親など親しい人が亡くなり、財産を相続すると、相続税の問題が浮上してきます。せっかく財産を引き継ぐことができたのに、相続税で頭を抱える人も多いのではないでしょうか。
現金などの財産は計算が比較的容易ですが、土地は価値が分かりにく何を基準にして計算すればよいかわからない人も多いでしょう。そんな時に参照するのが、毎年国税庁が発表している路線価というものです。この記事では路線価の確認方法や土地の評価額の計算方法などについて解説しています。どうぞご参考ください。
両親から不動産や土地の贈与や相続の話をされたとき嬉しくなるものですが、それと同時に不安を感じるのは贈与税や相続税などの税金がいくらかかるかでしょう。贈与や相続は嬉しいけれど、多額の税金を支払えないかもしれないと不安に感じる方もいるでしょう。
このように相続税などの税金がいくらなのか計算するときに路線価が使用されます。この路線価は、国税庁が毎年7月から8月にかけて公表する、その年における主要道路に面した1㎡当たりの土地の価格を意味しています。
一般的に土地の売買契約の価格は、売主側が価格を決められますが、相続税の計算で使用する土地の価格は個別に計算できません。国民が平等に税金を納めるように、ルールが定められています。そのため、相続税などの税金を調べる際は、このルールを守らなければいけません。
公的機関が公表する主な地価の指標には、国土交通省が3月に公表する公示地価、都道府県が調べて国土交通省が9月に公表する基準地価もあります。公示地価は基本的に都市計画区域内を調査対象としているのに対して、基準地価は都市計画の区域外も含まれます。
路線価 | 公示地価 | 基準地価 | |
---|---|---|---|
調査主体 | 国税庁 | 国土交通省 | 都道府県 |
調査地点数 | 約33万6,000点 | 約2万6,000点 | 約2万2,000点 |
調査時点 | 1月1日 | 1月1日 | 7月1日 |
特徴 | 相続税や贈与税の算定基準となる | 土地取引や金融帰化の担保評価に活用 | 土地取引の指標 |
路線価は2種類あります。それぞれの違いを理解しておきましょう。
国税庁が7月から8月にかけて公表するのが相続税路線価です。その年の1月1日時点のものが発表されます。調査地点数は約33万6,000点のため、発表には時間がかかってしまうのが悩ましいところでしょう。
たとえば、1月に不動産を相続した場合などは、相続税にいくらかかるのか気になって仕方なくなると思います。このような場合は、国土交通省が4月に発表する公示地価である程度の土地の価格が計算できます。
しかし、一般的に相続時の土地の評価額は「相続税路線価」を使用して計算されるため、7月まで待ちましょう。
市区町村が決定して、3年に1度更新されることが相続税路線価と大きく異なる点です。
主に市街地が調査対象となっているため、農村地にはない場合が多いです。このように路線価がない場合は、固定資産税評価額を代用して計算します。
路線価とは、その年における主要道路に面した1㎡当たりの土地の価格のこと。相続税を計算をするときは路線価を使用しルールに従って計算をする。
路線価に相続税路線価と固定資産税路線価の2つの種類がある。相続税路線価は1月1日時点のものが国税庁によって7月から8月に公表される。
路線価を調べたいというときには、次の方法で調べられます。
国税庁のホームページでは路線価図が掲載されていて、調べたい土地の評価額を計算できます。6年分の情報が掲載されていて、誰でも自由に閲覧できます。
路線価を調査する上で、特におすすめな方法は、一般財団法人資産評価システム研究センターが運営する「全国地価マップ」を利用する方法です。検索したい場所の郵便番号を入力するだけで表示されます。
次の3つの情報を把握を把握して、これらの情報を元に土地の評価額を計算していきます。
土地に接する道路には路線価が設定されているため、この単価を基準に土地の評価額を計算します。千円単位のため、「200D」と記載されていれば1㎡当たり20万円です。そのため「路線価×面積(㎡)」で計算したものが、その土地の相続税の評価額となるのです。
土地の相続税評価額を計算する場合は、土地の形状や地区などで補正します。補正率は地区区分ごとに異なってくるため、周辺を囲う地区区分の記号にも着目しましょう。
地区区分には「ビル街地区」「高度商業地区」「繁華街地区」「普通商業・併用住宅地区」「普通住宅地区」「中小工業地区」「大興行地区」があり、奥行や側方路線影響加算率、不正形地補正率を乗じて計算します。
借地権割合とは、土地全体で借地権が占める割合をいいます。評価したい土地の上に、賃貸アパートが建っているような場合や、貸家が建っている場合は借地権割合を考慮して評価します。借地権割合は、数字の後ろについているアルファベットで判断します。
借地権割合は地域や場所によって異なり、A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、E=30%を表しています。例えば「200D」と記載されていれば、1㎡の土地の評価額は借地権割合が60%のため12万円になります。そのため、数字の横に記載さえているアルファベットにも注目しましょう。
路線価の計算方法が分かったところで、実際に土地の価格を計算してみましょう。見方が一通り分かるようになれば、誰でも比較的に土地評価額を計算できます。今回は、一路線に面する宅地と二路線に面する宅地を想定して計算の仕方をご紹介します。ぜひ、計算する際の見本にしてみてください。
「路線価20万円、借地権割合70%で奥行きが35mある700㎡の土地(普通商業・併用住宅地区)」の場合の計算方法は以下の通りです。
【自用地の価格】
路線価×奥行距離35mに応ずる奥行価格補正率=1㎡当たりの価格
200,000×0.98=196,000円
1㎡当たりの価格×地積=自用地の価格
196,000×700㎡=137,200,000円
【借地権の価格】
自用地の価格×借地権割合=借地権の価格
137,200,000円×70%=96,040,000円
「路線価20万円、側方路線価10万円、借地権割合70%で、35m×20mの合計700㎡の面積がある土地(普通商業・併用住宅地区)」の場合の計算方法は以下の通りです。二路線に面する宅地を計算する際に、正面路線価という言葉が出てきますが、2つの路線に面している宅地の価格を評価する場合、奥行価格補正率を乗じて計算した金額が高い方の価格を利用します。
【自用地の価格】
路線価×奥行距離35mに応ずる奥行価格補正率=(A)
200,000×0.98=196,000円
(A)+側方路線価×奥行距離20mに応ずる奥行価格補正率×側方路線影響加算率=1㎡当たりの価格
196,000+(100,000×1,00×0.087)=204,000円
1㎡あたりの価格×地積=自用地の価格
204,000円×700㎡=142,800,000円
【借地権の価格】
自用地の価格×借地権割合=借地権の価格
142,800,000×70%=99,960,000円
いかがでしたでしょうか。今回は路線価についての話をしました。
土地を相続するうえで避けられないのが相続税。相続税の計算は、この路線価を使って一定のルールの下で行わなければなりません。路線価についての知識をしっかり持って、適切に相続税の目安を立てられるようになりましょう。
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