家族が亡くなった後の手続きや葬儀マナーまで、幅広い仏事の相談ができる菩提寺。菩提寺とは、どのような寺院のことをいうのでしょうか?ここでは、菩提寺について分かりやすく解説します。
菩提寺は、サンスクリット語で「悟り」「目覚め」という意味を持っています。ご先祖の位牌を納めたり、お墓を建てたりして葬礼や仏事を営む寺院のことです。菩提寺と檀家は、葬儀や法事の依頼をする一方、運営維持を支えるという関係性になります。
菩提寺と付き合えば、仏事に関する相談ができます。人生で葬儀の喪主を経験する機会は何度も訪れるものではありません。家族が亡くなった後の手続きや葬儀マナーまで、幅広く相談ができることが檀家と付き合うメリットです。
また、菩提寺と付き合いを持っていれば、繁忙期でも優先的に葬儀・法事を行ってもらえます。そのため、仏事に関する安心感が得られます。
菩提寺と付き合うためには、寺院運用・維持を支えていかなければいけません。墓地管理料や定期的な法要のお布施を含めると年間相場3万円程度の費用を支払わなければいけません。
また、寺院によっては葬儀や法要以外に寄付を求められることもあります。さらに、檀家制度をやめる場合にも離檀料が必要となります。離檀料の平均費用相場は5~20万円程度です。
菩提寺との付き合いがある場合は、葬儀の枕経を依頼してください。宗派の異なる寺院に枕経や戒名を依頼してしまうと、ご先祖のお墓に遺骨を納めてもらえない恐れがあります。そのため、菩提寺に枕経や戒名を依頼しましょう。
まずは、故人様の死亡を確認します。病院でお亡くなりになられた場合は、医師から死亡診断書が貰えます。
自宅や他の場所で亡くなった場合は、検察官が事件性がないかを確認した上で監察医が遺体を調べて死体検案書を作成してくれます。死亡診断書(死体検案書)は、火葬許可証の発行で必要になる重要書類のため大切に保管しておきましょう。
故人様の死亡を確認したら、菩提寺に連絡を入れて枕経を依頼しましょう。葬儀会場や日時、僧侶の人数、戒名などについて相談してください。
戒名は、故人様の職業や趣味を元に決めるものですが、ある程度の希望を反映してもらえます。そのため、菩提寺に連絡を入れる前に戒名の希望をまとめておきましょう。
葬儀当日に枕経を担当してもらったら、僧侶の帰宅前にお布施を支払います。葬儀のお布施の平均費用は約50万円です。この金額には戒名代も含まれています。しかし、寺院や宗派によりお布施の費用は変動します。少しでも不安に感じた場合は、菩提寺に確認しておきましょう。
ご先祖が眠るお墓が遠方にあり、近場にお墓を移したいという方もいることでしょう。このような理由で菩提寺を変更することも可能です。
しかし、菩提寺を変更する場合は注意しなければいけないため気をつけてください。ここでは、菩提寺の変更方法について解説します。
まずは、移転先のお墓の場所を決めましょう。交通アクセスや墓地内の環境、施設、設備を良く確認してください。移転先を決めたら、お寺から「受け入れ証明」を発行してもらいます。
移転先のお墓の場所を決めたら、現在、付き合いのある菩提寺に挨拶をしに行きましょう。
電話口で離檀したいと伝えると、高額な離檀料を請求されてしまう恐れがあります。そのため、直接会いにいき、やむを得ない事情で離檀したいことを伝えましょう。お互いが納得する形で話を進めていけばトラブルを防止できます。
お墓を移転する場合は、既存の墓地の原状回復工事をしてからお返しをします。これまで墓地を借りていた立場なので、前の状態に戻してお返しをしましょう。原状回復工事を含めた離檀料は20万円程度かかります。
次に、菩提寺に関するよくある質問をご紹介します。
菩提寺と付き合いがあるか分からない場合は、葬儀の経験がある両親や親族に確認してみましょう。また、ご先祖様からの戒名から菩提寺を探すことも可能です。近場にある寺院に出向いて確認する方法もあります。
檀家制度に加入をする場合は、檀家料として年間2万円程度の料金がかかります。檀家料の金額は寺院により異なるため、加入前に確認するようにしましょう。
自宅近くにお墓を引っ越すために、菩提寺を変更する場合は、総額で150万円程度かかります。まず、菩提寺を変更する費用として20万円程度必要です。また、お墓の引越し費用として130万円程度かかります。
菩提寺は、ご先祖様が眠るお墓を管理し、供養をしてくれる場所です。仏事に関する知識を持つ菩提寺とお付き合いをしておけば、ご先祖様の供養を手厚くしてもらえたり、葬儀を優先的にしてくれたりするため安心できるでしょう。
檀家制度に加入する人は少なくなってきていますが、今一度、菩提寺との付き合いを大切にしていきましょう。
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