新型コロナウイルスの世界的な拡大で、人々の生活は大きく変わりました。特に冠婚葬祭は様々な形が提案され、葬儀に関しても「直葬」「家族葬」など人との接触を避けて行われるケースが増えています。一方、慣れない中で予期せぬトラブルに見舞われることも。喪主となったらどういった点に気をつければ良いのでしょうか。
コロナ禍において、家族及び故人と縁の深い人のみで行う「家族葬」を選ぶご遺族が増えました。通夜・告別式から火葬という従来の方式とは異なるため、トラブルが起きることも。東京都の情報サイト「東京くらしWEB」では、令和2年10月に家族葬に関するトラブルへの注意喚起が記載されています。
家族葬を選択したものの、感染予防の観点から、費用のかかる大部屋しか選ぶことができず、見積もりが高額になってしまったというケース。場合によっては150万円を超えてしまうそうです。葬儀は常に時間が差し迫っているもので、キャンセルも難しいことが多いようです。
コンパクトでシンプルなパッケージプランを選択したところ、見積書を確認すると不要なサービスがつけられていたというケース。更にオプション料金が次々とつけられ、結局倍近くに費用が膨らんでしまったというケースもあります。
「家族葬」は招く人数を制限する葬儀のため、香典返しや通夜ぶるまいの頭数が少ないので、一見リーズナブルに行える葬儀です。しかし戒名料や棺代などはコロナ禍以前の葬儀とは変わりありません。それにつけこむように高額な請求を行い、遺族がキャンセルを申し出るとキャンセル料を100万請求するという悪徳な事例もあります。
葬儀社との費用トラブルだけでなく、人間関係でのトラブルが起きることも。家族葬は招く、人を絞って行うため「あの人は呼ばれたのに私は呼ばれていない」と知ってしまったり「自分は故人と親しい間柄ではなかったのか」とショックを受けたり、故人の関係者の中でトラブルになることがあります。
人間関係のトラブル対策として、遺族同士で「どこまで呼ぶのか」を相談して決めましょう。またお別れを言えなかった方への配慮として、事前連絡をする、事情をしっかりと説明する、後日の弔問を提案するなどの事前・事後フォローが大事になります。
葬儀の準備は悲しみと時間との戦いです。その中でトラブルを避けるためには、事前の情報収集が重要です。話題にしづらくとも、故人の意思を確認しておくのも良い方法でしょう。
また、絶対に喪主ひとりで抱え込まないこと。葬儀社とのやり取りや招待人数を決めるなど、遺族同士で相談することでトラブルを防止できます。納得のいく見積書になっているか、第三者の目でチェックしてもらうことも有用です。
業者との金銭トラブルは、消費生活センターを頼るという手もあります。
備えあれば憂いなし。安全に葬儀を行い故人と最期のお別れができるよう、トラブルに対策の事前準備をしておくことが重要です。