新型コロナウイルスの感染拡大を受け、生活様式が次々に変化したこの2年。テレワークや書類申請のオンライン化なども進み、人と会うことは制限されるようになりました。「必要急」である葬儀も、さまざまな困難に直面しています。とりわけ、地元から離れて暮らす人、高齢者の葬儀参列はリスクが高いもの。そんな中「リモート葬儀」(オンライン葬儀)という新たな葬儀が生まれました。具体的にはどんなものなのでしょうか?
リモート葬とは、スマートフォンなどのデジタルデバイスを使用したオンラインで葬儀に参列する方法です。三密を避け、感染リスクを軽減できるとして一気に広まりました。主に2つの方法があります。
例えば、遺族の中に高齢者がおり、参列が難しい場合。参列者のひとりがスマートフォンなどでビデオ通話などをつなぎ、中継するという方法。2020年初頭はこうした、個人レベルで参列するケースは少ないながらありました。ただ、この方法は参列者がずっとオンライン状態かどうかを気にかけている必要があるため、負担が大きいとも言えます。
ニーズに応えるため、葬儀社がプランを用意している・またはオプションでオンライン葬儀の用意を選択できる場合も増えてきました。SkypeやZOOM、Google Meetなど、ビジネスツールを使う場合や、葬儀社自身がOBS(ライブ配信用ソフト)などを使った配信環境を整えている場合もあります。段取りはすべて葬儀社が行ってくれますが、打ち合わせすることが多くなり、費用もかかると認識しておきましょう。
主にYoutubeのようにライブ配信する、参列者の顔が見えるミーティング形式で行われています。後日、アーカイブ配信をするというケースもあるようです。基本的には、打ち合わせし、湯灌・納棺を経て通夜・告別式、出棺を行う(一般葬の場合)というように、通常と流れは変わりません。会場の設備を確認したうえで、始まる前に回線のテストなどを行う葬儀社もあります。
主なメリットは
・遠方・高齢の関係者が感染リスクを心配しないで参列可能
・会場にいる出席者側もリスク軽減できる
・会場の規模が小さくても多くの人数が参加できる
などです。葬儀参加者全員の感染リスクを下げられるのは、リモート葬儀の非常に大きなメリットといえるでしょう。
反対にデメリットは
・参列者側にデジタルデバイスが必須になる
・撮影できる範囲は限られる
・回線によって、映像が不鮮明になる可能性
などが挙げられます。スマートフォンやパソコンを持っていない・操作に不慣れな場合、参列はハードルが高くなりますし、会場・参列者側の回線状況に左右されやすいのも特徴です。また、火葬場は撮影自体NGにしていることが多く、お別れを言える場面が限られるというデメリットもあります。
LINEなど、既存のツールを利用して行う場合、無料から数千円程度で行える葬儀社もあります。葬儀社独自の配信ツールを使う場合、数万円前後見積もられることが多いようです。例えば香典や供花に関して専用ページを作ったり、オプションをつけたりすれば費用はふくらみます。どの程度の規模で行うか、事前に相談することが重要です。
葬儀業は独自のガイドラインに従い、感染予防対策のもと葬儀を行っています。しかしリスクとはゼロにならないもの。リモート葬儀は遺族・参列者、全員の感染リスクを軽減できる葬儀です。選択肢に入れてみれはいかがでしょうか。
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