「葬儀の主催者から受付係を任された」という方は一定数いるのではないでしょうか。
参列者側と遺族側の人々が式場で初めて相対する受付係は、いわば遺族側の「顔」です。
受付係を任されるということは責任が伴う一面、主催者の信頼を受けているということでもあります。
この記事には受け常の仕事の流れや注意事項などをまとめています。
受付の仕事をする前に重要なポイントを確認していきましょう。
この記事のポイント
葬儀を執り行うにあたり、必ず必要になるのが受付係です。
参列する場合は、必ず受付を済ませなければいけません。
ここでは、受付係は誰が行うものなのかについて解説します。
受付係は故人のご遺族から依頼された人が対応するのが一般的です。
理由は、会葬者から香典を受け取るからです。
お金の受取を葬儀社に任せたくないと考えるご遺族の方もいます。
また、会葬者側からすると、ご遺族の方にお悔みの言葉を述べたいと思うでしょう。
もし葬儀社の従業員の方が担当でいると、困惑してしまうということが起こるようです。
実際に、そのような場合は香典だけ渡して、お悔みの言葉を述べないという考えの人います。
そのため、受付担当は、ご遺族の方が依頼した方が行うのが一般的です。
親族が行うのが一般的ですが、実際には決められたルールがありません。
そのため、友人や近所の方に受付係を依頼しても良いのです。
近頃は少子高齢化社会や未婚者の増加によって、親族に依頼することができない人も増えてきています。
そのような人の場合は、葬儀社が行うことも多いです。
このように、受付係は誰でなければいけないという決まりはありません。
そのため、受付係を依頼された場合は、ご遺族の気持ちを配慮して引き受けるようにしましょう。
受付係は最低3名必要です。
芳名帳に住所や氏名を記載してもらう担当者、返礼品を渡す単葉者、会計の担当者で3名となります。
会葬者は気を利かせて10分前には訪れてくるでしょう。
同時に多くの会葬者が訪れてくるため、1人で対応するのは困難です。
そのため、最低3名必要です。
規模によっても異なりますが、会葬者の人数が多い場合は、5名体制を整えておくと安心できるでしょう。
どれぐらいの会葬者が訪れてくるのかを事前に確認しておくと安心できるでしょう。
受付係の仕事内容
受付係を頼まれたら、実際にどのような仕事をするのでしょうか。
受付係の仕事は、以上の流れで進んでいきます。
仕事は準備から始まります。
芳名帳、筆記用具、香典受けを用意して、テーブルに並べます。
会葬者は開始10分前には訪れてくるため、30分前には準備を整えておきます。
そのため、他の会葬者よりも早めに会場へ来なければいけません。
式中は手荷物があると不便です。
そのため、会場にクロークがある場合は、会葬者のお荷物や上着を預かります。
会葬者が訪れてきたら、会釈をして芳名帳にフルネームと住所を記載してもらいます。
会社の組織の代表として訪れてもらった場合は、会社名も記載していただきます。
会葬者は香典を手渡してくれるため、受取ります。
もし苗字のみしか書かれていない場合は名前も聞いて、フルネームが分かるようにしておきましょう。
香典はお金であるため、取り扱う際は十分に注意しなくてはいけません。
会計係は1人に決めます。
担当者を決めないでいると、お金がなくなってしまった際に責任を問うことができません。
そのため、会計係は信頼のおける親族にお任せするのが一般的です。
会計係は弔問客がいなくなった際に、香典を回収します。
金額を確認するかしないかは喪主の考えによって異なります。
しかし、故人のご遺族は対応に追われているため、香典金額を数えることができません。
会計係に香典金額を数えてもらい、名前と金額を書いた香典リストを作成するケースが多いです。
確認する内容
受付係を担当することになった場合は、スムーズな対応を行うために事前確認をします。
ここでは、事前に確認しておきたい内容について解説します。
受付では、弔問客からの質問にも答えなければいけません。
葬儀が開始される時間帯や会場などについて聞かれることがあるでしょう。
そのような質問をされた場合に答えられるように、内容は事前に確認します。
葬儀の規模はさまざまです。
会葬者名簿が用意されているので、どれぐらいの会葬者の方が来るのかを事前に確認します。
会葬者の方は、10分前には訪れてきます。
多くの人が訪ずれる可能性もあるため、会葬者名簿には事前に目を通します。
受付での挨拶は、ご参列頂いた方への感謝を込めた言葉を丁寧に述べなければいけません。
「わざわざ遠方よりお越しいただきまして、ありがとうございます」と挨拶するのが一般的です。
また、天気の悪い日には「お足元の悪い中お越しいただきまして、ありがとうございます」とも言います。
受付係は、ご遺族の方の代理の立場にあたるため、挨拶の仕方について事前に確認します。
受付係は、何度も経験するものではなりません。
しかし、御遺族の代理で対応を行うため、恥ずかしくない対応を心掛けなければいけません。
そのため、業務の一連の流れは、葬儀が始まる前に確認しましょう。
受付係は、故人とご遺族の顔にもなる総合窓口です。
そのため、担当する際は服装のマナーも守るよう心がけます。
男性の喪服は、ブラックスーツを着用するのが一般的です。
ワイシャツは、白の無地のシャツを選びます。ネクタイや靴下、靴も黒で統一します。
エナメルなど光沢のあるものは避けるようにしましょう。
また、革製品の鞄は殺生をイメージさせてしまうため、合皮や綿素材のものを選ぶようにします。
女性の場合は、露出が少ない黒のワンピースやスーツを着用します。
スカートを選ぶ場合は、正座をしても膝が隠れるような丈のものを選びます。
スットキングは黒色を選びましょう。
靴やバッグは男性と同じように、光沢や飾りがないシンプルな黒色のものを選びます。
さまざまな対応に追われるので、ヒールが低い靴を履くほうがいいでしょう。
メイクは薄めに整えて、ロングヘアであれば髪を整えます。
会釈をした際に、前髪が顔にかかるのは失礼にあたります。
そのため、前髪が長い場合は、ピンなどで顔にかからないように工夫します。
受付の基本的なマナー
受付係を担当する際には、基本的なマナーを守るように心がけましょう。
主催者の方から受付係を依頼された場合は、可能な限り断ることをせずに、引き受けるのが常識です。
故人のご遺族の方は、深い悲しみの中で葬儀の準備や弔問者の対応に追われています。
やむを得ない事情で依頼しているのです。
そのようなご遺族の気持ちを考えて、依頼をされた場合は引き受けるようにしましょう。
受付係は、総合窓口のような役割を持っています。
ご遺族の代理として、弔問者に対応することになり、さまざまな対応が求められます。
ご遺族の代理として担当していることを自覚して、丁寧な言葉遣いで挨拶、声かけをしましょう。
また、会場の場所や開始時刻について尋ねられることがあるため、そういった情報を頭に入れておきます。
受付をしている最中は、携帯電話の電源を切りましょう。
重要な連絡が入ってくる恐れがある場合は、マナーモードにしておくのがエチケットです。
葬儀が執り行われることをわきまえて、会話のトーンにも気をつけましょう。
大きな声で話したり、笑顔で話したりするのはマナー違反となります。
受付係を担当する際に注意しなければいけない事項と心構えも覚えておきましょう。
葬儀場で警戒しなければいけないことは、香典泥棒がいることです。
「喪主から香典袋を預かるように頼まれた」という人がいても、簡単に信用をしてはいけません。
その場合は「香典の管理は私が担当しています」と伝えて断るか、喪主の人に確認しましょう。
また、不審な人物を見かけた場合は、喪主に伝えます。
また、金銭トラブルを未然に防ぐためにも、1人の人が最初から最後まで対応するようにしましょう。
葬儀の間は、会計担当者はその場を離れないようにします。
受付係は、故人とご遺族の代理となります。
受付係の対応の良し悪しが、会葬者の方々からの印象を大きく左右します。
そのため、依頼された場合は、ご遺族の立場を考えた対応をします。
生前、故人様にお世話になった方もいると思います。
そのため、ご遺族の方に「あなたに依頼して良かった」と思われるような対応を心がけてみてください。
もし葬儀の受付係を依頼する立場だった場合、受付係へは「心付け」としてお礼をしましょう。
基本的には現金でお礼を渡します。
金額は、3,000~5,000円ほどが相場になっています。
また、通夜と葬儀の2日間同じ人にお願いした場合には5,000~10,000円ほどお渡ししましょう。
封筒は無地の白で構いませんので、表書きに「御礼」、「寸志(志)」と書いて渡します。
もし、依頼された方が断ったという場合には無理に渡したりせず、後日菓子折りなどを送りましょう。
この記事のポイント
いかがでしたでしょうか。
葬儀での受付係は、参列者の方々が最初に目にすることになる、いわば故人とご遺族の「顔」です。
ご遺族を代理としての自覚を持ち、マナーを守った対応をするよう心がけましょう。
マナーをおさえ、受付の業務を事前に確認しておけば、ご遺族に恥をかかせることも少なくなるはずです。
受付係を依頼された場合は、事前に準備をしておきましょう。