生活スタイルや価値観の変化に伴って、葬儀の形も多様化・小規模化しています。従来の葬儀は、宗教的な儀式を重んじることが多かったですが、近年の葬儀は故人様やご遺族様の意志が反映されるようになりました。葬儀は故人様を見送るための大切な儀式で一度きり。そのため、どのような葬儀にしたいか、あらかじめ家族で話し合っておきましょう。 大切な家族を送る際に、自分の希望する人生の締めくくり方を考える際に、本記事をお役立てください。
エドリッジ編集部
看取りの段階に入り病院の医師から余命宣告を受けたら、葬儀の事前準備を始めてください。事前準備を怠ると大切な儀式である葬儀で後悔してしまうでしょう。ここでは、葬儀の事前準備の大切さについて詳しく解説します。
余命宣告を受けた後に、葬儀の事前準備を勧められます。不謹慎と思うかもしれませんが、葬儀の事前準備を怠ると大変な目に遭ってしまうかもしれません。
一般的に、故人様がご逝去した時に葬儀社を決めていない場合は、病院と提携する葬儀社が安置場所までご遺体を搬送してくれます。このように、自分で葬儀社を探さなくても病院から紹介してもらえますが、要望に見合わずにトラブル発生するケースも多いです。どのようなトラブルがあるか事例でご紹介します。
故人様がお亡くなりになり、ご遺族は気持ちに余裕がない場合が大半です。ご遺族の方の気持ちに寄り添って、葬儀のサポートを行ってくれる葬儀社であれば問題ありません。
しかし、葬儀プランの打ち合わせを率先し、必要のないオプションサービスを勧めてくる葬儀社も存在するため気をつけなければいけません。「この程度の祭壇を準備しなければ、故人様に喜んでもらえませんよ」「最後のお別れの場ですから、豪華な飾り付けは必要ですよ」と声をかけられたら、オプションサービス追加に同意せざる得なくなってしまうでしょう。
このように、気持ちが衰退するご遺族に漬け込む悪徳業者も存在するため、信頼できる業者かは見極める必要があります。
喪主やご遺族によって、理想の葬儀は異なります。オリジナリティ溢れた葬儀を希望する方もいれば、価格を抑えた葬儀を希望する方もいるでしょう。しかし、これらの要望を聞いてもらえるとは限りません。
例えば、葬儀で故人様が生前好きだった音楽を流したり、思い出のビデオを流したりしたい場合もあるでしょう。このような要望があっても、音響機器を取り扱っておらず、大きな音を出すことをNGとしている会場では要望は叶えてもらえません。葬儀社によって、要望に対応できる範囲は異なることを理解しておきましょう。
病院に紹介してもらった葬儀社に直葬を希望している旨を伝えた瞬間、態度が冷たくなったというトラブル事例も多いです。通夜式や葬儀、告別式を省略する直葬の費用相場は約20万円です。一般葬や家族葬と比較すると費用が安いため、葬儀社の利益にはなりません。
顧客の要望を尊重せず、自社の売上を尊重しがちな葬儀社に当たると冷たい態度が取られてしまうでしょう。葬儀社の態度が冷たくて不快に感じたという葬儀時の後悔も多いため気をつけてください。
人生で何度も葬儀を行う機会は訪れるものではないため、見積依頼したら想像以上に見積金額が高いと驚く方がいます。
見積金額が想像以上に高くてキャンセルをしようとしたら「搬送費や安置場所の利用料は支払ってください。」と高額な料金を請求されるトラブルも少なくありません。キャンセル料金が高額のため、やむを得ず葬儀を依頼してしまったいう方も多いです。
葬儀は故人様を見送るための大切な儀式で一度きり。故人様の死を包み、最後の別れを告げる葬儀はやり直しができません。したがって、後悔が残らないように「どのような葬儀を行いたいか?」葬儀の価値基準を明確にしましょう。
ありきたりな祭壇ではなく、故人の生き方を感じられる空間を演出したいと思ったら、そのような要望を実現してくれる葬儀社を探さなければいけません。
価値基準を明確にしておき事前準備をしておけば、故人様もご遺族様も共に満足できる葬儀が行えるでしょう。そのため、余命宣告を受けたら、葬儀の事前準備を始めてみてください。
故人様やご遺族様の要望を反映した葬儀を行うためには、葬儀社選びが重要だとお伝えしました。実際に、葬儀社は、どのように選べば良いのでしょうか?次に、葬儀社の選び方について解説します。
自宅からすぐ近くの、〇〇会館が使いたい
〇〇駅から徒歩圏内の式場が良い
など
希望する式場によっては利用可能な葬儀社が限定されるため、事前に見学に行き、利用条件等を確認しておくことをおすすめします。
また、利用にあたっては管轄する互助会への入会が必須条件となっている式場も多いため、注意が必要です。 一般的に立地や設備(内観・外観)重視で葬儀場を選ばれる場合、葬儀費用は高くなる傾向にあります。
インターネットを使用して複数の業者に相見積もりを取りましょう。見積金額は、参考程度にしておきましょう。葬儀社に出向いて打ち合わせをした後に詳細の見積金額が出してもらえますが、追加費用が発生することが多いです。そのため、相見積もりの段階の金額は参考程度に留めておくことをおすすめします。
見積金額やプラン内容を見て、興味が湧いた葬儀社があれば相談しに行きましょう。本当に良心的な葬儀社かどうかは、会って話せば分かります。そのため、1社に決めるのではなくて、複数の業者に相談してみてください。葬儀社の選び方は、大手だから安心なわけではありません。経験が豊富で親身になってくれる葬儀社を選びましょう。
月賦の積立金が満期(10~30万円程度)を迎えているから安心だ、と思っていませんか? 葬儀後に届いた請求書を見て驚くことになります。 実際には一日葬や家族葬を行う場合、積立金とは別に50~150万円程度の追加支払いが必要です。 直葬などの極めて簡素な葬儀形式を除き、積立金のみで葬儀費用が賄えることはまずありません。
余程強く希望しない限り、通常互助会では生前に詳細な追加費用に関する見積もりはしてくれません。 ご逝去後、見積書にサインをする段階になって、初めて高額な追加費用がかかるという事実を認識される方が多いのが現状です。 互助会に葬儀を依頼することが決まっている場合、いざという時の出費に備えて生前から葬儀費用を準備しておきましょう。
一方で、式場の設備や内容よりも費用を優先される方には、大手互助会等の必要以上に豪華な葬儀プランは不向きと言えます。 場合によっては互助会の解約を検討しても良いでしょう。 契約内容にもよりますが、掛金のうちおよそ7~8割程度が返戻金として戻ってくる場合が多いです。 もちろん解約返戻金は、より要望に沿った葬儀社に依頼する場合の葬儀費用に充てることができます。
生前に、葬儀社と葬儀プランを決めておけば、故人様がお亡くなりになられた場合も慌てる必要がありません。葬儀社に連絡をすれば、ご遺体の場所まで迎えに来てくれて、葬儀までスムーズに牽引してくれます。
しかし、生前に葬儀日程は決められないので注意してください。葬儀社とプランを決めておくことで、スムーズに葬儀を行えるようにしておくことが、事前に葬儀社を選んでおく主目的となります
葬儀社を決めたら、葬儀形式・プランを選んでいきましょう。ここでは、葬儀形式とプランの選び方について解説します。
葬儀社を決めたら、ご先祖様のお墓を管理してくれている菩提寺に相談してください。菩提寺は仏事の専門家です。菩提寺に葬儀の事前準備をしている旨を説明して、どのような葬儀を行えばよいかアドバイスをもらいましょう。
菩提寺に相談をせずに葬儀形式を決めてしまうと関係が悪化して、お墓に納骨してもらえなくなる恐れがあります。菩提寺には、葬儀で読経を依頼するため、良好な関係を維持するように努めましょう。そのため、葬儀の事前準備をする場合は、菩提寺に下記の内容を相談してください。
葬儀形式は大きく4つに分類できます。
一般葬とは、さまざまな立場の方を招待する大規模の葬儀です。故人様とご縁のあった方を幅広く呼びます。従来の伝統的なやり方に沿った葬儀が行えるため、高齢者の方にも安心して参列してもらえます。また、幅広い方を葬儀に招待できるため、弔問客の対応に追われることはありません。
家族葬とは、家族や友人のみで執り行う小規模の葬儀です。会葬者の接待の手間が掛からず、ゆっくりと故人様とのお別れの時間を過ごせます。近親者のみの参加となるため、体裁を気にせずに済みます。しかし、葬儀後に自宅に弔問者が訪れて、対応に追われてしまう恐れを想定しておかなければいけません。
一日葬とは、通夜を行わずに葬儀と告別式、火葬式を1日で行う少人数の葬儀です。一日で終えられるため、精神的にも体力的にも負担が抑えられます。参列者に高齢者が多い場合や仕事が多忙な方から支持を集めています。
直葬とは通夜や告別式などの儀式を行わず、自宅や病院などの亡くなった場所から火葬場に運び、荼毘に付すという方法です。費用と時間をかけずに行えますが、故人様とお別れする時間もありません。
葬儀を行うためには、戒名を付けてもらう必要があります。戒名には4つのランクがあり、どの戒名を付けるかで戒名代は変動します。高いランクだから良いものではありません。人 柄や功績などに見合った戒名を付けてください。高い戒名を授かるということは、今後お寺を守り続けていくという責任を負うことになります。
種類 | 費用相場 |
院居士・院大姉 | 100万円~ |
院信士・院信女 | 50万円~100万円 |
居士・大姉 | 50万円~80万円 |
信士・信女 | 10~50万円 |
お布施とは、葬儀で読経をしてくれる僧侶の方にお礼として渡すお金のことをいいます。以前は、家にある骨董品や米などを感謝の気持ちとして僧侶に渡していました。感謝の気持ちとして渡す金銭のため、費用相場は定められていません。また、寺院によりお布施の金額が変わります。
お布施として、いくらの金額を渡せばよいか悩んだら、葬儀の相談をする際に平均相場を尋ねてみてください。菩提寺にお布施の費用相場を尋ねるのはマナー違反ではありません。お布施は、寺院の運営費に充てられます。
葬儀の形式を決めたら、誰を葬儀に招待すべきかを考えていきましょう。そのために、故人様の交友関係を整理してみてください。故人の交友関係を整理しておき、葬儀に招待しておけば、弔問客の対応に追われることもありません。故人様の交友関係に見合う葬儀形式を選びましょう。
故人の交友関係が広い場合は「一般葬」がおすすめです。友人が多いのに、直葬や家族葬など小規模な葬儀を選ぶと、葬儀後に個別に訪れてくる弔問客の対応に追われてしまいます。
葬儀を終えたら、遺産相続などの諸手続きで慌ただしくなります。そのような状況で、弔問客の対応に追われると精神的にも肉体的にも負担が重くのしかかるでしょう。そのため、故人の交友関係が広い場合は、一般葬を選びましょう。
故人の交友関係が狭い場合は「家族葬」がおすすめです。家族葬は大勢の会葬者を招待せずに、親族のみで行う形式の葬儀です。そのため、オリジナリティ溢れた葬儀を行えます。生前に家族を大切にしてくれた故人様の人柄を尊重した葬儀を行いたいという方は「家族葬」を選びましょう。
葬儀は故人のために行うものだと思っていませんか?実は、葬儀は参列者のために行うものです。葬儀とは死別の悲しみを受け入れて、乗り越えるための儀式でもあります。そのため、決して安易に考えずに、理想の葬儀について話し合いましょう。
親族はそれぞれ理想の葬儀像を持っているため、喪主側が独断で決めると反感を買う恐れもあります。葬儀で親族間トラブルが起きる主な理由は以下の通りです。
・葬儀の風習の違い
・葬儀費用の負担の割合
葬儀の風習や葬儀費用の負担で揉めてしまうと、その後の遺産分割も円満に行えません。自身の葬儀で親族間トラブルが発生すると故人様も悲しく感じてしまうでしょう。そのため、葬儀トラブルが起きないように注意しなければいけません。
親族の中には、葬儀に対する考え方が違う方もいます。親族や友人たちで行う小規模の家族ではなく、従来の慣習通りに一般葬をあげるべきだと考えを持っている方も多いです。
現在、葬儀の内容や執り行い方は多様化しているため、各自が理想の葬儀像を持っています。そのため、喪主を務めることになっても、独断で葬儀形式・プランを決めずに親族に相談をしましょう。
葬儀費用の負担は誰が行うか、どのような葬儀を行うかを話し合う場合は、助け合いと譲り合いの気持ちを大切しましょう。親族同士で協力し合う姿勢を見せることで、故人様も安心して旅立つことができるはずです。そのため、自分の意見を押し通すのではなく、周囲の意見を聞いて柔軟に受け入れる気持ちを大切にしてください。
終活ブームですが、生前に自分自身の最期を想定して葬儀を契約する方も増えています。自分自身の希望する葬儀が行えるメリットだけではなく、残された遺族の負担を減らしたいという想いで契約される方がいます。故人様は葬儀を理由に親族間トラブルを起こしてほしくないと、生前に葬儀を決めているのです。
最愛の家族との別れは突然やってきます。ご遺族様は悲しみに沈んでいる暇はありません。死亡診断書を受取、市役所で手続きを済ませて、葬儀社やプランを決めて、親族や友人に訃報を知らる必要があります。また、葬儀後もお墓や法要、遺産分割などやらなければいけない手続きは山ほどあります。
そのような中でも、故人様のために、ご遺族のために後悔のない葬儀を行いたいもの。葬儀は、やり直しができません。葬儀事情も多様化しておきており、どのような葬儀が行うかで納得感は異なってきます。そのため、事前準備を行って後悔のない葬儀を行ってください。この記事が、みなさまが悔いなく葬儀を行うためのお役に立てば幸いです。
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