冠婚葬祭、特に弔事の場合遺族の悲しみに配慮しなければなりません。そのため、葬儀に参列する場合は、遺族や他の参列者に不快な思いをさせないために多くのマナーが存在します。
しかし、その中には正式なマナーではない「謎マナー」と呼ばれる理由や根拠がないものが存在します。この記事では「謎マナー」についてわかりやすく解説します。
葬儀マナーの多くは、古くから伝わる慣習に従っています。一つ一つに理由や根拠があり、常識と照らし合わせても妥当性があるものです。
その一方で、謎マナーは「いつからできたのか?」「なぜ、いけないのか?」という根拠がほとんどない葬儀マナーのことです。実際、多くの人が葬儀の正式なマナーだと思っていることの中にも、根拠がない謎マナーは存在しているため、これを機会に理解を深めましょう。
葬儀参列時で、正式なマナーと間違えてしまいがちな謎マナーを紹介します。
カジュアルなイメージがあるので、喪服の場合はタイツではなく黒のストッキングを履くのがいいと、ネットで見かけることもあります。
しかし、東北や北海道など北国の葬儀では冬の間、葬儀に参列する人の多くがタイツを着用しています。色付きや絵柄がついたタイツならマナー違反ですが、黒やグレーのタイツであれば、全くマナー違反に問われることはありません。
冷え性の方は体調を崩さないように、冬場は厚着をして葬儀に参列した方が余計な心配をかけずに済みます。
昨年からのコロナ渦の影響で、葬儀参列時もマスクを着用することが新しいマナーとなっています。しかし、色までは葬儀マナーとして指定されていません。
確かに、喪服の色は黒なので黒いマスクが喪服には合わせやすいということもありますが、喪服の下に着用するシャツやブラウスは白なので、マスクが白色であっても全く問題はありません。
逆に黒色のマスクはコロナ禍で誕生したものです。多くの方が白色のマスクの方が見慣れていることでしょう。そのため、白色のマスクを着用して問題ありません。
香典のお札の入れ方で、正式なマナーとされているのはお札の数を割り切れない数にすることです。冠婚葬祭では偶数の数は不吉な数とされているので、香典のお札は1枚、3枚、5枚と奇数の枚数を用意します。
この正式なマナー以外に香典ではたくさんの謎マナーが存在しています。
「お札の顔を下向きに入れる又はお札の裏が外側に来るように香典を入れる」
「お札は新札よりも使い古したお金を入れる」
この二つがよく聞かれる謎マナーです。お札を下向きに入れるのは、参列者の悲しみを表すため。新札ではなく使い古したお金を入れるというのは、新札だと予めお金を用意していたと思われるからです。
これらは間違っているわけではありませんが、実際、香典を一つ一つ開けて取り出すときにお札の向きや新札かどうかなどチェックすることはほぼありません。
葬儀には、さまざまなマナーが存在します。故人様やご遺族様に失礼とならないようにマナーは守りましょう。しかし、葬儀の謎マナーに捉われすぎてもいけません。大切なことは故人様の最期を見届ける気持ちです。そのため、葬儀の謎マナーに捉われすぎないようにしましょう。