子孫にお墓を管理させる必要がなく、壮大なスケールの下で散骨をしてもらえると注目の宇宙葬。
宇宙葬はまだ新しい概念ゆえに、その費用について明確なイメージを持っている人は少ないことでしょう。
今回は、宇宙葬のプラン内容と費用の相場について解説します。
選ぶプランによっては、ご想像よりも少ない出費で済むかもしれません。
この記事のポイント
最近では墓を継承してくれる子孫がいないという問題などが増えています。
そのため、散骨形式の自然葬の形が見直され、墓を建てないという選択肢を取る人も年々増加しています。
自然葬では、海洋や山林に散骨する方法がよく知られていますが、散骨の場所は宇宙にまで広がっています。
遺骨をカプセルに入れてロケットで宇宙へ打ち上げる、それが宇宙葬の基本の形になります。
宇宙葬の2つのタイプ
ロケットに打ち上げる他にもバルーンによる散骨方式も宇宙葬の一つとされています。
アメリカのNASAで発射されるロケットに、砕いた遺骨を詰めたカプセルを搭載し、地球外に飛び出します。
ロケットを使用するタイプは、
があります。
バルーン宇宙葬は、地表から30㎞上空までのぼり、そこでバルーンに積んだ遺骨を散骨するシステムです。
正確に言えば宇宙空間には達していません。
しかし、地球上空の成層圏に達していることから宇宙葬の一つとされています。
宇宙葬のプラン
宇宙葬には上記のような複数のプランが用意されており、プランによって宇宙に滞在する期間が異なります。
宇宙旅行プランは、ロケットで宇宙へ飛び出した後に公転軌道を周回することなく、地球上に落下します。
宇宙から地球へ帰ってくるときに、大気圏で衝突し遺骨カプセルは燃え尽きます。
ロケットはアメリカで打ち上げられるので、ロケットの発射を見送りに行くこともできます。
しかし、現地に行けない場合はストリーミング放送で発射の様子を見届けることができます。
人工衛星プランは、打ち上げられたあと、人工衛星となって地球の外周を回るプランです。
人工衛星として周回しているときに、天体観測アプリによって今の場所を確認することができます。
人工衛星プランでは240年の間地球の外周を回ります。
遺骨カプセルを搭載したロケットは地球外に飛び出した後に月を目指します。
月に到着した時に遺骨は月面へ散骨されます。
宇宙探検プランは、遺骨カプセルは打ち上げられた推進力を利用して進む宇宙帆船に搭載されます。
そして宇宙の果てを目指すプランになっています。
長い年月をかけていずれは太陽系の外、銀河系の外へ到達する初めての人類ということになるでしょう。
散骨場所を決めてから、その近くでバルーンを打ち上げます。
ヘリウムガスを注入し膨らんだバルーンは地表から30㎞の高度まで上昇します。
こちらは実際の動画になります。
宇宙葬は、料金が高いのではと思いますが、一番安い業者で30万円程度の費用で行うことができます。
現在、日本ではロケット打ち上げ型の宇宙葬を行っている業者が3社。
バルーン型を行っている業者が2社あります。
業者の用意しているプラン毎に価格の幅がありますが、費用相場をまとめるとこのような料金になっています。
プラン | 相場 |
宇宙飛行プラン | 300,000~1,350,000円 |
人工衛星プラン | 300,000~950,000円 |
月面旅行プラン | 2,500,000~7,500,000円 |
宇宙探検プラン | 2,500,000~7,400,000円 |
バルーン宇宙葬 | 80,000~260,000円 |
ロケット打ち上げタイプ
こちらでは、まずロケット打ち上げタイプの流れを、上記の4つのステージに分けて解説していきます。
亡くなられた後に宇宙葬のプランの申込をするときは、申込と一緒に費用の支払いをします。
しかし、生前に予約する場合は、予約金を支払うことになります。
生前予約した方が亡くなられた時に、予約金を差し引いた残金のお支払いをします。
ロケットの打ち上げ日が決定したら、登場手続きをしてフライトチケットを受けとります。
打ち上げ予定日の1~2か月前には遺骨を業者に渡します。
現地で見送りする場合、前日に施設を見学したり、セレモニーに参加する時間が用意されています。
打ち上げ当日には、施設内のモニターでロケットと共に故人が宇宙へ飛び出す姿を見送ります。
見送りをしない場合は、ライブストリーミングでロケットの打ち上げ映像を見ることになります。
無事打ち上げが終了してから1~3ヵ月後には、記念品が郵送されます。
バルーン宇宙葬の流れ
続いてバルーン宇宙葬の流れを、上記の4つのステージに分けて解説します。
バルーン宇宙葬も亡くなられた後での申しこみと生前の予約申込の受付があります。
生前の予約でも予約金ということで、全額を支払うことになるようです。
ご遺体の火葬が終わってから、遺骨の散骨場所と散骨の日時を決定します。
海洋でも山林でも散骨場所は問題ありません。
しかし、近くに打ち上げスペースがなければいけません。
代理散骨の場合は、自分で場所や日時を希望することはできません。
基本的には関東での打ち上げになります。
もし、遠方での打ち上げを希望する場合は、別途料金を支払うことでどこでもバルーンの打ち上げができます。
打ち上げ場所が決定したら、遺骨を業者に渡して、パウダー状に粉骨してもらいます。
遠方で業者を直接訪問するのが難しい場合は、ゆうパックでの郵送にも対応しています。
遺骨をパウダー状にした後に、遺骨を返却するので、打ち上げ当日まで家で遺骨を保管することができます。
家出の保管を希望しない場合は、業者が当日まで預かることもできるそうです。
打ち上げ場所にて、バルーンの中にパウダー状に散骨した遺骨を入れます。
バルーンを膨らませて打ち上げの準備ができた後に、1分間の黙祷を行い、バルーンを打ち上げます。
この際に遺骨が入ったバルーンと見送りに来られた方が小さなバルーンを手放し、上空へと葬送します。
バルーンは30㎞上空で急速に膨張し一瞬で破裂します。
バルーンの内部に保管されていた遺骨パウダーは空中に舞い散骨されることになります。
葬儀が終了した後、1ヵ月くらいでバルーン宇宙葬証明書が郵送され手元に届きます。
宇宙葬を希望する方の多くは生前予約という形式をとっています。
現在、宇宙葬を執り行う業者は非常に少なく、日本でも5社程度しかありません。
生前予約を行っていても、自分が亡くなった後に、今と同じように葬儀が執り行えるという保証はありません。
万が一に備えて、
などについても確認しましょう。
そして、葬儀を執り行う遺族のためにエンディングノートなどに記入しておくことをおすすめします。
現在、日本で宇宙葬を取り扱っている会社は上記の5社になります。
銀河ステージ:https://ginga-net.com/
Sorae-ソラエ:https://www.yoriso.com/space/
Elysium Space社:https://elysiumspace.com/ja/
バルーン工房:http://www.balloon-sou.com/
ストーンアート工業:http://www.stoneart-kougyou.com/
この記事のポイント
いかがでしたでしょうか。
現代では技術の発達により、遺骨を宇宙空間に送るというロマン溢れる宇宙葬も可能になりました。
費用がそれなりにかかりますので、故人の希望と経済状況をしっかり考慮したうえで決定しましょう。