最近は、葬儀スタイルとして家族葬を選ぶ方が増えており、実際に首都圏では家族葬が最も多く行われています。家族葬が選ばれるのは、会社関係や近所付き合いを気にすることなくお葬式をしたい、弔問者に負担をかけたくない、葬儀の費用を安く抑えたいなどという理由があります。
それでは、家族葬で実際にかかる費用の相場や内訳はどのようになっているのでしょうか? このページでは、家族葬の費用相場、費用の内訳、費用を安く抑えるポイントなどについて解説しています。
まず最初に、参列者20名で家族葬を執り行った場合の葬儀費用は下表のようになります。
葬儀本体費用 | 70万円 |
---|---|
飲食接待費 | 12万円(6000円×20名) |
寺院費用 | 20万円 |
家族葬の合計費用 | 約100万円 |
ただし、家族葬と一括りにしても、さまざまなオプションや葬儀場・火葬場の費用などで価格が変動しますので、実際にかかる費用は50万円〜200万円と幅が出てきます。
家族葬の費用相場は約100万円でしたが、一般葬の費用と比較した場合にはどの程度の違いがあるのでしょうか?
平成29年に日本消費者協会が調査した「第11回 葬儀についてのアンケート」で紹介されていた、一般的な葬儀の全国の平均相場を表にまとめました。この平均費用には、葬儀一式の費用、弔問者への接待費、寺院へのお布施など葬儀にかかる費用全般が含まれています。
北海道 | 154万円 |
---|---|
東北 | 202万円 |
茨城・栃木・群馬・千葉 | 238万円 |
東京・埼玉・神奈川 | 186万円 |
新潟・富山・石川・福井 | 227万円 |
山梨・長野・岐阜・静岡・愛知 | 245万円 |
近畿 | 189万円 |
中国 | 163万円 |
四国 | 156万円 |
九州 | 166万円 |
全国平均 | 196万円 |
このように、一般的な葬儀費用は全国平均で200万円近くかかりますので、費用相場が100万円程度であった家族葬を選ぶことで葬儀費用を抑えることができると言えるでしょう。ただし、香典が無くなったり少なくなったりするという点にも注意が必要です。
ここでは、家族葬にかかる費用の内訳について、葬儀本体費用・飲食接待費・寺院費用の3つに分けて解説します。
葬儀本体費用とは、病院などへの遺体のお迎え・搬送、お通夜、葬儀、告別式、火葬など葬儀の基本的な流れを進めるために必要な物品や人、場所などにかかる費用です。この葬儀本体費用は、家族葬をする上で外すことのできない費用となり、費用相場としては70万円程度となります。
東京都などでの一部地域では、火葬場の利用料・斎場使用料が高くなることから葬儀本体費用が高くなる傾向があります。
葬儀本体の費用とは別にかかる費用として、飲食接待費が挙げられます。通夜振る舞いや精進落としは、一食あたり2,000円から5,000円など、料理のグレードによって価格が大きく変わります。
また、参列者へのお礼として返礼品も用意する場合があります。参列者が兄弟だけなどのようなときには返礼品を用意しないことが多いですが、親戚なども参列するときには返礼品を用意することが多いです。返礼品の内容としてはハンカチや石けん、お茶などが主流で、500円から1,000円が平均的な価格となっています。
これらの飲食接待費は、家族葬に参列してもらう人数分、用意する必要がありますので、かかる費用としては(飲食費用+返礼品代)×参加人数です。飲食費用と返礼品代の合計金額は一人あたり合計4,000円程度、参列者は20名程が目安ですので12万円程が目安になるでしょう。
通夜や告別式で読経してくれる僧侶に渡すお布施やお車代、御膳料などが寺院費用に該当します。お布施の金額を尋ねても大抵の場合は「お気持ちだけで結構です」と言われてしまうため、寺院費用は多くの方が悩む出費といえるでしょう。
お布施の金額は、通夜や告別式の読経の他に戒名のランクごとに金額が変わりますが、相場としては20万円程度となります。葬儀社では、寺院の紹介や僧侶の派遣サービスも行っているところも多いため、寺院を探している場合は利用してみましょう。また、WEB上では定額制の僧侶派遣サービスを取り扱っているところもあるため、費用を事前にわかった上でお願いしたい方にはおすすめです。
家族葬は、どのような葬儀にするか自由に決められるとお話ししました。そのため、葬儀費用を安く抑えることもできるのです。ここでは、家族葬の費用を安く抑えるコツについて解説します。
インターネットで検索すると、家族葬を行う際に必要な物をセット料金にしてサービスを提供している葬儀サービスがあります。セット料金になっている家族葬は、病院などで紹介される葬儀社などと比較してとても料金が安いことから、多くの方が利用者しているサービスとなっています。
葬儀本体の費用を抑えられるだけではなくて、僧侶の定額制サービスも行っていることからお布施などの寺院費用も追加料金が発生しづらく、安く抑えることができます。しっかりと家族葬を行いつつ、費用も抑えたいと考えている方にはセットプランがおすすめです。
格安だからといっても葬儀の質が悪いということはありませんので、一度資料請求やコールセンターへ相談をしてみることをおすすめします。
家族葬を行うために、10社の葬儀社に見積もりを依頼すると、安い葬儀社と高い葬儀社での費用の差額は100万円ほどあることもあります。同じ家族葬といっても、葬儀社によって設定価格が大きく異なるため、可能な限り多くの葬儀社に見積もり依頼をして比較検討しましょう。
また、見積もりを取った後は葬儀社に連絡を入れて「見積もり以外に別途かかる費用はありますか?」と確認してください。見積もりに記載されている費用以外に費用がかかることもありますので、最終的にかかる費用が総額でいくらなのか、しっかりと教えてくれる葬儀社を選ぶようにしましょう。
しかし、故人との別れは突然起きるものですので、葬儀の準備をする時間がなく、多くの葬儀社に見積もりを取ることが難しいケースも多いでしょう。そのため、お急ぎの方で適正価格で家族葬をしたいと考えている方は先ほど紹介したような、定額プランを利用するといいでしょう。
これは家族葬の定額プランには使えない方法ですが、葬儀社に見積もりを依頼して100万円、200万円などという金額だった場合には、不要な項目を削ってもらうという方法があります。
家族葬は、どのような葬儀を執り行うのか比較的自由に決めることができます。希望している家族葬に不要な項目を葬儀社と相談しながら削っていくことで、その分の費用をなくすことができます。葬儀費用を抑えるために、チェックしたい項目の例としては次の項目が挙げられます。
通夜や葬儀のあとには、会食の席を設けて故人を偲ぶのが慣例です。一般的な葬儀の場合は、弔問者に料理ぶるまいをしますが、家族葬の場合は必ず必要とは限りません。
参列者にもよりますが、家族や親族で料理を食べるため、自分たちで料理を用意したり、故人が好きなものを食べるなどするケースもあります。
返礼品とは、参列や香典に対する感謝を込めて、参列者にお渡しする品物のことをいい、返礼品には通夜返礼品・会葬返礼品・香典返しの3つがあります。
一般葬の場合は、弔問者に後日、香典返しをしなければならず、弔問者数に応じて費用が増減することになります。家族葬の場合は、香典を辞退しているため香典返しは不要であったり、近しい家族のみなので通夜返礼品・会葬返礼品が不要であったりするケースも多いです。
そのような場合には返礼品を用意する必要がなく、返礼品の費用は不要となります。
家族葬の式場代は、式場の大きさによっても変動してきます。家族葬の場合は親族だけで葬儀が行われるため、葬儀の内容にもよりますが、家族葬ホールと呼ばれるような小さな式場を選んでも良いでしょう。小さな式場を選べば、葬儀費用を安く抑えることができます。
また、自宅で葬儀を行う「自宅家族葬」という葬儀スタイルもあります。自宅で家族葬を行う場合には、費用を抑えることができる可能性もあります。
葬儀費用には葬儀社のスタッフの人件費が含まれています。司会やお焼香の案内などを行ってくれますが、家族葬の場合は司会などは不要というケースもあるでしょう。
費用を抑えたい場合には、本当にそれだけの人数のスタッフを用意する必要があるのかどうかについて葬儀社に相談してみるといいでしょう。家族で行える場合は、人件費を大きく削減できるケースもあります。
祭壇・棺は、喪主の希望で決められますが、弔問者がいない家族葬をあげる場合は、豪華な飾りつけなどを行わずに、簡素な祭壇・棺でも構わないという方もいるでしょう。
祭壇などに使うお花の量を減らすなどすることで、家族葬の費用を安く抑えることができます。
家族葬の費用負担を抑えるためには、葬儀社に支払う費用を見直すだけではなく補助金を利用して実質の負担額を減らすという方法もありますので、補助金制度が利用できるか確認してみましょう。
葬儀費用の補助制度の種類は大きく3つのタイプに分類されます。補助金適用の申請期間は、死亡日から2年間で、市区町村で手続きを行うことができます。
故人が、国民健康保険もしくは後期高齢者医療制度に加入をしていた場合に適用される補助金です。保険証の返却などの手続きが必要になりますが、対象者の葬祭を行った場合に補助金を受け取ることができます。葬祭費給付金制度は、各自治体によって異なりますが、平均的な補助金額は3万円~7万円となります。
故人が国民健康保険以外の医療保険に加入をしている場合で、被扶養者または被保険者が給付を受ける場合に適応される制度です。埋葬料給付金制度の補助金額は5万円です。
故人が国民健康保険以外の医療保険に入っている場合に適応されて、その他の制度に当てはまる受取人がいないことが条件となります。埋葬日給付金制度の補助金額は5万円です。
家族葬は一般葬と比較すると葬儀費用は安くなっていますが、見落としてしまいがちな注意点があります。ここでは、家族葬の費用を考える上での注意点を紹介します。
家族葬は、親しい人のみで行う葬儀で参列者は最大でも30名程度です。一般的な葬儀と比べると参列者が少なくなりますので、接待費用などのコストを抑えることができますが、香典による葬儀費用の補填額も減ることになります。また、そもそも香典そのものを受け取らないというケースもあります。
このように家族葬は香典による補填が少ないことから、結果的に一般葬を執り行うよりも費用が高くついてしまうというケースもあります。
家族葬の基本プランの内容は葬儀社によって大きく異なります。葬儀社にはとても安い基本プランが用意されていますが、料金を安く見せるために、含まれている項目を極端に少なくしていることもあります。一見とても安い料金を出している葬儀社を選んだら、多額の追加費用がかかって結果的に葬儀費用が高くついてしまうというトラブルも多くあります。
そのため、定額制のセットプランを利用することや、見積もりを出してもらい追加料金を事前にしっかりと確認しておくことが重要になります。
葬儀の知識やマナーなどのオリジナルコラムも配信しています。