弔電は、葬儀に直接参加できなかった人々がお悔やみの言葉や気持ちを遺族に伝える電報のことを指します。
しかし、ときには弔電に対するお礼すら心身的に辛い状況となることもあると思います。
そのため、弔電を辞退するという選択肢も思い浮かぶでしょう。
しかし弔電をいざ辞退するとなるとどのように伝えるかなどご存知ですか?
当記事では、弔電を断る場合の文例や断っても届いた場合の対処法について詳しく解説していきます。
この記事のポイント
弔電は、弔意を伝えるための電報です。
電報そのものは、関東圏の一部で1869年にサービスをスタートさせています。
そして、1890年からは電話で弁当が申し込めるようになりました。
長い歴史を持つ電報は、現在は情報伝達の手段ではなく、冠婚葬祭に利用されるようになりました。
弔電もそのサービスの1つであり、電話や手紙などとは異なった方法で弔意を示すことが可能です。
弔電を受け取った場合、お返しの必要があるものの、最も負担の軽いお礼状だけで問題ありません。
文例としては以下のものが考えられます。
「生前のご厚誼に誠に感謝いたします。○○様のご冥福をお祈りいたします」
内容はシンプルなもので構いません。
あくまでもこれまでの感謝と弔意を示すために使用するものであるためです。
弔電の扱いは、立場によって全く異なるものです。
それぞれの立場から弔電の扱いについてみていきます。
簡潔にいえば、弔電は喪主が辞退の可否を決めます。
喪主が決めるのは、
などです。
しかし、家族葬を行うのであれば、全て断るのが一般的です。
加えて、個人や会社などの立場に関係なく弔電を辞退できます。
これは家族葬という葬儀の形として、
などの意向を強く反映したものだからです。
断る場合であっても、会社や故人の友人などに対しては丁重な連絡を心がけましょう。
加えて、葬儀のスケジュールは伝えないことに注意してください。
弔電を送る側は、喪主の判断と意志が最優先です。
しかし、喪主が弔電を辞退している場合、
と想定することができます。
しかし、葬儀の形が家族葬であることから、しめやかに葬儀を行いたい意向だと判断できます。
そのため、
などを考慮する必要があるといえるでしょう。
また、香典や花は送る側の意向に関わらず、通常は受け取った場合お返しをするため負担がかかります。
家族葬においても考え方は同一です。
そして弔電であれば遺族の負荷はお礼状のみであるため、負担は非常に少ないでしょう。
弔電によるお悔やみの気持ちを示す場合は故人との関係性を見直すことが必要です。
家族葬における供花の取り扱いについては以下の記事で詳しく解説していますのでぜひご覧下さい。
辞退の旨を聞いていても弔電を送りたい場合は、
ことでスムーズなやり取りが可能となるでしょう。
また、会社であっても、訃報をどこまで伝えるのか明確にしていれば禍根が残ることはないといえます。
弔電を送る際のマナー
いざ弔電を送る、となった時にはどんなことに気をつければいいのでしょうか?
いくつかマナーをご紹介致します。
弔電は場合よっては喪主が葬儀の場で読み上げるということもあります。
できるだけ早く届く方がいいのは間違いないのですが、遅くても通夜の前日までに届けることが理想です。
早めに届いていると、葬儀の流れがスムーズに決まり、喪主の方が読み上げの練習することもできます。
最近では当日か翌日に届くサービスもありますので、それを利用しましょう。
実は弔電の宛名は少し迷うポイント。
宛名は故人ではなく、喪主宛に書きます。
また、宛先は葬儀が行われる斎場になります。
そのため、弔電を送る場合にはあらかじめ喪主と連絡を取って宛名や宛先を確認しておきましょう。
弔電を含め、葬儀の場では使ってはいけない忌み言葉というものがあります。
具体的には以下のような言葉は使わないように気をつけましょう。
忌み言葉 | 具体例 |
重ね言葉 | 「いよいよ」「度々」「ますます」 |
不幸が続くことを思わせる言葉 | 「再び」「再三」「続いて」「繰り返し」 |
生死を連想させる言葉 | 「消える」「死ぬ」「生きているとき」 |
使ってはいけない言葉は紹介しましたが、実際に弔電はどんな内容にすればいいのでしょうか?
文例をご紹介致します。
〇〇様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみを申しあげます。
すぐにでも駆け付けたい気持ちですが、遠方よりご冥福をお祈りいたします。
ご遺族の皆様もどうかお力を落とされませんよう、ご自愛ください。
ここに謹んで哀悼の意を表します。
連絡方法
弔電を辞退する場合、連絡方法は大きく分けて2つです。
ここではその方法についてみていきましょう。
時代の変化によって、メールによって弔電を辞退する旨を伝えても問題はありません。
喪主が全てを管理している場合、喪主が行わなければならない仕事は多数あります。
そのため、故人の知り合い全員に丁重な文面を送ること自体が非常に手間だといえるでしょう。
そのため、メールだけでなくチャットアプリなどを利用することも非常識ではありません。
この際に、重苦しい雰囲気を出さないためにも事務的にならない文面を心がけましょう。
電話で連絡をするのは、故人が親しかった友人や所属していた会社などです。
この際に、弔電だけでなく香典や供花なども辞退する意思を伝えることを重視しましょう。
また、どうしても弔電を送りたいという人たちに対しては受け入れることも重要となってきます。
加えて、会社などに連絡をする場合にも、できる限りは電話の方が印象はいいといえます。
家族葬の連絡の仕方や連絡内容については以下の記事で詳しく解説をしています。
ここでは、2つのパターンに分けて辞退する場合の文例をみていきます。
伝えることは、
という内容で十分です。
会社に送る文例についてみていきましょう。
〇〇株式会社○○殿
先日、母〇〇が〇月〇日に享年〇〇歳で逝去いたしました。
また、葬儀は故人の遺志により、近親者のみの家族葬を執り行うことになりました。
御香典・弔電は故人の遺志により、固くご辞退申し上げます。
ご迷惑をおかけしますが、何卒宜しくお願いいたします。
亡くなった故人の生前お世話になった会社であるため、文章も改まった雰囲気で記述しましょう。
家族葬を執り行う際の会社への連絡についてはこちらの記事でさらに詳しく解説をしています。
会社よりは文面は柔らかくなるものの、友人に対してもある程度、かしこまった文面で記述しましょう。
お久しぶりです。△△です。
いきなりではありますが、先日の〇月〇日、父○○が亡くなりました。
父の遺志を汲み、葬儀は家族葬を執り行います。
そのため、御弔電・御香典等のお気遣いはご遠慮いたします。
何卒宜しくお願いいたします
などの文面で相手は事情を把握してくれるでしょう。
弔電は辞退したとしても届く可能性があります。
連絡が行き渡っていない可能性もあるものの、届いた弔電に対しては誠実に対応する必要があります。
ではその対処方法についてみていきます。
辞退した場合でも弔電が送られてきたパターンでは、送り返すことはマナー違反です。
会社や友人などの立場の違いがあったとしても、送り返すことは避けましょう。
仮に弔電が送られてきた場合は、お礼の手紙を後日送ることによってその後の関係に禍根を残しません。
弔電が送られてきた場合、相手に対してお礼状を書くことが一般的です。
お礼状は、はがきよりも手紙の方が選ばれているため、コピーではなく直筆でお礼を書きましょう。
ただし、
などの場合は、印刷でも問題はありません。
加えて、
などの手段でも問題はありません。
この中でも最も丁寧なお礼の方法は、直接会って口頭で伝えることです。
しかし、会えない距離に住んでいる方などにはお礼状が最も手軽なものだといえます。
加えて、弔電がどういった関係性の人から送られているのかも把握することが重要です。
お礼状は簡潔に、お礼状を頂いた感謝の念を記述しましょう。
この度は亡○○の葬儀に際しまして、ご多忙の中、弔電を頂きまして誠に感謝しております。
故人に変わって厚くお礼申し上げます。この度は誠にありがとうございました。
取り急ぎお礼を申し上げるためにご連絡いたしました。
略儀ながら失礼いたします
今後の関わりの有無よりも、相手の行った行動に対して感謝を示すことが重要です。
家族葬の場合、弔電を断る傾向にありますが、同様に香典や供花についても断る傾向にあります。
理由も同じで、お返しを用意するなどの負担を減らすためです。
しかし、辞退していないこともあるので、その場合にはどうすればいいのか解説致します。
香典については家族葬であっても一般葬であっても包む金額の相場に大きな違いはありません。
具体的な金額相場は以下のようになっています。
故人との関係性 | 金額相場 |
両親 | 5~10万円 |
祖父母 | 1~5万円 |
兄弟 | 3~5万円 |
孫 | 1~3万円 |
その他の親族 | 5,000円~1万円 |
この金額はあくまで相場ですので、自分の経済状況や故人との関係の深さなども考慮して考えましょう。
また、香典の表書きには主に御香典・御霊前などが使われます。
ただし、宗教によって変わってくることもあるので注意が必要です。
家族葬における香典については以下の記事でさらに詳しく解説をしています。
宗教ごとの表書きの違いや香典を渡す際のマナーなど知りたいという方はぜひご覧ください。
お花を送る場合は、斎場の大きさやご遺族の意向を考慮することが大切です。
また、届くタイミングは通夜の前に届くようにしましょう。
花の種類についても配慮が必要で、仏式と神式の葬儀では、菊や蘭、百合などの白色の花を送ります。
不安な方は葬儀社に相談をしたり、葬儀社に供花を手配してもらうこともできます。
家族葬における供花については以下の記事で詳しく解説をしていますのでぜひご覧ください。
この記事のポイント
当記事では家族葬における弔電について解説をしてきました。
家族葬においては遺族の負担になりやすいため、香典は供花は辞退することが一般的です。
弔電においてはお返しが負担になりにくいとはいえ、お礼状を書くことも負担になることもあります。
弔電を辞退していたら送らず、辞退していない場合でもできるだけマナーを守って送ることが大切です。