新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、私達の生活様式を一変させ、葬儀形式も変化させました。「フリープラン」とは、形式にこだわらない葬儀のこと。従来、葬儀は仏式・神式、またはキリスト教式など、宗教的儀式の側面、伝統的な形式を持ち、通夜・告別式を行う「一般葬」が定番でした。
しかしコロナ禍で、遺族と親しい人で見送る「家族葬」、葬儀を行わない「直葬」なども選ばれるようになっています。それに伴い、「その人らしさ」を追求する「無宗教葬」や自由葬も注目されはじめています。
また、「音楽葬」のように、生演奏をプロに頼んだり、故人が参加していたバンドやオーケストラが演奏して見送ったりといった葬儀もあります。結婚式のように、司会者が人生や思い出を読み上げる、ムービーを流すといった演出をお願いしたというご遺族も。
予算や希望に合わせ、自由なスタイルで行えることがフリープランの大きな魅力です。コロナ禍は密を避けるため、ライブやコンサートのような形で実行することは難しいでしょうが、逆に配信を活用するなど、新たな方式も模索されています。
フリープランといえども、棺、ドライアイスなど、ご遺体の安置に必要なものは用意しなければなりません。また自宅葬でなければ、会場(斎場)の予約、そして出棺後の火葬場の予約も要ります。こうしたことは葬儀社に頼めば手配してくれます。自分たちですべてを行うとき以外は気にしなくて大丈夫です。
現在はコロナ禍で、火葬場への人数は制限されていることがほとんどなので、そのことも踏まえた上でお見送りの会を計画することが大切です。
2020年5月に葬儀業は独自の「新型コロナウイルス感染拡大防止ガイドライン」を定め、各葬儀社はそれに従って「必要急」である葬儀を行っています。フリープランであってもそれは同じとなります。消毒の徹底やマスクの装着、大声での会話を制限するなど、遺族・参列者が感染予防策に協力することで、感染リスクを軽減できます。
フリープランで葬儀を行う際、注意すべきなのは、菩提寺がある場合です。僧侶に読経を頼んでいない、もしくは菩提寺での葬儀を経ていないと納骨が認められない、というトラブルが実際に起きています。必ず事前に事情を説明し、納骨が可能か確認しておきましょう。
フリープランの一番の魅力は、故人らしさがある葬儀が行える点ではないでしょうか。電車の運転士だったから、電車の形に花を形作る、好きだったクラシックを生演奏する、好きだった花で会場を彩る……フリープランでは、100人いれば100通りのお葬式になります。コロナ禍でもそれは同じ。
どうしても制限はありますが、逆に型にとらわれず、心もこもった葬儀を作ることができるかもしれません。葬儀をお見送りの場であり、故人へのはなむけの場とも捉えられるフリープラン、コロナ禍でも、だからこそ?検討してみてはいかがでしょうか。
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