身内の不幸は突然訪れるため、葬儀の準備などに追われてしまうことも少なくありません。葬儀の準備に不安を抱えてしまう方もいるでしょう。しかし、葬儀の流れについて理解を深めておけば、そのような不安を抱える必要はありません。この記事では、葬儀の流れと手順について分かりやすく解説します。
身内の不幸は、突然訪れるものです。人生で何度も葬儀を行う機会はないため、どのような手順で行えば良いか悩んでしまう方もいるでしょう。そのため、お亡くなりになってから納骨までの流れを押さえておきましょう。
葬儀1日目は、葬儀の打ち合わせを行います。
病院で亡くなられる方が7割以上いらっしゃいます。病院の場合は、医師が臨終の宣告が行われ、その後に死亡診断書が渡されますが、自宅などで亡くなられた場合は、かかりつけの医師を呼んで死亡確認をしてもらう必要があります。
また、病気療養中などではなく、突然亡くなられた場合は、事件の可能性もあるので、医者だけでなく、警察への連絡も必要になります。
臨終が宣告されたら、遺体を搬送するために葬儀社へ連絡します。予め生前予約を行っていたり、互助会に入っている葬儀社があればそこに連絡しますが、葬儀社が決まっていない場合は、病院と提携している葬儀社に搬送だけお願いすることが多いです。
病院の立地条件にもよりますが、市街地であれば1時間程度で葬儀社の搬送車が病院に到着します。搬送車が到着するまでの間、看護師さんなどがエンゼルケアとよばれる、簡単なメイクや、保管処理を行ってくれます。
葬儀社が決まっている場合は、斎場へ直接遺体を搬送することもできますが、依頼する葬儀社が決まっていない場合や、自宅で通夜を行う場合は、遺体を自宅に搬送します。
マンションなどに住んでいる場合は、エレベーターに棺が入らないことが多いので、階段などの経路について葬儀社と打ち合わせをする必要があります。
菩提寺がある方は、亡くなられた当日か、翌日の早い時間に寺院の住職へ連絡をし、葬儀の日程について伝えます。菩提寺がなく、葬儀に来てもらう僧侶のあてがない場合は、業者との打ち合わせを行う時に、寺院を紹介してもらうことになります。
市区町村役場に死亡届を提出します。提出の期限は死亡してから7日以内になりますが、死亡届と引き換えに火葬許可証が発行されますので、亡くなられた当日、もしくは翌日に手続きを行ってください。
葬儀社に依頼した後であれば、葬儀スタッフが代行して届け出を行い、火葬場の予約もしてくれるところが多いです。
通夜の準備などが必要なため、葬儀社との打ち合わせは搬送後すぐに行うことが多いです。夜中であっても夜間担当の葬儀スタッフが自宅に訪れ、自宅での安置方法や、通夜、葬儀のプランについて話し合いをします。
臨終が宣告された後に、ごく親しい親族や知人には電話で連絡をしますが、その他の方に対しては、葬儀社との話し合いが終わり、通夜や葬儀の日程、場所が決まってから連絡を行います。
葬儀の2日目は、お通夜が行われます。
故人にごく近い親族や知人、または遠方で葬儀に来れない方は祭壇の周りに供える生花を贈ってくれることが多いので、供え花を贈る予定の方に送り先を連絡します。地元の業者などに依頼するのではなく、葬儀社に直接連絡すると、価格に応じてスタッフが手配してくれるのが一般的です。
納棺の前に、水を張ったたらいやバスタブなどで遺体を洗い清めます。最近では湯灌の儀を省略して、遺体を拭いて清める方法も増えています。
故人の遺体を白装束に着替えさせて、旅立ちの準備をします。男性の場合は髭を剃り、女性の場合は簡単な死化粧をしてから副葬品と共に棺に納めます。棺に納めるときは、葬儀スタッフや納棺師が主導し、遺体を持ちあげますが、参列した遺族の方も遺体に手を添えて一緒に納棺を行います。
初日の葬儀の打ち合わせで、大まかな葬儀プランや日程を決定しているので、この打ち合わせでは、引き出物の種別や個数、通夜振舞いや精進落としの注文など詳細な部分を決定します。打ち合わせが終わった後に、業者から見積書が出るので、自分の希望通りの価格に収まっているかどうか確認してください。
自宅に喪服がある場合はいいですが、喪服をレンタルする場合は早急に電話やインターネットでの依頼が必要です。業者にもよりますが、当日の午前中までにレンタルの注文をすれば夕方の通夜に間に合うように用意してもらうことが可能です。
葬儀の規模にもよりますが、事前に親族の方や故人と関係の深い知人の方に受付をお願いします。香典を受け取る役目もあるので、トラブルを防ぐためにも、信頼できる方に受付はお願いしましょう。通夜開始の30分~1時間前くらいに受付が開始されます。
通夜会場では、祭壇に向かって右側に遺族や、親族が着席し、中央通路を挟んだ左側に知人や職場の関係者などが着席します。通夜では、参列者からの弔辞や喪主の挨拶、弔電の紹介などを行い、僧侶の読経に合わせて、順番に焼香を行い通夜は終了します。
通夜が終了した後に別会場に案内されて、会食形式の通夜振舞いが行われます。故人の思い出を語り合いながら偲ぶ場所になりますので、特別な事情がなければ少しの間でも参加した方がいいでしょう。
葬儀3日目は、火葬が行われる最後の日になります。
火葬時間の関係もあり、告別式は火葬当日の早朝~午前中に行われることが多いです。通夜と同じ会場であれば、前日に受付をお願いした人に再度告別式の受付をお願いするのがいいでしょう。通夜は自宅で、告別式は斎場でといったように、会場が別な場合は当日の早朝から会場設営をしなければなりません。
僧侶の読経が終わった後に、参列者の代表の方や葬儀委員長が弔辞を読み上げます。弔辞の後には、送られてきた弔電の紹介があります。
告別式では、僧侶は2回読経を行うのが一般的です。弔辞の後の読経の際に、参列者は順番に焼香をします。
閉式の挨拶を行い、告別式が終了した後に、親族やごく親しい知人でお別れ会を行います。棺の中に生花や故人と所縁の深い副葬品を納めた後に棺は蓋をされて釘をうちつけられます。
棺を先頭に、霊柩車へ向かいます。棺は故人と親交の深い男性6人程度で運び、その後に遺影や位牌を持った遺族が続きます。出発の前に、喪主から参列者に対して最後の挨拶を行います。
火葬時間に合わせて到着しますので、通常の場合、火葬場についてからほどなく火葬が行われます。棺を焼却炉に収める前に、僧侶から最後の読経が行われます。火葬が終わるまで約1時間程度の時間がかかりますので、その間は待合室で軽い軽食を取りながら待機します。
火葬が終わった後、細かく砕かれた遺骨を骨壺にいれる拾骨を行います。二人一組で長い箸を使って、ゆっくりと骨壷に入れるようにしてください。
近年は、初七日法要を繰り上げて告別式と同日に行うことが多くなってきているので、法要にも参列する場合は火葬場から法要の会場へ向かいます。法要が終わった後は、参列者が会食を行うお斎がありますが、お斎のことを近年、精進落としと呼ぶことも多くなってきています。
葬儀が終わったあとにはどのようなことをしなければならないのでしょうか?
葬儀の翌日か翌々日には、近所や町内の世話役の方などのお宅へ挨拶周りに伺います。故人が会社勤めで、職場から香典や弔電を頂いた場合は、職場への挨拶周りを行うのがいいでしょう。遅くとも初七日までに挨拶周りは済ませておくのがマナーになります。
火葬された遺骨をどのように埋葬するのか親族と話合い、準備を行います。先祖代々の墓地があるならば、菩提寺に連絡して納骨の日取りを決めます。新たに墓地を購入する場合であれば、最初に霊園を決めてから、墓石を購入する順番になります。霊園によっては、墓石の施工業者が指定されている場合があるからです。
火葬前に市区町村役場に死亡届は提出していると思われるので、葬儀後の手続きは故人の銀行口座の手続きや、年金、保険などの手続きになります。
火葬当日に繰り上げ法要を行っている場合は、葬儀後の最初の法要が四十九日法要になります。寺院で行うのか?自宅で行うのか?法事の開催場所を決めてから、収容人数に応じて招待する方を選ぶのがいいでしょう。
いつまでに納骨しなければならないということはありませんが、四十九日法要に合わせて納骨を行う方が多いようです。散骨方式などの自然葬を利用する場合は、葬儀が終わってから間もない時期に執り行う方が多いです。
親族が亡くなれた時にやらなければならない手続きは色々あります。
自宅で亡くなった場合 | 病気療養中で亡くなった場合は、かかりつけの医者に連絡。突然亡くなられたのであれば、医者だけではなく、警察にも連絡する。 |
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病院で亡くなった場合 | 臨終が宣告されたら医師に死亡診断書を書いてもらいます。 |
葬儀社を決める | 葬儀社が決まっていないのであれば、病院の提携業者に搬送だけお願いし、搬送後に業者を決める方法もあります。 |
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ご遺体の安置場所を確認する | 自宅か斎場のどちらに安置をするのか確認します。 |
遺言やエンディングノートを探す | エンディングノートに葬儀の希望などが書かれている場合があります |
葬儀社と内容の打ち合わせ | 費用の確認のために必ず見積書を受け取ってください |
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関係者に葬儀の日程を知らせる | お悔やみ欄に広告を掲載する場合は葬儀スタッフに相談します |
お通夜を執り行う | 通夜は亡くなられた翌日の夕刻から行われることが多いです |
ご葬儀を執り行う | 通夜の翌日に告別式(葬儀)が行われます |
初七日法要 | 繰り上げ法要として火葬当日に行うことが増えています |
四十九日法要 | 四十九日法要に合わせて納骨を行うことが多いです。 |
死亡届の提出 | 各市町村役場に届け出を行います |
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火葬許可証の受け取り | 死亡届と引き換えに許可証が発行されます |
被保険者資格喪失届の提出 | 14日以内に各市町村役場で健康保険の脱退手続きを行います |
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厚生年金受給停止手続き | 年金を受給していた場合は14日以内に市町村役場で手続きします |
世帯主変更手続き | 世帯主が亡くなられた場合は14日以内に各市町村役場で手続きします |
運転免許証の返還 | 警察署や運転免許センターに返還手続きを行いますが、形見として保管したい場合は、免許に穴を開けた後に持ち帰ることもできます |
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死亡退職届の提出 | 故人が会社や組織に所属していた場合は退職届を提出します。それによって死亡した後にも退職金が支払われます。 |
死亡退職金の受給 | 退職届の提出時に、退職金の振り込み口座を伝えます |
最終給与の受給 | 銀行振込の場合、故人の口座は凍結されているので、別口座もしくは手渡しで最終給与を受給します |
各種契約の解約(電話・水道光熱費・クレジットカード) | 故人が一人暮らしの場合は解約を行い、他の家族がいるのであれば名義人と支払い方法の変更を行います |
両親が亡くなった場合は、諸手続きの他に相続手続きも必要です。
被相続人(亡くなられた方)の戸籍謄本が必要になります。戸籍謄本は亡くなられてときに住んでいたところではなく、本籍地の市区町村役場で受け取ることができます。
被相続人の住所を証明する書類が必要になります。
亡くなられた方の住民票は発行してもらえませんので、住民票の除票という形での請求になります。
遺産相続の協議書を作成し捺印しますので、相続される全ての方の印鑑登録証明証が必要です。協議書に捺印するときは、印鑑登録されている実印で行います。
土地や建物の相続がある場合は、上記の必要なものに加えて固定資産評価書や土地、建物の登記簿が必要です。
被相続人が負債を抱えていて、相続される金品よりも負債が大きければ、相続を放棄することも可能です。相続を放棄する意思があるならば、亡くなられてから3か月以内に相続放棄の手続きをしなければなりません。相続を放棄するためには、必要な書類を作成し家庭裁判所に提出。書類に不備がなければ相続放棄が認められます。
必要な書類は、家庭裁判所のサイトなどからダウンロードして使用できます。
通常、確定申告は3月15日までに行われるものですが、申告者が死亡した場合は、相続人が代理として確定申告を行い、納税しなければなりません。期限は亡くなられた事を認知してから、4か月以内と決められています。
遺産を相続した場合、10か月以内に相続税を申告し納付しなければなりませんが、遺産の総額が相続税の控除額以下の場合は申告の必要はありません。
金品と土地建物の評価額の合計で計算された合計金額が3000万円プラス人数×600万円が控除される金額になりますので、1人で相続する場合は3600万円まで、2人の相続人がいる場合は4200万円までが控除額となり、この金額に達していない場合、申告も納税も必要はありません。