亡くなられた翌日が通夜、そして次の日が葬儀となりますので、葬儀の期間中は十分な準備期間はありません。そのため、通夜の前日や当日にお手伝いをお願いされることも珍しくはないでしょう。
自分が葬儀のお手伝いを頼まれたときに、どんな仕事をしたらいいのか?気を付ける点について頭にいれておくことで、いざという時にスムーズに動くことができます。
葬儀社に葬儀や通夜を依頼した場合、数人の運営スタッフが葬儀の準備や運営を行ってくれますが、会計などの現金を扱う仕事に関しては、身内や信頼のできる知人にお願いする事が多いようです。
葬儀を行う上での仕事はさまざまですので、親族や知人で役割分担を行いお手伝いを行うケースも少なくありません。葬儀のお手伝いを頼まれたときにはどのように仕事をしたらいいのか?お手伝いを頼まれるケースが多い仕事について説明します。
葬儀会場に到着した参列者が最初に接するのが受付係の方です。到着した参列者の案内などを行うため、故人との繋がりが深い近親者や知人の方がお手伝いをお願いされることが多いです。
斎場に訪れた弔問客に通夜や葬儀の会場を案内したり、式の開始時間の案内を行うため、会場の場所や開式の時刻を覚えておく必要があります。弔問に訪れた方が高齢の方であったり、斎場が広くて葬儀会場まで距離がある場合、先導して案内することもあります。また、トイレの場所なども尋ねられるケースも多いので、大まかな斎場の案内図は頭に入れておいた方がいいでしょう。
弔問客の手荷物を預かったり、冬場などはコートを預かったりするクロークの仕事も受付係の担当になります。現金や貴重品を預かることはトラブルになる可能性が高いので、手荷物の中に貴重品が入っていないか尋ねてから預かります。預かった手荷物や上着と引き換えに番号がついたタグなどを渡し、お帰りの際にタグと引き換えで荷物を返却します。
葬儀会場が大きく、多数の参列者が想定される場合は、受付係だけでは対応するのは難しいため、受付とは別にクローク専用の担当を用意する必要があります。
弔問に訪れた参列者に記帳をしてもらいます。最近は受付での混雑を防ぐために、芳名カードを別の場所で記入して、受付係にお渡しするタイプが増えていますので、芳名カードを受け取ったら所定の場所に保管します。記帳をしてもらった後に、用意してある会葬礼状・会葬品・お清め塩などがセットになった会葬セットをお渡しします。地域によっては香典の当日返しを行うところもありますので、その場合は香典の金額に応じた香典返しの品をお渡しします。
お供え物や生花などは、業者を通して会場に直接送られてくるものが多いですが、参列者の中には花や供え物を持参してくれる方もいらっしゃいます。参列者から供え物や生花を預かった場合は、お名前を伺ったあとに、会場内の運営スタッフに速やかに渡して、祭壇に飾ってもらいます。
通常の葬儀の場合、受付係が会計係を兼任することが多いですが、多数の参列者が想定される社葬など大規模な葬儀の場合、受付とは別に会計専門の係が必要になります。会計係は現金を預かる仕事になるので、ごく近い親族や、信頼できる知人に依頼することが多いです。
また、現金受け取り時のトラブルや、香典泥棒などの被害を防ぐために、会計係をお願いする場合は必ず複数の方に担当してもらうことが必要になります。
参列者や受付係から不祝儀袋を渡されたらすぐに開封し、金額を確認します。袋に記入されている数字と中に入っている現金があっていることを確認し、出納帳に参列者の名前と香典の金額を記入後、1万円札、5千円札、千円札と金種ごとにわけて金庫などに保管します。
通夜や葬儀が開式した後に、金庫内に保管した現金と出納帳に記載した香典の合計金額が合っているか確認し、喪主に香典をお渡しします。
受付係の方が案内を兼任することも多いですが、斎場が大きい場合や、参列者の数が多い場合は受付の方が案内を行うことが難しくなるので、案内係をお願いされる場合があります。
葬儀会場の近くに受付が設置されていますが、大きな斎場の場合、一度に何組かの葬儀を行っていることも多く、ホールの玄関から受付まで距離がある場合があります。
案内係の方の仕事は、受付よりもホールの玄関に近いところに位置し、受付の場所を案内します。また、自家用車で弔問に訪れた方から駐車場についての問い合わせがあることも多いので、駐車場の場所について案内できるように事前に地図で確かめる必要があります。体の不自由な方や、高齢者が弔問に訪れた場合は受付から、会場の席まで付き添いをして案内してあげることも必要になります。
最近の葬儀は斎場を利用するケースが多いため、台所係をお願いされることは少なくなりましたが、自宅で通夜や告別式を行う場合は台所係が必要になります。
通夜振舞いや精進落としの際の料理や飲み物を準備したり、会食が終わった後の後片付けを行います。また、僧侶が来られた時に、お茶をお出しするなどの接待も台所係の仕事になります。
葬儀をお手伝いしてもらうときは誰に頼むのがいいのでしょうか?ここでは、葬儀のお手伝いは誰に頼むべきかについて説明します。
故人のごく近い親族が葬儀の手伝いを頼まれるケースは多いです。特に、会計係など現金を扱う仕事はトラブルを防ぐために、喪主の家族など故人に近い関係の方がお願いされる例が多いです。
故人と親しい友人の方も受付や案内係を依頼されるケースが多いです。親族のみが受付を担当した場合、弔問に訪れた親族は顔がわかりますが、故人の友人などについては、顔を知らないことも多いため、受付の担当は、親族だけでなく、親しい友人にもお願いした方がスムーズに役割をこなせると思います。
葬儀社の基本プランでは葬儀の運営スタッフがセットされていることが多いです。親族の方や知人の方で受付を依頼できる人がいない場合、運営スタッフに受付などの役割をお願いすることも可能です。
ただ、会計係だけは受けてもらえない場合がありますので、運営に手伝いを依頼する場合は最初に確認しておくのがいいでしょう。
葬儀のお手伝いを頼まれたときにどんなことに気を付けたらいいのか?葬儀手伝いのマナーについて説明します。
お手伝いを頼まれる方は、故人とある程度関係が深い方だと思います。親族の場合や知人、友人の場合もありますが、受付などのお手伝いをする場合、あくまでも遺族側、葬儀を行う側にいるということを忘れてはいけません。
自分の一つ一つの振舞いが参列者にどのような印象を与えてしまうのかよく考えてください。杜撰な対応などで悪い印象を与えてしまうと、葬儀自体が悪い印象になってしまいます。
葬儀のお手伝いをお願いされる方も参列者の一人ですから、喪服やブラックスーツなど、葬儀用の身だしなみで来られていると思いますので、何かお手伝いをお願いされたときでもその服装のままで構いません。
自宅葬で台所係を頼まれたときは、料理の給仕などで喪服が汚れてしまう可能性があるので、薄手の白地エプロンなどを用意しておくのがいいと思います。
葬儀の手伝いをお願いされたら、当日に行われる事前打ち合わせに参加します。打ち合わせでは、喪主や遺族から、役割分担と葬儀の流れなどの説明がありますので、わからないことがある場合は、打ち合わせの際に質問しておいてください。
葬儀のお手伝いをお願いした人にはお礼を渡すのがマナーになります。現金をお渡しする他の方法もありますので参考にしてみてください。一般的なお礼の相場は3000~5000円になります。
商品券をお礼としてお渡しするケースは多いです。その場合、利用できる店舗が多い商品券の方が喜ばれます。特に地方の場合、商品券を頂いても使える店舗があまりないといった場合もあるので、利用できる店舗については事前によく調べておいた方がいいでしょう。
商品券などをお礼としてお渡しする場合も、現金と同様に白封筒か不祝儀袋に入れて表書きを「志」や「御礼」と書いて準備をしておきます。
お菓子やタオルといった品物をお礼としてお渡しすることもあります。葬儀の期間中は多忙で、お礼の品物を準備するために買い物に行く時間はほとんどありませんので、お礼を品物でお返しすると考えている場合は、返礼品などを依頼した業者に相談するのがいいでしょう。
お手伝いのお礼としてどのようなものが選ばれているのかアドバイスをしてもらうこともできますので、選択に頭を悩ませることも少なくなるでしょう。食べ物をお礼としてお渡しする場合は、なるべく日持ちするものを選んだ方がいいので、果物や生菓子は避けてください。
御礼としてお菓子やタオルなどの品物をお渡しする時にも、のし書きは必要になります。熨斗の表書きは香典返しなどと同様に「志」か「御礼」と書いて準備しておきます。
葬儀のお手伝いをしてもらったお礼の心づけは、いつ渡したらいいのでしょう?
葬儀の受付が始まってしまうと、それぞれの係の人も多忙になり、なかなか話す機会がありません。受付開始の前には、関係者の方を集めた事前の打ち合わせを行いますので、お手伝いをお願いする人には、そのタイミングでお渡しすることが多いです。開始前にお渡しできなかった場合は、弔問客が一通り来場されて会場への案内が終わり、受付の仕事が一段落したタイミングを見計らってお渡しするのがいいと思います。
遠方から来られている場合は、難しいですが、故人の友人や近所の方であれば、葬儀の翌日か遅くても翌々日に自宅に挨拶に伺いお礼をお渡しするという方法もあります。