働き方改革などで、過労死や過労自殺は減少傾向にありますが、年間200人近くの方が命を落としています。
身内の方が過労死や過労自殺で亡くなった場合は、どのような手続きをしたらいいのでしょうか?
この記事では、葬儀後の手続きの流れについてわかりやすく解説します。
過労死は仕事でのストレスや疲労が原因の1つになり、脳や循環器、呼吸器などに疾患を発生し、死に至るものです。
過労自殺は、仕事によるストレスや疲労などから、鬱病の状態になり自殺を図ってしまうものです。
どちらも仕事による疲労やストレスが死亡の要因の1つとなっていれば、労働災害として認められ、給付金や賠償金を受けることができます。
まずは、過労死や過労自殺の要因が仕事による疲労やストレスであるのか、労災の申請手続きを行いましょう。
死亡と過労の因果関係を調査してもらう必要があります。
労災の請求手続を行う場所は、管轄の労働基準監督署です。
窓口に申請用紙がありますので、必要事項を記入し資料を添えて、労働基準監督署宛に提出します。
必要事項を記入する際、故人が勤務していた会社に記載してもらう項目や、会社から取り寄せる資料などもあります。
しかし、過労死や過労自殺の場合、会社側が非協力的なことも少なくありません。
会社側から資料を提供してもらえなかったり、必要事項の記載を拒否されたりしてしまった場合も、労働災害の申請はできるので安心してください。
このような場合は空欄にして提出し、担当に会社から証明してもらえなかったことを伝えるだけで大丈夫です。
死亡の原因が労働災害によるものと認定されたときに受け取れる給付金は、以下のものがあります。
・遺族補償年金
労災の認定を受けた故人の収入で生計を立てていた人に対しての補償金です。
年金を受け取る優先順位が設定されており、複数の人が故人の収入によって生計を立てていた場合は(配偶者→子供→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹)の順です。
配偶者でも受給者が妻の場合は、故人が亡くなった後すぐに、生涯または再婚するまで年金を受給できます。しかし、受給者が夫の場合は、55歳を超えるか5等級以上の障害が認められるまで受給できません。その間は待機状態となります。
・遺族補償一時金
保障年金の受給資格に該当する身内が誰もいない場合、一定の金額が遺族に支給されます。
・葬祭費
遺族年金や一時金とは別に申請を行うことで、葬祭にかかった費用の一部が支給されます。
遺族補償年金や一時金の対象者は、故人の身内のみです。
その一方で、葬祭費は葬儀を行った人に対して支給されるものとなります。故人との血縁関係がない知人や、社葬をした場合であれば会社名義での申請が可能です。
労災が原因で故人が亡くなって場合でも、期限内に申請を行わなければ時効となってしまうので気をつけてください。
給付を受けることができなくなります。
保障年金や一時金の申請期限は、労災によって亡くなられた日から5年以内となっているので注意してください。
葬祭費、埋葬費の場合はさらに期限が短く、亡くなられた日の翌日から起算して2年以内に申請を行わなければ時効になります。