葬儀のマナー

弔電と香典は両方を送るべき?葬儀に参列できない場合の判断基準!

葬儀に参列できない場合、「弔電と香典は両方送るべき?」「一緒に送ってもいいの?」と迷う方は少なくありません。故人様への想いを伝えたいけれど、マナー違反にならないか、かえってご遺族にご迷惑をかけてしまわないか、不安に感じますよね。

結論からお伝えすると、弔電と香典を「一緒に」送ることは可能ですが、その方法やタイミングには正しいマナーがあります。また、両方を送るかどうかの判断は、故人様との関係性やご遺族の意向によって変わってきます。

この記事では、弔電と香典を一緒に送る際の具体的な方法と手順、送るべきかどうかの判断基準、そしてそれぞれの送り方に関する注意点まで、葬儀マナーの専門家が分かりやすく解説します。大切な方を偲び、ご遺族に寄り添う気持ちを正しく伝えるために、ぜひご活用ください。

1. 弔電と香典は両方送るべき?基本的な考え方

葬儀に参列できない場合、弔電と香典を両方送るべきか迷うことは多いでしょう。

結論から言うと、弔電と香典は必ず両方を送らなければならないものではありません。それぞれの役割と、ご自身の状況を考慮して判断することが大切です。

  • 弔電: 葬儀に参列できない場合に、故人様へのお悔やみの気持ちをいち早く伝える電報です。遠方で駆けつけられない時や、急な都合で参列が難しい時に、弔意を示す手段として利用されます。
  • 香典: 弔事に際し、故人様へお供えする金銭です。現在では、葬儀にかかるご遺族の金銭的負担を軽減するという役割も担っています。故人様との関係性が深い場合や、生前お世話になった気持ちを形にしたい場合に送ります。

一般的に、故人様やご遺族との関係が深い場合(親族、特に親しい友人・知人、直属の上司や仕事関係者など)は、弔電と香典の両方を送ることが望ましいとされています。一方で、普段からあまり付き合いのなかった方が亡くなった場合や、香典の受け取りをご遺族が辞退している場合は、弔電だけでも問題ありません。

2. 【結論】弔電と香典を「一緒に送る」具体的な方法と注意点

「弔電と香典を一緒に送りたい」という場合、物理的に同じ封筒に入れて送るわけではありません。それぞれの適切な方法とタイミングで手配することで、弔意と経済的サポートの両方を届けます。

弔電と香典は物理的に同封できる?

いいえ、弔電(電報)と香典(現金書留)は、基本的に物理的に同封することはできません。これらはそれぞれ異なるサービス(電報サービスと郵便局の現金書留)を利用して送られるため、ご注意ください。

「一緒に送る」という表現は、多くの場合、「同じタイミングで、弔電と香典の両方を手配して送る」という意味で使われます。つまり、別々の形で、しかし同時期にご遺族のもとへ届くように手配する、ということです。

ただし、葬儀社を通じて供花や供物を手配する際に、香典を合わせて送れるケースはありますが、弔電は電報サービスを通じての送付となります。

一緒に送る場合のタイミングと手順

弔電と香典を「一緒に送る」場合の、それぞれの最適なタイミングと手順を確認しましょう。

弔電を送るタイミング

弔電は、葬儀や告別式で読み上げられるため、必ず葬儀・告別式の開式前までに斎場へ届くように手配しなければいけません。訃報を聞いたら、できるだけ速やかに弔電を手配しましょう。

遅くとも、告別式の前日までには届くように手配するのが一般的です。

香典を送るタイミングと手順

香典は、訃報を受けたらできるだけ早く送るのが基本です。ただし、ご遺族は葬儀の準備で多忙を極めていますので、無理に葬儀前日や当日に届ける必要はありません。葬儀後2~3日経ってから、初七日までを目安に送るのが一般的です。

香典を郵送する際は、郵便局の「現金書留」を利用します。現金書留以外で現金を送ることは郵便法で禁じられていますので注意しましょう。

  1. お金を用意する: 香典の金額相場を確認し、新札を避けて用意します。
  2. 香典袋に包む: 故人様との関係性や宗派に応じた香典袋を選び、正しい方法で包みます。
  3. 現金書留で郵送手配する: 郵便局で現金書留専用封筒を購入し、香典袋と送り状(添え状)を入れて郵送します。

【重要】香典の郵送先は喪主の「ご自宅」へ
香典を郵送する場合、宛先は基本的に喪主のご自宅宛てとしましょう。葬儀会場(斎場)へ送ると、葬儀の準備でご遺族が不在がちであったり、スムーズに受け取れない可能性があります。また、香典返しなどの手配の都合上も、ご自宅に送る方がご遺族にとって望ましい場合が多いです。

香典の「送り状」の重要性

香典を郵送する際には、お悔やみの言葉や、葬儀に参列できないことへのお詫び、故人様を偲ぶ気持ちを綴った手紙(送り状、または添え状)を同封することが、より丁寧なマナーとされています。

送り状には、以下の内容を簡潔にまとめましょう。

  • ご逝去への心からのお悔やみ
  • 葬儀に参列できないことへのお詫び
  • 故人様への思い出や感謝の気持ち(簡潔に)
  • ご遺族への配慮の言葉、お悔やみの言葉
  • (必要であれば)香典を送付した旨

【注意点】
忌み言葉(「重ね重ね」「くれぐれも」など不幸が繰り返すことを連想させる言葉や、「死ぬ」「死亡」など直接的な表現)を使わないように注意しましょう。また、時候の挨拶は不要です。

3. 弔電の送り方とマナー

弔電とは?送る目的とタイミング

弔電とは、葬儀に参列できない場合に、お悔やみの気持ちを伝える電報のことをいいます。電報は葬儀や告別式で読み上げられることがあるため、葬儀の開式前に斎場に届くように手配しなければいけません。そのため、訃報を聞いたらできる限り速やかに弔電を手配しましょう。

弔電を送る主な目的は、物理的に参列できない状況でも、故人様への敬意とご遺族への弔意をいち早く伝えることです。

弔電の送り方と宛名・差出人の注意点

弔電の送り方は以下の通りです。弔電は葬儀で読まれるため、開式前に葬儀会場へ届くように手配しましょう。

  1. 電報サービスにアクセスする: NTTの「D-MAIL」などが一般的です。インターネットや電話で申し込めます。
  2. 電報台紙を選ぶ: 台紙の種類は、故人様への敬意を表すシンプルなものから、お花を添えたものまで様々です。
  3. お悔やみのメッセージを作成する: 定型文とオリジナル文章が選べます。
  4. 宛先と差出人の情報を記載する:
    • 宛先: 葬儀会場名(斎場名と住所)を正確に記載します。
    • 宛名: 喪主名(フルネーム)を記載し、「様」をつけます。喪主が不明な場合は「故〇〇様 ご遺族様」とすることも可能です。
    • 差出人名: ご自身の氏名を記載します。会社関係の場合は、会社名・部署名・役職名、または連名(例:〇〇株式会社 営業部一同)など、故人様との関係性が分かりやすいように記載しましょう。
  5. 支払方法を選ぶ: クレジットカード決済や電話料金合算払いなど。

メッセージ作成の注意点(忌み言葉、敬称など)

お悔やみのメッセージにはテンプレートが用意されていますが、故人様との思い出や人柄が分かる言葉を添えると、より偲ぶ気持ちが伝わりやすいでしょう。

しかし、オリジナルメッセージを作成する場合は、以下の「忌み言葉」を使用しないように気をつけて下さい。

  • 不幸が重なることを連想させる言葉: 「重ね重ね」「くれぐれも」「たびたび」「再び」「続いて」など
  • 不吉な言葉: 「大変なこと」「とんでもないこと」「とんだこと」など
  • 直接的な表現: 「死ぬ」「死亡」「急死」など(「ご逝去」「ご永眠」などの婉曲表現を用いましょう)
  • 宗教・宗派によって使ってはいけない言葉: 「ご冥福をお祈りします」(仏教用語。他の宗派では使わない方が良い)、「冥土」(仏教用語)など

宗派が分からない場合は、「心よりお悔やみ申し上げます」など、宗教色のない一般的な表現を選ぶと安心です。また、故人様の敬称(例:ご尊父様、ご母堂様、ご主人様、ご令夫人様)にも注意しましょう。

4. 香典の送り方とマナー

香典とは?渡す意味と役割

香典とは、弔事に参列する際に選考や花の代わりに故人様にお供えするための金銭です。現代では、葬儀にかかるご遺族の金銭的負担を軽減するという役割も持っています。故人様と関係性が深かった場合や、葬儀に参列できない場合でも、香典を贈ることで弔意とサポートの気持ちを伝えることができます。

香典の相場と選び方(関係性・年齢別)

香典の金額は、故人様との関係性やご自身の年齢によって異なります。あくまで相場ですが、以下の目安を参考にしましょう。偶数や「4」「9」の数字は「死」や「苦」を連想させるため、避けるのがマナーです。

関係性 20代~30代 40代~50代 60代以上
両親 5万円~10万円 5万円~10万円 5万円~10万円
兄弟姉妹 3万円~5万円 5万円~10万円 5万円~10万円
祖父母 1万円~3万円 3万円~5万円 3万円~5万円
その他の親族 5千円~1万円 1万円~3万円 1万円~3万円
友人・知人 3千円~1万円 5千円~1万円 5千円~1万円
職場関係者 3千円~5千円 5千円~1万円 5千円~1万円
ご近所の方 3千円~5千円 3千円~5千円 3千円~5千円

※地域や故人様との親密度によって変動することがあります。

香典袋の選び方と表書き(宗派別)

香典袋は、宗派に応じて選び方や表書きが異なります。正しいマナーを覚えておきましょう。

水引の種類

  • 黒白結び切り: 最も一般的で、宗教・宗派問わず使用できます。
  • 黄白結び切り: 関西地方や一部地域で主に使われます。

※「結び切り」は、一度結んだらほどけないことから「二度と繰り返さない」という意味が込められています。

表書きの例(代表的なもの)

  • 仏教: 「御霊前」(四十九日までは広く使用可能)、「御仏前」(四十九日以降)、「御香典」、「御香料」
  • 神道: 「御玉串料(おたまぐしりょう)」、「御榊料(おさかきりょう)」、「御神前」
  • キリスト教: 「お花料」、「献花料」、「御ミサ料」(カトリックのみ)、「忌慰料(きいりょう)」
  • 無宗教・宗派不明: 「御霊前」、「御香典」、「御花料」など、宗教色のない表書きを選びましょう。

香典の包み方・準備

  • お札の入れ方: 新札は不幸を予期していたと受け取られる可能性があるため、古いお札や、一度折り目をつけてから包むのがマナーとされています。お札は肖像画が裏向き(香典袋の表側から見て肖像画が見えない向き)になるように包みます。
  • 枚数: 偶数枚や「4」「9」の枚数は避けましょう。
  • 内袋(中袋): 香典袋に内袋がある場合は、内袋の表に金額(旧字体で「金〇萬円」など)を、裏に住所と氏名を記載します。内袋がない場合は、香典袋の裏面に直接記載します。

現金書留での郵送手順と注意点

香典を郵送する際は、必ず郵便局の「現金書留」を利用します。現金書留以外で現金を郵送することは法律で禁じられています。

  1. 郵便局窓口へ: 郵便局の窓口で「現金書留用封筒」を購入します。
  2. 必要事項の記入: 封筒の指定欄に、喪主の住所・氏名(宛名)、ご自身の住所・氏名(差出人)などを正確に記入します。
  3. 香典と送り状を封入: 香典袋に入れたお金と、作成した送り状(添え状)を現金書留用封筒に入れます。
  4. 郵便局で手続き: 窓口で内容物と金額を伝え、郵送料と書留料金を支払います。追跡サービスも利用できます。

【注意点】
先述の通り、香典の郵送先は基本的に喪主のご自宅宛てとしましょう。葬儀会場(斎場)への郵送は、ご遺族が受け取れない、または返礼品の手配に手間がかかるなど、ご迷惑になる可能性があります。

5. 弔電と香典を送るべきかの判断基準(状況別)

弔電と香典を両方送るか、片方だけにするか、あるいは何も送らないか。それは故人様との関係性や、ご遺族の意向、ご自身の状況によって判断が異なります。

故人様との関係性で判断する

  • 両方を送るのが望ましいケース:
    • 故人様がご自身の親族(特に近しい親族:両親、兄弟姉妹、祖父母など)
    • 故人様が特に親しい友人・知人であった場合
    • 故人様が直属の上司や、仕事で特にお世話になった方の場合(会社規定があればそれに従う)
  • 弔電だけでも良いケース:
    • 故人様との面識が浅い、または間接的な関係(共通の知人、遠い親戚など)
    • 仕事関係で、会社から香典が出る場合など、個人での香典が不要な場合
    • ご遺族との関係が薄く、香典を送ることがかえって負担になることを懸念する場合
  • 香典だけでも良いケース:
    • 訃報を弔電の手配に間に合わないほど遅く知った場合(弔電は葬儀前に届けるのが基本のため)
    • 葬儀には参列できないが、経済的な支援を特に強く望む場合(ただし、送り状は必須)

香典辞退の意向がある場合

喪主やご遺族様が香典辞退の意向を明確にしている場合は、その意向を最優先し、香典を送らないのが正しいマナーです。

香典辞退は、ご遺族が香典返しの手間を省き、故人様との最期の時間をゆっくり過ごしたい、あるいは弔問客に負担をかけたくないという配慮から行われます。この意向を無視して香典を郵送すると、かえってご遺族にご迷惑をかけてしまうことになりますので注意しましょう。

【それでも気持ちを伝えたい場合】
香典辞退でも、何か気持ちを伝えたい場合は、以下の方法を検討しましょう。

  • 弔電のみを送る: 香典辞退でも、弔電は受け取ってもらえることが多いです。
  • 供花・供物を贈る: 葬儀社を通して手配し、ご遺族に負担がかからないようにしましょう。
  • 後日改めて弔問する: 四十九日以降に、ご自宅へお伺いし、お線香をあげさせていただく形です。この際も、ご遺族の都合を事前に確認し、手土産程度に留めるのが一般的です。
  • 手紙のみを送る: 心からの弔意を綴った手紙を送ることも、十分に気持ちは伝わります。

葬儀に参列できないその他の理由

  • 遠方のため: 遠方に住んでいて参列が難しい場合、弔電と香典(郵送)の両方を送るのが一般的です。
  • 体調不良や急用: やむを得ない理由で参列できない場合も、弔電と香典(郵送)で弔意を伝えましょう。
  • 訃報を知るのが遅れた: 葬儀に弔電が間に合わない場合でも、後日香典を郵送し、別途お悔やみの手紙を添えることで弔意を示すことができます。弔電は葬儀に間に合わなければ送る意味が薄れます。

6. 弔電・香典を送る際のQ&A

弔電や香典に関するよくある疑問にお答えします。

弔電だけ送る場合、香典だけ送る場合は?

  • 弔電だけ送る場合:
    • 故人様との面識が浅い、または間接的な関係の場合。
    • 会社全体で香典を出すため、個人での香典は不要な場合。
    • ご遺族が香典辞退の意向を示しているが、弔意は伝えたい場合。
    • 経済的な事情などで香典を包むのが難しい場合。
  • 香典だけ送る場合:
    • 訃報を弔電の手配に間に合わないほど遅く知った場合。
    • 葬儀には参列できないが、ご遺族の経済的負担を軽減したいという意向が強い場合。
    • ただし、香典を郵送する際は、必ずお悔やみの手紙(送り状)を同封しましょう。

訃報を後から知った場合、どうすればいい?

葬儀に弔電が間に合わないほど遅れて訃報を知った場合でも、故人様への弔意を伝えることは可能です。

  • 香典: 葬儀後でも、香典を郵送することは可能です。一般的には、四十九日頃までを目安に送ります。この際も、現金書留で送り状を必ず同封しましょう。
  • 弔電: 弔電は葬儀に間に合わなければ送る意味が薄れます。代わりに、お悔やみの手紙やはがきを、ご遺族の自宅宛てに送ると良いでしょう。
  • 後日弔問: ご遺族の都合を伺った上で、後日改めてご自宅へ弔問に伺い、お線香をあげさせていただく形も考えられます。

お供え物(供花・供物)も一緒に送るには?

供花(きょうか)や供物(くもつ)は、弔電や香典とは別に手配します。

  • 供花・供物は、葬儀社を通じて手配することが一般的です。葬儀会場やご遺族の意向によって、受け付けていない場合や、指定の業者がある場合があるので、必ず事前に葬儀社に確認しましょう。
  • 香典とは異なり、現金書留で一緒に送ることはできません。
  • 贈るタイミングは、葬儀・告別式の前日までに斎場に届くよう手配するのが一般的です。

法要の際に香典と電報を送るマナーは?

葬儀とは異なり、法要(四十九日、一周忌など)では、一般的に「弔電」ではなく、「お悔やみの手紙」や「お供え物(供花・供物)」を送ることが多いです。

  • 香典: 法要に参加できない場合は、香典を郵送します。表書きは「御仏前」とするのが一般的です。現金書留で送り状を添えて送りましょう。
  • 電報: 法要で電報が読み上げられることはほとんどありません。代わりに、ご遺族へのお悔やみと法要への出席できないことへのお詫びを記した手紙やはがきを送るのが丁寧です。

7. まとめ:心遣いを正しく伝えるために

葬儀に参列できない場合でも、故人様を偲び、ご遺族へ心遣いを伝えたいという気持ちは、私たち日本人にとってとても大切な文化です。「弔電と香典を一緒に送る」という行為は、物理的な同封ではなく、それぞれの適切な方法とタイミングで、弔意と経済的サポートの両方を届けることを意味します。

正しいマナーを理解し、ご遺族の意向を尊重することで、あなたの心からの想いはきっと伝わるはずです。このガイドが、大切な場面で迷うことなく、適切に対応するための一助となれば幸いです。

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