大切なご家族が突然亡くなる。それだけでもつらいのに、事故死・変死・自殺した場合には、大きな混乱と悲しみの中に置かれているでしょう。このような場合には、通常とは異なる対応が必要となります。この記事では、正しい葬儀の手配方法について解説します。
事故死・変死・自殺の場合の葬儀には、通常とは異なる対応が必要です。
事故死・自殺・変死を疑うときは、救急車の手配と同時に、警察へ連絡をします。とくに、ご自身が第一発見者・通報者である場合には、混乱し落ち着かないお気持ちでしょう。
できることならば、一人で抱え込まずに、信頼できるご家族・友人などに連絡を取ってください。この先の対応を、一緒にしてもらうことも忘れないようにしましょう
事故死・自殺・変死・自殺した場合、死因の特定と事件性の精査のために、警察による現場検証・事情聴取が行われます。事故現場の確認と撮影、遺留品の確認などを行う現場検証と並行し、目撃者や第一発見者からの事情聴取が1~2時間かけて行われます。
死亡した状況によっては、後日、警察署などで事情聴取が行われる場合もありますので、警察の指示に従ってください
一般的に亡くなった時には医師が死亡を確認し、「死亡診断書」を交付します。
しかし、事故死・変死・自殺の場合には「死体検案書」という書類が作成されます。死体検案書とはご遺体の検視・検案などを行い、専門の医師が死亡の原因と経過を医学的に調べた場合に作成される書類です。
まずは、死亡時刻・死因・事件性の有無を確認する「検案」を実施します。不審な点がないと判断した場合に、死体検案書が作成されます。もし、死因に不審な点があると判断された場合には、検視・司法解剖が行われ、監察医が死体検案書を作成します。
検案・検視・司法解剖が行われた後、自宅もしくは葬儀場にご遺体を搬送します。ご遺体がいつご家族のもとに戻られるのかは、最短で半日、長いと2か月程度の時間がかかります。警察からの説明をしっかり聞いておきましょう。
事故死・変死・自殺した場合でも、葬儀は通常と変わらず行う事ができます。亡くなった時点で葬儀会社と連絡を取っている場合には、ご遺体がお戻りになったら、すぐに葬儀を行うことができます。
もし、葬儀会社に連絡をしていなくとも、葬儀の手配は通常と同じように行っていけば、問題はありません。
事故死・変死・自殺した場合の葬儀には、絶対に押さえておかなければいけない注意点があります。一つひとつ説明していきます。
ご遺体に触れたり、動かしたりしてはいけません。
第一発見者であれば、大切なご家族に声をかけたい・触れたい、救急隊や警察が来るまでに、ご遺体を落ち着いたところに場所に移動させたいと思うのが心情。事件や事故であれば、のちの現場検証のために、そのままにしておくことが重要になります。
ご遺体がない場合は、葬儀・告別式のみ行う「仮葬儀」をし、故人を弔いましょう。
検案であれば半日~数日で、ご遺族のもとに故人はお戻りになります。そのため、通常と同じ葬儀を執り行うことができますが、検視・司法解剖となるとそうはいきません。故人がお戻りになるまで数週間~2か月程度の時間を要すこともあります。
ご遺体がお戻りになるまで時間を要す場合には、故人を弔う場として、近親者のみで仮葬儀を行います。仮葬儀ではご遺体がありませんので、通夜と告別式のみ行います。
故人がお戻りになったのち、改めて通常の葬儀と同様の「本葬儀」を行い、故人を葬儀~火葬までを行うのが一般的になっています。
事故死・変死・自殺の場合には、意図せず周囲に迷惑をかけたり、損害を与えたりすることも少なくありません。
借家や集合住宅で亡くなると、事故物件として建物の価値が下がります。電車などの公共交通機関に影響を与えてしまいます。その場合、高額な損害賠償金を請求される事もあり、損害賠償金はご遺族に支払い義務が生じます。
損害賠償金額の相場などは決まっていませんが、ご遺族の支払い能力を超えるような法外な値段を請求されるケースも。損害賠償請求に困った場合には、警察や弁護士に相談することをおすすめします。
大切なご家族が事故死・変死・自殺で亡くなると、通常よりも注意すべき点がたくさんあります。
葬儀は、故人との大切なお別れの時間。決して、焦って行わなければならないものではありません。一つひとつ順を追ってすすめていくことで、通常の葬儀と同様に滞りなく故人をお送りすることができるのです。
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