相続・遺言

遺言で書ける項目とは?相続が「争族」にならないよう遺言書を作ろう

自分に「もしも」が起きた場合に備えて、色々と準備をしておきたいところ。例えば、自分が亡くなった場合の相続は代表的な例になります。

相続のトラブルは、一緒に育った兄弟姉妹でさえ争いが起きやすいもの。その様を揶揄して、「争族」と呼ばれることもあります。

残された家族が争いを起こさないためにも、遺言書について学んでおきましょう。この記事では、遺言書の項目を分かりやすく解説します。

遺言で書ける項目の例

遺言は「遺言書」で残すことになりますが、何でも自由に書いて良いものではありません。遺言書に書くことができる項目は、民法によって定められています。

では、一体どのようなことを遺言書に書けるのでしょうか。代表的な項目は以下の通りです。

相続人の廃除

ご自身が遺した財産を、特定の相続対象者に与えたくない場合に、その人を相続対象者から外すことができる項目です。

例えば、故人となる人が、特定の相続対象者に対して、何かしらの遺恨やトラブルがあった場合に「相続させない」と決めることができます。

相続分の指定

相続人が複数いる場合、その人たちに対して相続の分配割合を決めることができます。例えば、家業への貢献度を加味して「長男に6割」、「次男に4割」といったように割合を決めます。

遺産分割方法の指定

遺産は預貯金だけではありません。土地や家屋についても相続の対象となります。

この項目では、「土地は長男のAへ」、「預貯金は次男のBへ」といったように、誰に何を相続させるかを定めることができます。

特別受益の持ち出し免除

被相続人が生前、特別な贈与を与えていた人がいれば、生前贈与分を考慮して遺産を分配することが可能です。

例えば、結婚資金や住宅購入資金として、500万円を贈与していた場合、相続時にはその分を考慮した上で相続対象者に遺産を分配することができます。

担保責任に関する別段の意思表示

相続対象者である長男のAさんが、同じく相続対象者である次男のBさんに借金がある場合、その債権を考慮して遺産分割割合を決めることができます。

包括遺贈および特定遺贈

相続人ではない特定の人に遺産を贈ることができる項目です。

『包括遺贈』とは、故人の遺産を相続人以外の人に、物や金銭を指定せず一定の割合で贈ることです。一方、『特定遺贈』とは、故人の遺産を相続人以外の人に、遺言書で定められた財産を贈ることです。

例えば「音楽仲間である友人Cさんに、楽器を遺贈する」ことができます。

遺言書の種類

遺言書は「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類となります。特徴は、それぞれ以下のとおりです。

自筆証書遺言

・遺言者が遺言書の全文・日付を自筆し、署名と押印をする必要がある
・遺言書に添付する財産目録は自筆でなくてもOK
・家庭裁判所に持ち込み、検認をおこなう必要がある

公正証書遺言

・公証人が、遺言内容を聞き取りながら遺言書を作成する
・2名以上の証人が必要となる

秘密証書遺言

・遺言者が遺言状を作成する
・遺言書を持ち、証人2名を連れて公証人役場へ行き、遺言書の存在を確認してもらう
・遺言書は遺言者本人が保管する

「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」であれば、ご自身で遺言書を作成することが可能です。しかし、遺言書を作成する上で間違いないのが、弁護士か司法書士に依頼することです。

弁護士か司法書士に、遺言書の作成を依頼することによって、証人を探さないといけない手間や問題が解決します。

遺言書を作成する際の注意点

遺言書を作成した方が良い場合は、主に以下のケースです。

・子供がおらず、妻以外に親・兄弟が法定相続人に加わってしまう場合
・相続人同士が不仲であり、相続発生時に揉め事が起きると予測できる場合
・内縁の妻など、法定相続人以外に遺産を相続させたい場合

遺言書の作成を弁護士や司法書士に依頼する場合、15万円から30万円ほどの予算が必要となります。この金額は、遺言の内容や難易度、遺産額によって増減する場合があります。

「相続」を「争族」としないために

相続によって、親族同士でトラブルが起きそうな場合、遺言書を作成することで一定のトラブルを回避することができます。

しかし、遺言書は好き勝手に書いて良いものではなく、法的な効力を持つ項目は民法で定められています。

遺言書の内容に不備があると、遺言書が無効になってしまう恐れがあります。そうならないよう、確認をしながら遺言書の作成を進めましょう。

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