これからお墓を建てるときに、気になるのはやはりどのくらい費用がかかるかということではないでしょうか? お墓は一生のうちに何度も建てるものではないので、不安なことが多いと思います。
お墓は安い買い物ではありませんが、お墓について何もわからないまま、業者に言われるがままに建てることで、さらに高額な出費になってしまう可能性もあります。
この記事では、実際にお墓を建てたときにどのくらいの費用がかかるのか? どのようなポイントに気を付ければお墓をより安く建てることができるのかについて解説します。
供養の方法が多様化していますが、お墓の価格にも変動があるのでしょうか?
2016年 | 2017年 | 前年比 | |
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全国 | 181.5万円 | 174.1万円 | -4% |
東日本 | 181.4万円 | 173.8万円 | -4% |
西日本 | 181.7万円 | 175.4万円 | -3% |
一般墓の購入金額の相場は174.1万円です。前回の調査では181.5万円でしたので平均購入価格は-4%と下落しています。
ここ数年、お墓の購入価格が下がる傾向が続いていますが、その理由として、供養方法の多様化によって、価格競争が激しくなったことや、市場の安価な墓石に人気が集まり、平均価格を下げていることが考えられます。
多様化する供養方法の中で、実際どの供養方法で行われることが多いのでしょう? 「一般墓」「樹木葬」「納骨堂」「その他の永代供養」の4つに分けて調査したアンケートの結果は以下の表のようになりました。
一般墓 | 46.7% |
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樹木葬 | 24.9% |
納骨堂 | 19.6% |
その他の永代供養 | 8.8% |
約2人に1人の割合で46.7%の方が一般墓を選択していることから、供養方法が多様化していながらも、昔からの供養方法である一般墓での供養を引き継いでいる方が多いことがわかります。
また、樹木葬と合わせると70%を超えているので、やはり野外での供養を希望される方が多いこともわかります。
墓地選びで、どのポイントを重視するかのアンケートではこのような結果が出ています。
交通アクセスを重視する方が、断トツに多い結果となっています。都市部においては、駅やバス停から霊園までの距離がそれほど離れていないかに加えて、最寄りの駅とターミナル駅とのアクセスも重視されています。
地方都市では、車でお墓参りに行く方が多いので、市街地からそれほど離れていない霊園を希望する方が多いです。
価格が安いからいいというわけではなく、一生のうち一度しか購入しないものと考えて、自分の予算内で納得できることを条件にされてる方が多いです。
設備や雰囲気で特に重視されていたのは、霊園内や霊園近くの環境です。
四季折々の花が霊園を囲んでいて、故人が安らかに眠ることができそうな霊園が人気を集めています。
石材店などで、墓石が陳列されているのを見かけたことがあると思いますが、お墓を建てるときに必要なのは墓石代だけではありません。
お墓を建てる土地の区画を購入する費用が永代使用料。永代と名前がついているように、霊園や寺院が存続する限り、お墓を建てた区画が利用できる権利のことをいいます。お墓を建てるときに一括で支払うケースが多いですが、分割払いで毎年使用料を支払いが可能な霊園もあります。
墓石の代金は、石の素材と使用料によって価格が大幅に違ってきます。また同じ素材でも、国産なのか外国産なのかなど産地によって価格も違うので注意が必要です。デザイン性が高い墓石の場合は、墓石に使用する石の代金に加工費が加算されるので、その分高くなります。
外柵や香炉、花立などの墓石以外の付属品は、墓石と同様の石を使ったものにするのか、別素材のステンレスタイプなどにするのかによって価格が変わってきます。
墓石を購入して土の上に置くだけで完成というわけではありません。墓石の下には骨壺を納骨するためのスペースが必要ですし、野外にある墓石は風雨の影響などで劣化してしまうものです。劣化を防ぐために、お墓を建てる時には基礎工事が必要となります。
お墓の工事費は墓石代とセットになっているものもあり、施工形式や業者によって金額が大きく違ってきますので、複数の業者へ見積もりをとって一番安い業者に依頼するのがおすすめですが、民間の霊園では、工事業者が指定されていることもあるので、確認が必要です。
管理費はお墓周りの清掃や、霊園の休憩所や水飲み場の管理、水道代、電気代などの公共料金などが含まれたものです。毎年支払う形式のものや、5年分、10年分などをまとめて支払う形式のところがあり、各霊園によって支払い方法が異なっています。一般的に公営の霊園の方が民営よりも管理費は安い傾向にあります。
少しでも安くお墓を建てるコツを紹介します。
霊園タイプの墓地を購入するとき、区画面積の広さによって永代使用料が変わってきます。区画が広ければ広い分、永代料金が高くなるので、土地価格が安い地方都市ならまだしも、地価が高い都市部の霊園ならば、区画によってかなりの金額の差が出ます。
区画が広ければ、それに応じた墓石や外柵などを用意することになるので、石の使用料もかなり増加することになり、墓石代金も高くなってしまいます。区画面積が小さいところに、コンパクトなサイズの墓石を建てることで、お墓の代金をかなり安くすることができます。
国産の高級な石でできたお墓は、確かに一目でわかるほど綺麗なものです。外見が美しいに越したことはありませんが、それよりも重視したいのが耐久性です。
お墓は建てた後、何年も何十年も子孫代々によって長い年月引き継がれていくものですから、見た目が美しいけれども耐久性に難があるものよりも、耐久性にすぐれた墓石を選ぶことをおすすめします。
一般的に国産の石材の方が外国産よりも高い傾向がありますが、最近では海外から輸入される石材の品質も上がっており、価格の差ほど耐久性に違いがないものも増えています。墓石を購入するときに、アドバイスをしてもらい、よく検討することが重要です。
通常、お墓と言われているのは、墓標とされている竿石のことですが、お墓にはそれ以外でも石材を使用します。とくに墓周りの外柵などは、かなり石の量を使うので、竿石に高額な石材を使ったとしても、お墓周りは別の石材を利用することにより、全体的な墓石価格を抑えることができます。
最近では、生前の個人が好んでいたキャラクターや趣味などを彷彿させるデザインのお墓も増えていますが、デザインが複雑になれば加工費も高くなります。とくに拘りがないのであれば、デザインを気にすることなくシンプルなお墓にすることで、加工費はほとんどかからなくなります。
石材店でアウトレット品を販売しているところもあります。アウトレット品は、墓石に少し傷がついていたり、販売時期の関係で安くなっていることが多いですが、多少傷がついていても、商品として販売できるレベルのものです。
最初は、傷一つない綺麗なお墓でも、風雨に晒されてしまうので、いずれは多少の傷がついてしまいます。多少の傷で、耐久性などに問題がないのであれば、アウトレット品の購入を検討するのも一つの方法です。
管理費の相場 | |
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公営霊園 | 2,000~10,000円程度 |
民間霊園 | 5,000~15,000円程度 |
寺院 | 5,000~10,000円程度 |
公営霊園は民営の霊園よりも、永代使用料や管理費などが安く、お墓の建設費用も大幅に抑えることができます。交通のアクセスなども考えてみて、自分達にとって利便性が高い公営霊園があれば、最優先で検討することをおすすめします。
ただし、都市部では費用の安い公営霊園に人気が集中しており、応募時期が限定されてたり、抽選になることも多いので、お墓を建てる予定があれば、時期的に余裕をもって申込をする必要があります。
お墓を建てる際にどのような不安を持つ方が多いのでしょう?
いくら費用が安くても建てたあとにトラブルが起きたり、納得できないことがあったりしては困ります。
以前に比べて、お墓の需要が少なくなり、石材店の競争も激しくなっています。他社と比較して、少しでも価格を下げて仕事を取りたいという気持ちはわかりますが、納得できる理由がなく、一気に値下げしてくる業者は、少し信頼性に欠けると思った方がいいかもしれません。
そのため、見積もりを取るのは1社だけではなく、複数の業者に見積もり依頼をして、相談しながら決めるのがいいと思います。
今後、実家のお墓の管理をどのように行うかによって用意すべき金額は変わります。長男が墓を継いで、今後の墓の管理費などを全て支払いするのであれば、墓の継承権がなくても、ある程度負担するのがいいと思います。
実家のお墓を先祖代々墓にして、自分達の家族もそのお墓に入る予定であれば、お墓代の半分を出すのがいいのではないでしょうか?
墓石を購入する時、クレジットカードなどの分割払いで支払うことも可能ですが、霊園や寺院が金融機関と提携している場合、金融機関が提供しているメモリアルローンなどで、墓石費用だけでなく、永代使用料などもローンで支払うことが可能です。
寺院や霊園が金融機関と提携していない場合、どうしてもローンで支払いたいのであれば、メモリアルローンよりも金利は高くなりますが、金融機関のフリーローンなどを利用するという方法があります。
生前に購入した仏壇やお墓などは、相続税の対象にはなりませんが、相続後にお墓を購入しても、その金額は控除されることはありません。
つまり、生前にお墓を購入することで、相続する財産が減り、購入したお墓については相続税の課税対象外になるので、生前にお墓を購入することは節税対策になります。
お墓の管理費用は、墓周りや共同設備の清掃、公共料金の支払などが含まれるものなので、必ず払う必要があります。もしも、管理費用が滞納された場合、すぐに墓を撤去されることはありませんが、墓地に立て札が立てられたり、広告掲載などで、縁故者を探しますが、名乗り出がなかった場合は、無縁墓として整理されてしまいます。
寄付金は、管理費とは全く別物で、払わないからといってお墓を撤去されることはありませんので、支払いについては、寺院の住職や管理者に事情を話し、別の形での協力ができないか相談してみることをおすすめします。
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