親しい人が亡くなってしまうのは、この上なく悲しいことです。しかし、葬儀を執り行う立ち場ならば、悲しんでいる時間もないほど忙しいのが事実。葬儀までの時間が少ないので、すぐに親族や知人に連絡をしなければいけません。
この記事では、葬儀の連絡方法や、連絡をうけたときの対処法などについて解説しています。
訃報というのは、人が亡くなったときのお知らせになります。死去されたという事実を取り急ぎ報告することが多く、テレビや新聞でも、死去の事実だけを告げ、死因などは後から発表となることが多いです。
訃報では、故人が亡くなったことに加え、お通夜や葬儀の日時、喪主の名前と連絡先、宗派、死因をお伝えします。死因や宗派に関しては、必ず伝える必要はありませんが、独特な作法などがある宗派の場合は、伝えておいた方が葬儀参列者として安心できるでしょう。
身内や親族が亡くなったとき、速やかに葬儀のお知らせを行います。
取り急ぎ、亡くなったという事実を伝えるため、スピードが速く、確実な手段が電話です。病院で亡くなられるとき、故人に近い身内には、危篤になったときに連絡を入れてると思いますが、医師から臨終の宣告されたときに、もう一度電話をして亡くなった事実を伝えます。
亡くなってからすぐの場合、葬儀の日程や場所などが決まっていないことが多いですが、翌日が通夜、翌々日が葬儀となるのが一般的なので、電話で訃報を受けた方も葬儀に向けての準備を行うことができます。
故人の知人や友人の方などの場合、遺族が電話番号を把握していないことがあるので、別の手段でお知らせすることを検討しなければいけません。
親しい方や、電話番号を知らないけれどもメールアドレスを知っている場合、メールで葬儀のお知らせを送ることもあります。最近ではLINEで訃報を送る方も増えているようです。
直接、話して伝える電話とは違い、相手が多忙なときや、深夜や早朝といった時間でも連絡することができるのはメールのメリットですが、実際に、相手がメールを確認したかどうかという確実性は電話に劣ってしまいます。
また、メールでお知らせを送ることは失礼と感じる方も、まだ少なくありませんので、会社の上司などの目上の方や、高齢の親族の方などに連絡をするのはおすすめできません。
手紙やはがきで訃報を伝えることは、より丁寧な印象がありますが、郵送は時間がかかるので、葬儀日程などのお知らせする場合はすぐに郵送しなければ、葬儀に間に合わない可能性があります。
近所の方や町内の方に葬儀の連絡をする場合は、町内会の回覧板を利用される方が多いです。普段の回覧板とは違い、早めに回すことで同じ町内の方に連絡が行き届きますし、回覧板を回すことで確実に日程をお知らせすることが可能です。回覧板で連絡を行う場合は、自治会や町内会の会長や班長の方などにお願いすれば、迅速に回覧板の用意をしてくれるでしょう。
案内状の相手別の例文を紹介します。
父□□儀 病気療養中でございましたが 去る□月□日に永眠いたしました
ここに生前のご厚誼を感謝し謹んでご通知申し上げます
なお 葬儀告別式は 左記の通り執り行います
一、日時 通夜式 □月□日 午後□時から
葬儀告別式 □月□日 午前□時から
一、式場 □□葬祭センター
□□市□□町□□□
電話 □□‐□□□‐□□□□
令和二年□月□日
〒□□□-□□□
東京都□□区□□□ □-□-□
喪主 □□ □□
弊社 代表取締役社長□□□□儀 令和2年□月□日午前□時□分永眠いたしました
生前のご厚誼に深く感謝し 謹んでご通知申し上げます
通夜 令和2年□月□日□時より
葬式・告別式 令和2年□月□日□時より
会場 □□葬祭センター
住所 □□市□□町□□□ 電話 □□‐□□□‐□□□□
仏式 浄土真宗
株式会社□□□□ 葬儀委員長□□□□
謹啓 令和2年□月□日 父□□□□が逝去いたしました
故人の遺志により 葬儀は遺族親族のみで執り行うことといたします
つきましては 故人の意向により ご香典お供物ご弔電などは辞退申し上げます
生前のご厚情に深く御礼申し上げます 謹白
〒□□□-□□□
東京都□□区□□□ □-□-□
喪主 □□ □□
案内状を送るときにはどのようなことに気を付けなければならないのでしょうか? ここでは、葬儀の案内状を送る際のマナーをご紹介します。
「故人の名前」「喪主の名前」「葬儀の日程」「葬儀会場の場所」。この4つが漏れていないか、郵送する前に必ず確認しておく必要があります。葬儀の日程が記載されていなければ、受けとった方が参列の準備をすることができませんし、場所の記載がなければ、葬儀会場にたどり着くことができなくなります。
亡くなられた翌々日には葬儀があるので、葬儀案内は、日程や会場が決定したら、すぐに郵送する必要があります。葬儀が終わってから、案内状が届くのは相手に対して失礼に当たるので気を付けてください。
葬儀の案内状は基本的に個人に対して送るものですが、亡くなられた方が会社勤めであった場合は、会社宛に送ることもあります。その場合、ハガキのまま投函せずに、封筒などに入れて投函するのがいいでしょう。
気を付けなければならないのは、白封筒の中に紫の封筒が入ったりする二重封筒は、不幸が重なるということを連想させてしまうので、二重になっていない封筒を選んでハガキをいれてください。
場面別の挨拶状の例文を紹介します。
故□□儀 葬儀に際しましては 御多用中にもかかわりませず御会葬を賜り
又ご丁寧なるご厚志をいただき誠に有難うございました
早速拝趨の上ご挨拶申し上げるべきところ 略儀ながら書面にて御礼申し上げます
令和2年□月□日
〒□□□-□□□
東京都□□区□□□ □-□-□
喪主 □□ □□
外 親族一同
拝啓
この度は
父□□の永眠に際しまして お心のこもった手紙 過分なご香料を賜り 心よりお礼を申し上げます
□□様から頂いた暖かいお言葉に励まされ おかげさまで葬儀も滞りなく相営むことができました
生前のご厚情に深謝申し上げますとともに 今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます
略儀ながらまず書状にて御礼申し上げます 敬具
令和2年□月□日
喪主 □□□□
一般的に香典返しに対してのお礼状は不要とされていますが、受け取ったお礼を言いたいときの例文になります。
拝啓 日差しが春のおとずれを告げる頃となりました
ご家族の皆様におかれましては、その後いかがお過ごしでしょうか
先日はご丁寧なご挨拶をいただき恐縮しております
季節の変わり目ですので 健康にはくれぐれもご留意ください
略儀ながら書中を以って ご挨拶申し上げます 敬具
令和2年□月□日
忌明けのタイミングで葬儀の挨拶状を送付します。
挨拶状に書く内容の順番は、一般的に決められているので、順番に従って書くのが無難です。
内容の順番はこのような流れになります。頭語をつける場合は「謹啓」「謹白」や「拝啓」「敬具」など、結語を間違えることの無いように使用します。
故人とそれほど深い間柄ではなかった場合、葬儀案内を出すことで、相手に対して会葬のプレッシャーを与えてしまうこともあり、案内を出していない方もいると思います。そのまま、故人が亡くなられたことを知らせないというのも失礼になりますので、葬儀の挨拶を送るのが一般的です。
その場合、参列された人とは内容が異なり、葬儀の香典をもらったお礼や、香典返しを送った報告は省いた文章を作成する必要があります。
挨拶状を送付するのは、忌明けになりますが、それでも忌み言葉は使用してはいけません。不幸が重なることを連想させる「重ね重ね」「ますます」や、生死を連想させる「死亡」「亡くなる」などの言葉を使わずに挨拶状を書きましょう。
このたびはお身内の方の訃報に接し 心からお悔やみ申し上げます
心身ともに大変な時だと存じますがどうぞご無理をなさいませんように
直接お目にかかりお悔やみを申し上げたいところではございますが メールにて失礼いたします
※このメールへの返信は不要でございます。
ただ今、□□様のご逝去の悲報に接し、驚いております。心からお悔やみ申し上げます。
お慰めの言葉もございませんが、どうぞご自愛ください。
ご実家が遠方とのことでご弔問に伺えず、心苦しく存じております。
心よりご冥福をお祈りいたします。
※このメールへの返信は不要でございます。
ご尊父様のご逝去に際し、心よりお悔やみ申し上げます。
無理をされていないか心配しています。
私にできることがあればいつでも連絡してください
心より ご冥福をお祈りいたします
※このメールへの返信は不要です。
お母様のご逝去の報に接し、悲しい思いでいっぱいです。
すぐにでも最後のお別れに駆けつけなければならないのですが、参列できず残念です。
私にできることがあればいつでも連絡してくださいね。ご冥福をお祈りいたします。
葬儀案内が送られてきたときはどのように返信したらいいのでしょうか?
訃報が届いたのと同じ方法で返信するのが一般的です。手紙で葬儀案内が送られてきたら手紙で、メールの場合はメールで送るといったように、返信の方法を差出人に合わせます。
葬儀が終わるまで、遺族が多忙であることを考えて、忙しい時期が終わってから返信した方がいいのかもと考える人もいるようですが、多忙な中、わざわざ、訃報の連絡をしてきてくれているので、返信まで時間がかかるのは失礼にあたると考えた方がいいです。
お悔やみの言葉を伝えるときと同様、返信の文章も簡潔で短い文章で済ませるようにしましょう。丁寧な文章に拘って、長い言い回しを使ったり、お悔やみ以外の関係ないことは省いて文章を作成するのが基本です。
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