通夜・葬式では、弔問客に対して「葬式饅頭」が振る舞われます。地域によって、異なる色や形をしている、ということが特徴です。この記事では、葬式饅頭の種類や、最後まで美味しく召し上がる方法についてご紹介します。
「葬式饅頭」とは、通夜式や告別式で、遺族が弔問客に振る舞う饅頭のことをいいます。「志」と書いた、のし紙を箱に巻いて配ります。
色や形が異なるため、その地域に合わせた形状の葬式饅頭を、弔問客に配ることが大切です。
「葬式饅頭を配る」という習慣は、仏教の考えに基づき生まれました。
仏教では「故人の財産が死後も残っているのは、生前の強い物欲が影響しているため」という考え方があります。そのため、財産を饅頭という形にして配ることで、故人が徳を積めるようにしているのです。
葬式饅頭には、地域によって、さまざまな種類があります。主な種類は、以下の5つです。
・春日饅頭
・青白饅頭
・黄白饅頭
・おぼろ饅頭
・中華饅頭
春日饅頭は、関東地方や東北地方の葬式で、用いられています。小判型で、中身はこしあんです。
白い薄皮の中央にシノブヒバという植物の型を焼き付けてあるため、別名「しのぶ饅頭」「檜葉饅頭」とも呼ばれます。ヒノキやカシワの型を、焼き付けることもあります。サイズは、一般的な饅頭よりも大きめです。
青白饅頭は、関東地方の葬式で用いられています。青と白の饅頭をセットで配ります。
弔事だけでなく、慶事でも用いられることが特徴です。従来は「弔事はこしあん、慶事は粒あん」と定められていました。しかし、現在では、細かく区別しなくても大丈夫です。
黄白饅頭は、関西地方の葬式で用いられています。黄色と白の饅頭をセットで配ります。
黄白饅頭の皮には、山芋や小麦粉が練り込まれており、中身はこしあんです。
おぼろ饅頭も、関西地方の葬式で、用いられています。蒸した饅頭の上皮を剥いて、表面をおぼろ状に仕上げています。中身はこしあんです。
中華饅頭は、北海道の葬式で用いられています。半月型で、どら焼きのような形をしているのが特徴です。
小麦粉を練り込んだ生地にあんこを挟み、二つ折りにして形を整えます。
葬式饅頭は、数日そのまま放置するだけで、皮がカチカチになりやすいです。そのため、手を加えることで美味しく召し上がれます。
以下の方法を、お試しください。
・蒸し饅頭
・焼き饅頭
・揚げ饅頭
葬式饅頭を蒸し直すと、再びふっくらさせることができます。蒸し直す方法としては、以下の2つがあります。
①炊飯器で蒸す
炊飯器で保温中のご飯の上に、ラップを敷いて、その上に葬式饅頭を乗せます。15分ほどで完成です。
②電子レンジで蒸す
霧吹きなどで水分を吹きかけ、優しくラップで包み、15〜30秒ほど温めます。
トースターやフライパンを使い、少し焦げ目が付くまで焼きます。トースターの場合、焦げ過ぎてしまいそうなら、アルミホイルを被せると上手に焼けます。
葬式饅頭を、油で揚げます。調味料は付けず、素揚げで大丈夫です。天ぷら衣を付けたり、ホットケーキの粉を付けたりして、揚げる方法もあります。
このように、葬式饅頭には、さまざまな種類があります。遺族から振る舞われた葬式饅頭は、せっかくなら美味しく召し上がりたいですよね。ご紹介した方法を活用して、最後まで美味しく饅頭を味わってください。
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