相続放棄は、借金などのマイナス財産を相続してしまうことを避けたい場合など、相続しないことを決めた場合には、相続放棄をすることができる期限内になるべく早く検討しなければならない手続きです。
相続放棄の手続きは自分で行うこともできますが、確実に進めるためにも料金はかかりますが弁護士や司法書士といった専門家に依頼することをおすすめします。まずは、無料相談などを活用するといいでしょう。
このページでは、相続放棄の手続きにかかる費用について、実費と専門家に支払う依頼料に分けて解説します。また、弁護士や司法書士などの専門家に依頼すべきかどうかの判断基準について解説します。
相続放棄にかかる費用は大きく分けて2つあります。1つは相続放棄の手続き自体に必要になる実費で、自分で手続きをする場合でもかかる費用です。もう1つは、弁護士や司法書士に支払う依頼料です。
ここでは相続放棄にかかる費用の相場を紹介していますが、専門家への依頼をする場合、3か月の期限を過ぎているかどうかによっても料金が変動しますので、実際の料金は事務所へ確認をしましょう。
相続放棄の手続きの必要書類を取得する際にかかる役所での手数料や、書類に貼付する印紙代などが実費としてかかります。相続放棄をする場合にかかる主な実費は下の表のようになります。
相続放棄の申述書に貼付する印紙代 | 800円 |
被相続人の戸籍謄本 | 450円 |
被相続人の除籍謄本 | 750円 |
被相続人の改製原戸籍 | 750円 |
手続きをする本人の戸籍謄本 | 450円 |
被相続人の住民票 | 300円 |
家庭裁判所の郵送用切手代 | 300円 |
合計金額 | 4000円 |
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相続放棄の手続きをする場合の実費は、先ほど紹介した通り約4000円です。自分で相続放棄の手続きを全て行う場合には実費のみの負担で済みますので、4000円程度で手続きができるということになります。
ただし、ケースによっては戸籍謄本を複数取得する必要があり、その場合はその分の取得費用が加算されます。また、住民票や切手代などは地域によって多少異なりますので注意してください。
弁護士に相続放棄の手続きを依頼する場合は、先ほど紹介した実費に加えて弁護士に報酬を支払うことになります。弁護士の報酬は、現在では自由化されていますので事務所によって金額が異なります。そのため、正確な金額は依頼する法律事務所に問い合わせてみる必要があります。
ここでは、相続放棄を弁護士に依頼した場合に、一般的にどのくらいの料金がかかるのかについて解説します。
相談料は、相続放棄について弁護士に相談するときにかかる費用です。相談料の目安は30分5000円ですが、最近では相談料を初回30分無料などにしている法律事務所もあります。
家庭裁判所に提出する申述書には、被相続人や申述する本人の住所氏名、相続放棄をする理由などを記載しますが、この申述書の作成費用として、1万円程度かかります。
必要書類を整えて家庭裁判所に手続きを代行申請する費用として、約5万円~10万円程度の料金がかかります。法律事務所によっては「申述書の作成代行」の料金についても「家庭裁判所での手続き代行料」の中に含まれているような料金設定をしている法律事務所もあります。
戸籍謄本などの書類の取得代も含めて、弁護士に相続放棄を依頼する費用は総額で10万円程度かかると考えておくといいでしょう。
司法書士に相続放棄の手続きを依頼する場合も、弁護士に依頼する場合と同じように依頼料がかかります。司法書士の報酬についても自由化されていますので、正確な費用はやはり個別の司法書士事務所に問い合わせるようにしましょう。
一般的に司法書士に依頼した場合、依頼料は弁護士よりは安くなるのが一般的です。それでは、費用の目安を見てみます。
相談料は弁護士と同様に、30分5000円が相場ですが、司法書士事務所によっては初回無料などにしているところもあります。
司法書士に依頼した場合、申述書の作成代行料として8000円程度かかります。弁護士に依頼した場合より少し安くなることが多いです。
家庭裁判所への手続き代行料についても、弁護士への依頼料よりも低額になっており、3万円~5万円程度となっています。
弁護士は依頼人の代理として相続放棄の申請ができますが、司法書士の場合は書面作成の代理のみです。多くの場合は、弁護士と司法書士のどちらに依頼しても結果として変わりありませんが、完全な代理権がないことから司法書士への依頼料の方が安くなることが多いです。
司法書士に相続放棄を依頼する場合は、必要書類の取得代も含めて総額で5万円前後かかると考えておけばいいでしょう。
単純に相続放棄の手続きが面倒で専門家を利用したいという場合もあるでしょうが、その分費用がかかります。相続放棄の手続きを自分でするか、専門家を利用するか、判断するための基準を解説します。
多くの場合には、相続放棄の依頼先として弁護士と司法書士のどちらを選択したとしても大きな差はありませんので、相続放棄を専門的に取り扱っているかどうかを重視しましょう。
相続人が自分1人だけである場合、複数相続人がいるもののその間に争いが無い場合などで、相続財産調査についてもすぐに正確に動くことができる自信があれば、自分で相続放棄の手続きをしても問題ないでしょう。
しかし、相続放棄は一度手続きをしてしまうと、もう一度手続きをすることはできません。相続放棄が自分で簡単にできるかどうかはケースによって異なりますので、自分で確実に相続放棄の手続きをできる自信がある場合でなければ専門家へ相談することをおすすめします。
財産調査が面倒、あるいは借金や借り入れなどの調査が難しいなどの理由で弁護士を利用することも有効です。また、弁護士は金額の多寡に関わらず代理交渉が可能ですから複数相続人間で争いがある場合や、債権者から督促を受けているようなケースでは司法書士よりも弁護士に相談すべきでしょう。
また、ケースによっては、文章のやりとりのみでは相続放棄の手続きが完了せず、裁判所に出頭することが求められる可能性があります。弁護士に依頼していると、そのような場合に弁護士が代理人として立ち会うことができます。
また相続放棄は一度手続きをするとキャンセルできませんから、自分のケースでは本当に相続放棄をしたほうが良いのか、放棄した場合どのような影響が及ぶのか、法的な作用や効果を個別具体的に詳しく相談したいという場合も弁護士の方が安心でしょう。
司法書士は140万円以上の金額の案件については代理交渉ができないなど制限があるので、遺産の取り分について相続人間に争いがあったり、債権者との交渉が必要なケースでは弁護士に比べると対応が限定されます。
権利者間に争いがなく、法的なトラブルも予想されないケースで単純に手続きが面倒なので代行して欲しいという場合は、弁護士よりも費用が安く済む司法書士を検討するといいでしょう。
相続放棄は手続きをやり直すことができません。また、他の方から相続放棄は簡単に自分でできると聞いたとしても、相続放棄をすべきかを含めて、適切な対応は個々のケースごとに異なります。
そのため、自分で確実に相続放棄の手続きをできる自信がある場合でなければ、弁護士や司法書士といった専門家へ相談することをおすすめします。
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