葬儀に宗教者をお呼びするときには「お布施」を持参します。お布施の表書きは、葬儀が行われる地域や故人の信仰していた宗教によって書き方が異なるので気をつけてください。この記事では、お布施の正しい書き方について解説します。
仏教の古くからの教えでは、お布施とは相手に対して金銭を与えることをいいます。相手に対して仏の教えを説くことも、不安な気持ちを取り除いてくれる言葉を与えるのもお布施の1つです。
しかし、現在の日本ではお布施は「財施」のことを表し、読経や戒名授受のお礼として僧侶に渡す金銭のことを指すのが一般的となりました。
お布施は仏教の教えですが、葬儀で祭祀祈祷を行う神官やキリスト教の牧師、神父へお渡しする謝礼もお布施と呼ばれることがあります。仏教以外でもお布施は必要です。
各宗教によってお布施の書き方はどのような違いがあるのでしょうか?次に、宗教ごとのお布施の書き方を解説します。
1. 一般的に表書きは上半分に「お布施」と記す
2. 下半分には個人名ではなく「〇〇家」というように、遺族や親族の所属する家を記す。
3. 裏面には、喪主の住所と電話番号を記載し、中袋がある場合は中袋に金額を記す。
4. 金額は一般的な漢数字ではなく壱、弐、参と表す「大字」を使用する。
5. お布施の金額に「円」を付け加えますが、これも大字の「圓」という文字を使用する。
キリスト教でもお布施と同じように、教会や牧師、神父に感謝の気持ちを込めた謝礼をお渡しするのが一般的です。キリスト教の場合お布施を渡す相手が教会なのか、神父、牧師かによって表書きの書き方を変える必要があります。
教会に渡す場合
上半分に「献金」と記載し、下半分には喪主の個人名を記す。
神父や牧師に渡す場合
上半分に「謝礼」と記載し、下半分には喪主の故人名を記す。
創価学会の葬儀は「友人葬」という形式で行われます。僧侶は呼ばず、各地域の代表者が進行役を務めるため「お布施」は必要ありません。
お布施を書く場合は、以下の点に注意してください。
親族へ香典を渡すときの表書きで「薄墨」を使用するケースも多いですが、お布施の表書きには普通の墨を使います。
薄墨を使うのは「突然の訃報により墨を用意する時間がなかった」という気持ちを表すものなので、お布施の表書きの場合は普通の墨で問題ありません。
基本的にお布施の表書きは墨か筆ペンで書くのがマナーとなっています。
内袋に住所や名前、電話番号などを記載する場合はボールペンでも構いませんが、表書きは相手だけではなく、他の参列者の目に入る可能性もありますので、しっかりと筆で書くようにしましょう。
お布施に金額を記載するのは、経理部で管理するためです。通常の数字で記入をしてしまうと、数字が改ざんされてしまう恐れがあります。このようなトラブルを防止するためにも、金額は大字を使用して記載しましょう。
大切な故人様の供養のために、時間を割いて読経をしてくれた僧侶の方には、気持ちを込めてお布施を渡したいものです。ルールを把握して、1つ1つ丁寧に書いていくことで、気持ちを伝えられるでしょう。ぜひ、この記事を参考にしながら、お布施を準備してみてください。