新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置といった制限が次々に打ち出されています。命を守るためとはいえ、振り回されて苦労されている方も多いのではないでしょうか。葬儀は自粛の必要がない「必要急」です。しかしコロナ禍で、葬儀の形式や規模は大きく変化しました。
2021年1月に発表された葬儀社によるアンケートでは、コロナ禍の影響を受けたと回答した葬儀社は実に90%。主に葬儀の規模や内容に変化があったといいます。
一日で通夜・告別式を行う「一日葬」や、親族と親しい人のみで行う「家族葬」が増加。2日にわたって葬儀を行う一般葬も、通常より規模を縮小するケースが多いようです。
葬儀を行わず火葬を行う「直葬」は緊急事態宣言下で件数が増加しました。以前は費用が少なくて済む葬儀として認識されていましたが、時間がかからない・人を招かないというメリットが、コロナ禍のニーズとマッチ。一躍注目されました。
ただ、増加したとはいえ、葬儀の主流になったというほどではありません。やはり故人とのお別れの場を設けたいと思う遺族は多いようです。
オンライン葬儀(リモート葬儀)を行う葬儀社も増えました。名前はかなり認知されてきましたが、実際に行った件数はまだまだ少なめ。パソコンやカメラを使う本格的なものより、LINEビデオ通話など、小規模で気軽に行える形式を選ぶことが多いようです。
自宅で葬儀を行う「自宅葬」は、かつての主流形式。時代の変化に伴い減っていましたが、「ステイホーム葬」と名を変えて再び登場。プランを用意する葬儀社も出てきました。
葬儀業は独自の感染予防ガイドラインを定めています。各葬儀社もマスクの着用、消毒液の設置などの対策は必ず行っているようです。また、2020年の感染拡大初期は新型コロナウイルスが死亡原因の場合、葬儀を行えない葬儀社が多く存在しました。しかしご遺体のエンゼルケア・感染リスクのない安置方法が定まるにつれ、対応可能な葬儀社が増えました。
三密を避ける、感染リスクを軽減するといった観点から、葬儀の規模縮小・簡略化が進みました。今後どのような状況になるかは先行き不透明ですが、多くの葬儀社は縮小傾向が続くと見ています。
葬儀は亡くなられた故人との最期のお別れの場。一方で遺された人たちがコロナにかかってしまうことは避けたい。人々の安全と、きちんと見送りたいという感情のせめぎ合いの中行われてきたコロナ禍の葬儀。感染拡大は予断を許さない状況ですが、今後ワクチン接種などの影響で、状況は一変する可能性もあります。一度だけ訪れる瞬間を、安全に過ごせることを願ってやみません。