葬儀は一生のうちに何度も経験したことがない方が多いと思います。また、葬儀に参列した経験があっても時間が経過するごとにマナーを忘れてしまいがちです。初めて葬儀に参列する場合など、遺族や他の参列者に対して失礼がないようにマナーを知っておく必要があります。
この記事では、葬儀に参列するときに、特に重要になるマナーについてまとめています。
葬儀に参列する際に気を付けなければならないマナーをシーン別に紹介します。
葬儀時の服装は、略式の喪服を着用することが多いです。正式喪服は喪主やご遺族の方が着用されるため、それよりも格下の略式喪服を着用します。お子さまを葬儀に参列させる場合は、制服を着用させるのが一般的です。また、アクセサリーは、結婚指輪以外は付けないように心がけます。
故人の死は突然の出来事になるため、ご遺族側からすると戸惑いが隠せません。
そのような心境の中で、葬儀を執り行わなければいけないため、とても慌ただしく過ごしています。そのため、死因を聞いたりするのは控えましょう。お悔みの言葉を述べるときは、ご遺族の負担にならないように手短に済ませます。
弔辞は、ご遺族への慰めの気持ちを込めるものですが、あまりにも長い文章になってしまうのはNGです。文字数800~1,000文字に収めるようにしましょう。また、ご遺族や参列者を不快にさせないように忌み言葉を避けます。
弔電を送る際は、葬儀が行われる日時と会場の住所、喪主名を確認して申込をします。故人名を宛名に書かないように注意しましょう。朝8時から夜7時までに弔電を送れば、当日配達してもらえます。
お清め塩は、死を招き入れた邪気を払うために行われます。葬儀会場から自宅に戻ったときに玄関前に使用するものです。払った塩は踏むことで、完全に邪気を断ち切ることができると言われています。
香典は不祝儀袋に包んで渡しますが、「外袋」「中袋」に必要事項を書きます。記載する内容は、葬儀の宗派によって異なるため注意しましょう。また、故人との関係性や年齢によって、包む金額が異なります。周囲の人と歩幅を合わせるため、相場を確認して包むように心がけます。
焼香は正しい手順で行います。また、故人と関係が深い順番で焼香を行うのが一般的なため「遺族」「親族」「友人」「知人」という順番になります。焼香時には、必ず数珠を利用しましょう。
受付時には、挨拶をして芳名帳に必要事項を記載します。ご遺族の方が、香典返しなどを送る際に必要な情報になるため、正しく記載するようにしましょう。
通夜や葬儀に参列するときにはどのような服装がいいのか?服装マナーを覚えておきいざというときに慌てないように心がけましょう。
葬儀時の男性の正装は黒紋付きの羽織袴やモーニングコートですが、正式喪服は喪主等、遺族側の方が着用されるため、参列する場合は略式の喪服「ブラックスーツ」を着用するのが一般的です。
上着の下は白無地のワイシャツに黒無地のネクタイ、ネクタイにタイピンは使用しません。ベルトや靴などの小物についても基本的に黒のものを身につけるようにします。
女性の場合も、黒やグレーのスーツやワンピースが基本ですが、色はダークグレーや濃紺のものでも構いません。ストッキングや靴もなるべくであれば黒に合わせた方が無難とされています。
中学生、高校生で学校の制服があれば、制服で参列するのが一般的です。
小学生や未就学児の場合ならば、ブレザーがある場合は着用し、持っていない場合は、黒やグレーの色使いの服を着せて参列させましょう。七五三の時に着た服や、入学式に着た服があればそれで問題はありません。
赤ちゃんの場合、喪服などはないため、白や薄いピンクなどの無地で清潔なおくるみに包んで参列します。
基本的に結婚指輪以外は身につけないのが無難です。特に金素材のアクセサリーは外してください。どうしてもアクセサリーをつけるのであれば、銀や真珠素材のものを選びます。ネックレスなどをつけるときは、2連以上のものは不幸が重なることを連想させてしまうので必ず1連のものを身につけてください。
参列した時、遺族に対してどのようにお悔やみの言葉を伝えたらいいのでしょうか?
葬儀には多数の方が参列されて、それぞれから遺族に対してお悔やみの言葉が伝えられます。まだ、故人が亡くなってから間もないので、遺族にも動揺があり、長い会話などできない状態であることも多いです。そのため、お悔やみの言葉を伝えるときは、相手が誰であっても、短く簡潔に述べるのがマナーとされています。
忌み言葉は弔辞や慶事といった冠婚葬祭で使うのは縁起が悪いとされている言葉です。お悔やみ言葉を伝えるときには、忌み言葉を使用することは避けなければいけません。
「続いて」「重ね重ね」「ますます」
「死去」「死ぬ」「生きる」「忙しい」
忙しいという言葉は、言葉の意味は死を連想させるものではないですが、漢字にすると「亡」という字が入っているので、使わない方がいいと言われています。
「浮かばれない」「迷う」
簡潔にお悔やみの気持ちを伝える言葉には以下のようなものがあります。
「ご愁傷様です」
「お悔やみ申し上げます」
「御冥福をお祈りいたします」
遺族と親しい間柄であっても、葬儀や通夜の式場ではお悔やみの言葉を伝えるのに留めて、その後、時間を取って遺族を慰めるなどした方がいいでしょう。
参列者を代表して弔辞を述べることになったときのマナーについて紹介します。
故人の思い出や、遺族への慰めの気持ちを込めるのが弔辞になりますが、どんなに思いが強くても、あまりにも長い弔辞になってしまうのはNGです。だいたい3分間程度で終わる弔辞がいいとされているので、文字数にして800~1000文字程度に収めるようにしましょう。
弔辞の構成に決まったものはありませんが、以下のような流れが一般的な弔辞の構成になります。
自分の気持ちが伝わる言葉で、多くの方が参列し弔辞を聞いていることも忘れないように弔辞文を作成します。巻紙に薄墨で書くのが正式とされていますが、便箋などに万年筆やボールペンで書いても問題はありません。
司会の方から指名を受けたら、祭壇前に進みます。その際に弔辞を記した便箋などは上着の内ポケットに収めておくか、上包みに包んで手に持っておきます。
祭壇の前では、遺族の方を向き、一礼し、その後祭壇に飾られている遺影に対して深く一礼してから弔辞を取り出します。3分程度で読み終わるように作成していても、緊張して早口になってしまうと、半分程度の時間で終わってしまいますので、なるべく声のトーンを低く、ゆっくりと弔辞を読むのが基本です。
お悔やみの言葉と同様に、弔辞でも忌み言葉は使用してはいけません。そのため弔辞を作成する時には、忌み言葉の言い換えが必要になります。
このように、忌み言葉を使わなくても表現できる言葉を使って言い換えます。
葬儀に参列できず、弔電を送る際のマナーについて説明します。
弔電を申し込む際に必要になるのは、葬儀が行われる日時と、葬儀会場の住所、故人と喪主の名前です。この3つを確認してから、弔電の申込を行ってください。
弔電はNTTの電報サービスで申込が可能です。電話での申込は局番なしの115ですが、インターネットでの受付も行っています。
24時間受付を行っていますが、受付時間によって配達できる時間が変わりますので、当日中に弔電を届けたい場合は、受付の時間に注意してください。
受付時間 | 配達時間 |
---|---|
8時~19時 | 当日配達 |
19時~22時 | 翌日配達 |
特に文章に拘りがないならば、電話帳などに掲載されている例文を使って弔電を送ります。オペレーターに質問すると、よく使われる例文などを教えてくれるので、そのまま使うのがいいでしょう。自分で文章を考えて弔電を打つならば、忌み言葉を使用しないように気を付けてください。
会葬礼状や会葬品と共に頂いたお清め塩はどのように使うのでしょうか?
会葬礼状などに挟まれている清め塩によって邪気を払うのは、仏教のしきたりではなく、神道から来ているものです。現在は、仏式で行われる葬儀がほとんどですが、お清め塩は習慣化されていて、宗派問わず使われるようになっています。
お清め塩の習慣は、故人を穢れたものとして扱っているのではなく、死を招き入れた邪気を清め塩によって払うために行うものとされています。
お清め塩は、葬儀会場から自宅へ戻った時に玄関前で使います。一つまみ程度の塩を、喪服の上から体に振りかけて、その後、服についた塩を手で払います。塩を手で払うことが、体についた邪気を払うということになります。
そして、大事なのは、最後に体から払って、下に落ちている塩を踏んでから、玄関にはいるというところです。塩を踏むことで、完全に邪気を断ち切ることになります。
不祝儀袋の書き方や相場など、香典についてのマナーを紹介します。
香典は不祝儀袋に入れて受付で渡します。不祝儀袋の記入する場所は3ヶ所あるので、それぞれに必要事項を書きます。
外袋は香典の一番外側で水引がついている表書きの部分です。ここでは水引の上部に表書き、下部に自分の名前を記入します。
通夜や葬儀の場合、表書きは御霊前、もしくは御香典ならば、宗派を問わずに全ての仏式葬儀で使用することができます。キリスト教の場合は「お花料」神道の場合は「御玉串料」などの表書きを使用します。
中袋の表側には、不祝儀袋に入れた金額を記入し、裏側には住所、氏名、電話番号を記入します。気を付けなければならないのは、香典の金額を記入する際に、旧漢字を使用するということです。
旧漢字とは「壱」「弐」「参」といった数字になります。漢数字で記入した場合、「一」から「二」「三」といった数字に、偽造することがたやすくできてしまうので、それを防ぐために旧漢字の使用が推奨されています。
香典の金額相場は、自分の年齢や相手との関係によってかなり違いがあります。一般的な香典の金額相場は以下の表のようになります。
10・20代 | 30代 | 40代以上 | |
---|---|---|---|
両親 | 3~10万円 | 5~10万円 | 5~10万円 |
兄弟・姉妹 | 3~5万円 | 5万円 | 5万円 |
祖父母 | 1万円 | 1~3万円 | 1~3万円 |
友人・知人 | 5千円 | 5千円~1万円 | 5千円~1万円 |
上司 | 5千円 | 5千円~1万円 | 5千円~1万円 |
葬儀会場に受付があるならば、受付でお悔やみの言葉を伝え、袱紗から取り出して袱紗の上に香典を乗せてお渡しします。受付がない場合は、御霊前に供えるか、遺族へ手渡しします。渡すときは表書きを自分が読める方向にして渡すのが一般的です。
通夜や葬儀での焼香マナーについて紹介します。
焼香の回数は宗派によって違いますので、葬儀前に確認するのがいいでしょう。わからない場合、抹香をつまむ動作を一度だけにしておくことで失礼にはあたりません。
故人と関係が深い順番で焼香を行うので、最初に喪主が行い、その後に、遺族、親族、友人、知人という順番になります。
仏教の教えでは、左手は仏の世界、右手は私達が住んでいる世界と言われていますので、焼香前に移動する時は、数珠を左手に持って移動します。
焼香時に合掌礼拝する時は、親指と人差し指の間に掛けて礼拝を行います。
葬儀の際に数珠を忘れた場合、元来、数珠は持ち主を守るための道具であるので、他の人から数珠を借りるのではなく、数珠無しで合掌礼拝した方がいいでしょう。
葬儀会場で最初に訪れる受付時ではどのような行動をするのでしょう?
知人や親族の葬儀ならば、知っている方が受付の手伝いをしていることもあるでしょう。たとえ、受付の方と旧知の仲であったとしても、普段通りの挨拶を行うのではなく、お悔やみの言葉を伝えるのに留めましょう。久しぶりに会って、話したいこともあるかもしれませんが、葬儀会場であることを決して忘れないでください。
弔問に来られた方の住所や名前を記録する芳名帳が受付にある場合は、お悔やみの言葉を伝えた後に記入します。最近では、芳名カードを使用している葬儀場が多く、カードの場合は、受付の前に記入するカウンターがあるので、そこでカードに必要事項を記入し受付に提出します。
芳名帳やカードに記入するのは住所と氏名です。住所は、郵便番号を書き、県名から書き始めるのがいいです。アパートやマンションに住んでいる場合は、建物名まで記入しましょう。名前はフルネームで記入するのが基本です。
芳名カードでは、故人との間柄を記載するところもありますので、親族、知人、会社関係など、生前にどのような関係であったか記入します。
芳名カードを受付に提出した後に、袱紗の上に乗せて香典を渡します。受付で最初にお悔やみの言葉を伝えた場合は、「御霊前にお供えください」と一言添えて香典を渡します。
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