日本では、夫婦別性についての議論が行われていますが、現在は、法律上夫婦別性は認められていません。そのため、夫婦のどちらかの姓に、必ず改姓しなければなりません。職場などでは、独自の運用で旧姓を使用できるように配慮されている会社もありますが、婚姻制度上は、まだ法整備はされていないのです。
妻が夫の姓に変えることもありますが、その逆もできます。しかし、妻が夫の姓に変えるのが一般的です。この記事では、実際に姓を元に戻すための手続きについて解説します。
結婚後に配偶者の姓を名乗っていた人が、配偶者の氏をきっかけに、婚姻前の姓名に戻す手続きを「復氏届」と言います。死亡後に親族との付き合いが億劫に感じたり、将来は再婚を希望したりすることもあるかもしれません。ライフプランに合わせて姓を戻す方もいるでしょう。手続きをするだけで旧姓に戻すことは可能ですが、注意点もあります。手続きをする場合は、次の点に注意をしましょう。
復氏届を提出して変更ができるのは「姓」のみで、婚姻関係が途切れるわけではなく、婚家との関係は継続されていきます。配偶者を亡くした場合は、婚家との関係に戸惑いを覚える方もいると思いますが、婚家との関係を終わらせるためには、婚姻関係終了届を提出しなければいけません。
この手続きには、期日が定められていませんが、復氏届の提出先の窓口と同じ窓口であるため、同時に手続きをすると非常に楽です。そのため、婚姻関係を終わらせたい場合は婚姻関係終了届も一緒に提出しましょう。
復氏届で変更ができる姓は、申請者本人の姓のみです。子供がいる場合は、子供の姓を申請者の姓に合わすことはできません。 子供の姓を変更する場合は、子供自身が家庭裁判所に姓を変更したい旨を伝えて、許可を得なければならないのです。子供が15歳未満の場合は、自分で手続きができますが、子供が15歳以上の場合は子供が申立人になるため、子供に手間をかけさせることになってしまうのです。
そのため、元の姓を名乗るかどうかは、子供と相談をして決めるようにしましょう。 子供の姓が突然変わると、学校内で家庭の事情で姓が変わったなどと、噂話をされてしまうかもしれません。そのため、自分の都合だけではなく、子供の置かれた立場を考えて、旧姓を名乗るかどうかをジックリと考えてみてください。
配偶者が外国人で、自分の姓に戻したい方もいるでしょう。外国人の配偶者が死亡した場合に伴う復氏届については、死亡日の翌日から3ヵ月が経過してしまうと、届出に際して家庭裁判所の許可が必要となるため注意が必要です。
裁判所の手続きは復氏手続きと比較すると複雑になるため、期限内の3ヵ月以内に手続きをするように心がけましょう。期限内に手続きをすることで、手続きにかかる手間を大幅に削減することができます。
配偶者が死亡した場合に、旧姓に戻るために行う手続きを復氏届と言います。復氏届を提出しただけでは、婚姻関係を終わらせることはできません。
ここでは、復氏届の提出方法をご紹介します。また、配偶者との親族との婚族関係を終了させたい場合は「婚族関係終了届」を合わせて提出する必要があります。
必要書類 | 印鑑 戸籍謄本 |
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申請期限 | 期限はなし 届出日から法律上の効力が発生する |
手続先 | 届出人の本籍地または住所地の市役所 |
申請書類 | 復氏届(市役所窓口にて交付) |
市役所窓口で復氏届を受け取ったら、下記の必要事項を記載して提出します。
日付欄には届出年月日を記載します。市役所窓口に復氏届を提出するときの日付です。
復氏する人の氏名と生年月日を記載します。生年月日の欄は「昭和63年」などとシッカリ記載してください。簡略化して記載すると受理されないため注意してください。
復氏する方の現在の住所と世帯主の氏名を記載します。
復氏する方の現在の本籍地と筆頭者の氏名を、戸籍謄本通りに書き込みます。
元に戻したい姓を記載して、父母の氏名と続柄を記載します。両親が離婚している場合は、離婚後の両親の氏名を記載します。
婚姻前の戸籍に戻る場合は「もとの戸籍にもどる」にチェックして、本籍と筆頭者の氏名を記載します。 新しい個性を作る場合は「新しい戸籍をつくる」にチェックをして、新しい本籍地と筆頭者の氏名を記載します。
死亡した配偶者の氏名と死亡年月日を記載します。
とくに記載する菜用がなければ空欄にします。各市役所によって、記載内容が変わってくるため、その他欄に記載する内容があるのかどうかを、市役所の人に確認してみてください。
現在の氏名(復氏する前の氏名)で署名押印します。印鑑は認印で大丈夫ですが、復氏する前の印鑑を使用してください。変更したい姓の印鑑を間違えて押してしまうと受理されなくなります。
復氏届に必要事項を記載して、市役所に提出することで手続きが完了します。
子供の姓を変更する場合は、家庭裁判所に申立てを行って、許可を得なければいけません。また、子供が15歳未満の場合は法定代理人が申立てを行えますが、15歳以上の場合は子供自身が申立てを行います。
申立人 | 子 ※子が15歳未満の場合は、法定代理人が子を代理します |
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申立先 | 子の住所地の家庭裁判所 ※複数人の子供がいる場合は、そのうちの1人の子の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることができます。 |
申立費用 | 収入印紙800円(子1人につき) 連絡用の郵便切手 |
必要書類 | 申立書 標準的な申立添付書類 ・申立人の戸籍謄本(全部事項証明書) ・父と母の戸籍謄本(全部事項証明書) |
子の個性を移す場合は。家庭裁判所の許可を得た後に市役所に届出を提出しなければいけません。審判所謄本や全部事項証明書などの提出が求められることもあるため、事前に市役所に確認をしてみてください。また。家庭裁判所の許可は必ず降りるわけではありません。
そのため、先に子供の姓の変更手続きをした上で、自分の姓を旧姓に変更しましょう。順番が逆になってしまうと、子供と同じ姓を名乗ることはできなくなってしまうため注意が必要です。
子供の中には姓を変更したけれど、やむを得ない事情で、再度、姓を変更したいという場合もあるでしょう。しかし、復氏届の手続きとは異なり、子供の姓は何度でも変更ができるため、安心してください。 再度の変更を希望する場合は、家庭裁判所で再度「子の姓の変更」の手続きをしなければいけません。
ただし、以前の手続きをしたときに、子供が未成年であった場合、お子さんが成人して1年以内であれば、市役所で入籍の届出をするだけで父の戸籍に入ることができます。しかし、死亡した場合は変更できないため注意しましょう。
子供の姓を変更するためには、家庭裁判所で手続きを行わなければいけません。復氏届とは別の手続きになるため注意しましょう。
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