあります。そのため、時間が許す限り、葬儀社は比較検討しましょう。
ご家族の葬儀について考える場合は、葬儀社を調べて気になる会社には見積もりを取ります。また、スタッフの対応についても確認しておきましょう。費用と対応力で満足できそうな葬儀社をピックアップしておくことで、納得のいく葬儀を執り行うことができるでしょう。
葬儀後も印象が残るものが遺影写真となります。にこやかな表情で、ピントの合った写真を用意しておきましょう。
写真は現像せずにデータで保存しておけば大丈夫です。写真は引き伸ばしや背景・服装の加工も行えます。
終活をされている方の中には、少しでも好印象の遺影を用意したいとプロの方に生前に撮影をお願いしている方もいます。近頃では「遺影写真の撮影会」というサービスも登場しています。
遺影にこだわりたい人は事前に撮影しておきましょう。
お気に入りの衣服をお棺に掛ける方もいらっしゃいます。生前着用していた衣類の中から、愛着のある衣類があれば用意しておきましょう。
お着物や寝間着でも構いません。お着替えすることや、お体の上から掛けて納棺することもできます。
人が亡くなった際には、様々な手続きが必要になります。
死亡届の手続きや火葬許可証の申請手続きの際には、故人の認め印が必要になります。しかし、認め印の保管場所が分からないと悩む方も多いのが実情です。
葬儀の手続きをスムーズに進めるためにも、認め印の保管場所について事前に共有しておきましょう。
日本消費者協会の『第11回 葬儀についてのアンケート調査 報告』によると、全国の葬儀費用の平均額は約196万円となっています。葬儀は安いものでも20万円はかかるでしょう。このように、葬儀費用は高額です。
葬儀費用は後日振り込みという選択肢も増えていますが、火葬場の利用料金やお布施などは、お葬式の当日に支払わなければいけません。そのため、ある程度の費用は事前に準備しておくようにしましょう。
人が亡くなった直後は少ない時間で多くのことをこなさなければならず、忙しさからトラブルが起こりがちです。
事前に葬儀についてしっかりと準備しておくことで、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。そして個人やご遺族の意思を反映した、かつご遺族や参列者の皆様に負担の少ない葬儀となることでしょう。