新型コロナウイルスは姿を変えながら世界中に感染を拡大させ、収束の兆しを見せません。未だマスクが手放せず、大規模なイベントは自粛せざるを得ない状況。必要急とされる葬儀にも多大な影響を及ぼしています。四十九日法要や法事に関しても、コロナ禍の影響は甚大です。
初七日は故人が三途の川に到着する日とされています。一方四十九日は死者の行く道が決まる日。どちらも大切な日であり、供養するために法要が行われます。(近年では初七日はお骨上げと同時に行われることが多い)
一周忌法要は年忌法要としては最重要視される法要。故人の命日に縁者が集まります。元々命日当日が難しければ日にちをずらして行われるものですが、その場合は前倒しの日であることが条件です。
こうした法要は故人の供養であり、守り継がれてきた大切な風習。また遺された人々が向き合うための儀式でもあります。
2020年は新型コロナウイルスに対するガイドラインやワクチンなどが整備中であり、人の集まる場所を徹底して避けることが、有効な対応策とされていました。特に法要に関してはご遺体がある葬儀と違い、予定をキャンセルなど、中止を選択する人も多かったようです。
きちんと供養したい思いと、感染を避けたいという気持ちに揺れ動く。中国新聞では2020年5月に「よろず相談室」というコーナーで「コロナ禍 法要どうする」という、広島県の60代女性の相談を取り上げたところ、実に約60件もの意見が寄せられました。
特に感染重篤リスクが高い高齢者がいる場合、残念ながら中止・延期を選択するケースが多いようです。一方、家族のみで行う、会場を広くする、会食は控えるなど、形を変えて行ったご遺族も。折り合いをつけようとご遺族のみならず、寺院や葬儀社も試行錯誤していました。
2021年になると各企業がコロナ禍で業務を行うことに慣れたこともあり、葬儀同様に中止・キャンセルではなく、規模を縮小・家族のみで行うケースが増えました。とりわけ一周忌は差が激しく前年比115%という増加したというデータも発表されています。
手指を消毒する、三密を避ける、体調の悪い人は出席を控えるなどのおなじみとなった感染予防対策を意識すれば、感染リスクは低くなります。ただ0%にすることはできないため、注意は必要です。
故人を弔いたいという気持ちはとても大事なこと。同時に、コロナ禍を生きる人々の安全も重要です。リスクを避けて延期したからといって、慣例に少し外れますが大きな問題ではないでしょう。一方で感染が落ち着いたからと感染予防対策の上法事、法要を行うことも、誰かが責められることではありません。
ただ、緊急事態宣言が幾度も発令されたり、まん延防止等重点措置の関係、そして変異株などで状況は日々変化しています。お住まいの土地の感染者数や、会場の規模、総合的に判断しましょう。それが命を守ることにつながります。