解剖は、故人の死因に関して不明な部分を解明するために必要な行為。ご遺族としても、葬儀の前に大切な方がどのようにして亡くなったのかを知っておきたいはずです。
この解剖には、目的によっていくつかの種類があります。この記事では、解剖の種類を確認していきましょう。
ご遺体の中には、検死や検案でも死因が特定できなかったり、犯罪の疑いが濃厚になったりすることもあります。「解剖」は、そのような場合に必要です。
葬儀には、ご遺体がもちろん必要となります。しかし、不審な点があれば解剖によって原因を究明しなければなりません。
この解剖は、大きく以下の3種類に分かれます。
【解剖の種類】
正常解剖:医学生の学習や研究のために行われる解剖それでは、詳しく見ていきましょう。
「正常解剖」とは、人体構造の知識を学習するために行われる解剖のことをいいます。そのため「事件解決のためにご遺体の死因を特定する」という目的では行われません。
医学系の学生が人体の構造を学ぶというのが主な目的です。ご遺体を提供する希望がある場合は、生前に検体登録をしておく必要があります。
このように正常解剖はあくまでも故人の遺志によって行うもの。そのため、検体登録希望もなくとくに事件性がなければ、そのままご遺体のために葬儀を行えます。
「法医解剖」とは、万が一事件性があった場合に公正な判断ができるよう、医学的根拠を持つために行う解剖のこと。以下の2種類に分類されます。
【法医解剖の種類】
司法解剖「司法解剖」は、事件性の疑いがあるご遺体に対して法医学者が行います。
事件性が高いケースで司法解剖を行うため、ご遺族の意思に関係なく、警察や裁判所の判断で行うことが可能です。
「行政解剖」は、司法解剖とは異なり、事件性はないが死因を特定すべきご遺体に対して行います。例えば「突然死」「自殺」「行き倒れ」というケースなどです。
行政解剖は、23区内や横浜、大阪など限られた地域では「監察医」が行います。監察医制度がない地域でも、2013年に制定された「死因・身元調査法」に基づき、ご遺族の承諾を得ずに行政解剖が可能です。
「病理解剖」とは、病気で亡くなった方に対して行われる解剖のことをいいます。病理解剖によって、治療がきちんと行われていたかということや、死因の特定、病気が進行するまでの経緯などを明らかにできるのです。
この病理解剖で判明した内容は、治療の効能や問題点などをまとめた上で「剖検輯報(ぼうけんしゅうほう)」という刊行誌にまとめられ、年に1回日本病理学会から発行されます。つまり、ご遺体の解剖結果が、今後の医療の発展に役立てられるのです。
病理解剖は、ご遺族の承諾を取った上で行われます。故人の希望があれば、葬儀の前に医療の発展のために、解剖を承諾するというのも1つの選択肢です。
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