義理の父・義理の母の訃報の連絡を受けたら、香典を包んでおくのが一般的なマナーです。しかし、大抵の人は「義父・義母の葬儀での香典はどの程度の金額を包めば良いのだろう?」と悩んでしまいます。この記事では、義理の父・義理の母の葬儀の香典の相場、香典の渡し方マナーなどについて解説します。
それでは、義理の父や母の法事や法要の際に、香典はいくら包めば良いのでしょうか?
香典の金額は、故人との関係性によって変わります。香典の金額は多く出せば良いというものではなく、互いの立場を尊重し合いながら出し合うものです。そのため、どれぐらいの相場を払えば良いのか確認して、相場に見合う金額を包むようにしましょう。
基本的に、義理の父・義理の母への香典については、両親の葬儀の香典と同じように考えます。
故人との関係性 | 金額相場 |
---|---|
両親 | 3~10万円 |
兄弟・姉妹 | 3~10万円 |
祖父母 | 1~5万円 |
叔父・叔母 | 1~3万円 |
甥・姪 | 1~5万円 |
従妹などの親戚 | 0.3~3万円 |
友人や仕事関係の人 | 0.3~1万円 |
配偶者と連名で渡すのであれば、上記の5割増しの金額を包んで渡します。
年齢や社会的な立場でも、香典の金額は変動します。年齢に見合わない金額を渡すと、相手を困らせてしまうため、自分の年齢相応の金額を包んで渡すようにしましょう。
20代以下の場合、ほとんどの人の社会的立場は高くなく、経済的にも余裕はないはずです。そのため、できる限り出すべきですが、相場より低めに考えても大丈夫でしょう。また、親の保護下にある場合は、保護者との連名で出すことも多いです。
故人との関係性 | 20代以下 | 30代 | 40代以降 |
---|---|---|---|
両親 | 3~10万円 | 5~10万円 | 10万円~ |
お通夜や告別式の葬儀の場合は、前述の表と同じになります。年齢と故人との関係性を考慮した金額を包んで用意しましょう。お通夜で香典を渡す場合は、急な出来事のため、予期せぬ出来事とみなすため、新札を包まないように配慮します。もし、新札しか財布に入っていなければ、一旦折り目をつけて包みましょう。
四十九日の法要では、故人様の霊が極楽浄土に行けるかの儀式のために行われます。故人様が極楽浄土に行く大切な儀式になるため、葬儀と同額程度を包んで渡します。
故人様が亡くなった日から1年目の命日を一周忌といいます。一周忌法要では、亡くなった方の家族や親戚が集まり故人を偲び供養を行います。四十九日の法要の香典金額と大差はありません。
十三回忌は、故人が亡くなった日から、満12年目の祥月命日を指します。十三回忌の法要は親族だけで執り行われるのが一般的であり、香典金額も四十九日や一周忌の法要よりも安くなります。
香典袋を用意して表書きや裏書きを記載する方法は、宗教や宗派によって異なります。そのため、正しい書き方を覚えておきましょう。
ほとんどの仏教宗派の葬式の御香典の表書きに使用されるのは「御霊前」です。仏教の教えでは、死後49日後に極楽浄土に行けると言われており、それまでは霊の状態でいると考えを持っています。そのため、香典袋の表書きには「御霊前」と記載します。
浄土真宗は仏教の教えとは異なり、亡くなった方は仏様の力によって、極楽浄土へ成仏すると考えられています。言い換えれば、四十九日まで霊の状態という考えはないのです。だから、香典袋の表書きには「御仏前」もしくは「お供」と記載します。これには、故人の霊を成仏してくれた阿弥陀如来に感謝の意味を込めて、お供えするという意味が込められています。
神道には、人が亡くなった日から50日後に神様になれるという考え方があります。50日間は霊の状態でいると考えられているため「御霊前」を記載します。また、神式独特の表書きで「御玉串料」「御神饌料」と記載することも可能です。これらは「葬儀のお供えのためのお金」という意味で使われます。
キリスト教の葬儀では、お香を焚きません。その代わりに献花が行われます。そのため、表書きに「御花料」と記載します。これは「献花のためのお金」という意味で使われます。また、御花料を包む場合は十字架が描かれた熨斗袋を利用することも覚えておきましょう。
表書きの下には、香典を包んだ人の氏名を記載します。もし、複数人など連盟で香典を包んだ場合は「〇〇一同」と記した上で、中に目録を同封します。
香典袋の裏書きは、中袋がある場合とない場合で書き方が変わります。
中袋がない場合は、裏面に住所と金額を記載します。金額は漢数字を使用します。
一万円 | 壱萬圓 |
二万円 | 二萬圓 |
三万円 | 参萬圓 |
四万円 | 四萬圓 |
五万円 | 五萬圓 |
六万円 | 六萬圓 |
七万円 | 七萬圓 |
八万円 | 八萬圓 |
九万円 | 九萬圓 |
十万円 | 拾萬圓 |
中袋が用意されている場合、中袋の指示通り「住所」「氏名」「金額」を記載します。表書きにも氏名を記載して、中袋にも氏名を記載することに疑問を感じる方もいるかもしれません。しかし、香典リストに氏名や住所、香典金額を転記していき、香典返しの準備をする形になりますが、外袋は捨てて中袋だけを保管する人もいます。そのような場合でも、管理に困らないようにするため、中袋にも氏名を記載するのです。
香典袋の文字を書くには、薄墨を利用します。薄墨を使用する理由は「硯(すずり)に涙が落ちて墨が薄くなってしまった」という意味が込められているのです。しかし、現代は墨を使う機会が少ないことから、薄墨が利用できないこともあるでしょう。そのような場合は、ペンで代用して記載すれば問題ありません。
香典袋は、包む金額に応じたものを選びます。豪華な香典袋の中に、少額の金額が包まれているとチグハグな印象になってしまうため、金額に応じた香典袋を選ぶようにしましょう。1万円を包むていどであれば、水引きがプリントアウトされた香典袋で十分間に合います。
香典袋の表書きを書く際に薄墨を使う必要があると説明しましたが、これは、突然の不幸で悲しくて涙が止まらないという気持ちを示すためです。そのため、葬儀を終えてから行われる四十九日の法要や一周忌の法要では、薄墨は使用されません。普通の墨を使用して記載します。
義理の父や母に向けて香典を渡す際には、失礼に当たらないように配慮したいものです。ここでは、香典の渡し方について分かりやすく解説します。
香典は、不祝儀袋に包みます。関東では双銀や白黒の水引、関西では黄色と白の水引を使用するなど、地域によって不祝儀袋は異なるので注意しましょう。
お札の表は人物が描かれている面を指し、裏は人物が描かれていない面となります。不祝儀袋にお札を入れる場合は、福沢諭吉が裏面で封筒の下側に諭吉の顔がくるように入れます。お札に向きがあるのは、悲しくて俯いているという意味合いが含まれているのです。また、香典を包んだ不祝儀袋は袱紗に包んで持っていきます。
義父や義母など親しい人の葬儀だと、お通夜と告別式の両方に参列する形となります。そのような場合に、香典は2つ用意すべきなのか悩むことがありますが、一般的には告別式にご香典を渡します。親族が亡くなった場合は、親族の控室も用意されていて、一般の参列者よりも早く会場に到着していること場合が多いです。そのため、親族の控室で喪主の方に直接手渡すという場合もあります。
しかし、一般的に渡すタイミングは受付時です。受付で「お悔みを申し上げます」と一言だけ伝えて、受付の担当者側が名前が分かるように渡します。
香典を渡す際に注意しなければいけないことは、周りの方と足並みを揃えなければいけないことです。年代に見合わない金額を包んだりしてしまうと、受け取った相手も困惑しますし、少額の香典を用意した周りの方も慌ててしまいます。そのため、香典金額の相場を確認して周りの人と足並みを揃えるようにしましょう。
香典を渡す際は「このたびは、ご愁傷様でございました。」「このたびはお気の毒様でございました。」と短く言葉を述べます。突然の訃報で葬儀で忙しくしていることが多いため、長話をせずに、短い挨拶だけで済ませます。
香典に包むお札は新札ではなく旧札を利用します。新札を利用すると「故人が亡くなるのを心待ちにしていたよう」「亡くなるのを予測して準備をしていたよう」と思われてしまうため、新札を利用するのは避けましょう。
もし、新札しかお財布にしか入っていない場合じは、半分に折ったりして、折り目をつけてから包むようにすれば問題はありません。
香典の金額で4万円や9万円を包むのは辞めましょう。4は「死」で9は「苦」という言葉を連想させてしまいます。このような数字は演技が良くないため、香典金額は別の金額を包んで渡します。
縁起を担ぐという意味では、1万円の香典金額を千円札10枚で包むのは良くありません。お札を細かく分けることで、故人と家族との関係が切れてしまうとされているからです。そのため、お札が細かくなる場合には、より大きな単位にまとめるのが一般常識となっています。
家族葬や直葬などの場合は、香典辞退となっていることが多いです。このように香典辞退と聞いた場合は、香典を渡すのは辞めましょう。それでも、葬儀の負担を少しでも減らしてあげたいと思う方もいるでしょう。そのような場合は、お供物料として渡します。白い封筒にお供物料と記載して渡します。華美な封筒は控えて、心づけという意味合いでさり気なく渡すようにしましょう。