火葬後に「還骨法要」を行うことがあります。これは、骨に還った故人を供養するための大切な法要です。
この還骨法要を行う際は、「後飾り祭壇」などそれに向けた準備が必要になります。この記事で、具体的な還骨法要の流れや、後飾り祭壇の設置方法などについて確認しましょう。
「還骨法要」とは、ご遺体を火葬し、遺骨を骨壷へ納めた後に行う法要のことをいいます。
還骨には「故人がこの世での役割を終えて骨に還った」という意味があり、この還骨法要を行うことで、葬式のすべてが完了となるのです。宗派によっては、還骨勤行・安位諷経と呼びます。
還骨法要を行う場所は、自宅・葬儀会場・寺院のいずれかです。この還骨法要は、必ず行うものではありません。地域によっては、遺骨を骨壷に納めた後、そのまま埋葬することもあります。
ここからは、還骨法要の具体的な内容について確認していきましょう。
還骨法要は、以下の流れで行います。
・後飾り祭壇を飾る
・繰り上げ初七日法要を行う
・精進落としの場を設ける
・忌中供養をする
後飾り祭壇の前で、僧侶が読経を行い、故人の供養をするのが還骨法要です。
この後飾り祭壇とは、葬儀会場から自宅に持ち帰った「遺骨・遺影・位牌」を、一時的に設置する祭壇のことをいいます。四十九日が明けるまでの期間は、遺骨・遺影・位牌を仏壇に納めてはいけないとされているため、この後飾り祭壇を設置するのです。
後飾り祭壇を設置するときは、仏壇の前に高さの違う平机を置き、そこに白い布を掛けます。そして、上段には遺骨・遺影・位牌を、下段にはお供物・ロウソク台・香炉・鐘などを置きましょう。還骨法要を葬儀場で行う場合は、後飾り祭壇を葬儀会場に設置します。
この後飾り祭壇は、出棺後に設置するのが理想です。そのため、出棺後に自宅で留守番をしてもらう留守役、あるいは葬儀会社に準備をしてもらいます。
本来であれば、故人の命日から数えて7日目に、初七日法要を行います。しかし、現代では、参列者全員の予定を合わせるのが難しいため、7日後にもう一度集まってもらうというのは現実的ではありません。
繰り上げ初七日法要は、還骨法要と同じ日に行うため、ご遺族と参列者の負担を軽減できます。
還骨法要と繰り上げ初七日法要が終わったら、精進落としと呼ばれる会食の場を設けましょう。お斎とも呼ばれます。
この精進落としは、参列者や僧侶に対して、お礼と労いの気持ちを伝えるための場です。故人との思い出話をしつつ、丁寧にお礼を伝えて回りましょう。
精進落としは、近場の料亭で行ったり自宅で行ったりします。自宅で行う場合は、仕出し弁当を手配することがオススメです。
還骨法要を含め一連の流れが終わったら、四十九日が明けるまで忌中供養を行います。後飾り祭壇に毎日手を合わせ、焼香するなどして故人の供養を祈りましょう。
四十九日が明けたら、後飾り祭壇を片付け、お墓に納骨をします。納骨に関して、とくに期限は設けられていませんが、四十九日法要のときに納めることが一般的です。
還骨法要は、骨に還った故人を見送るための大切な儀式です。四十九日法要などとは異なり、後飾り祭壇のような特別な準備が必要になります。
いざというときに落ち着いて準備ができるように、この記事で還骨法要についてきちんと確認しておきましょう。
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