日本にも信者が20万人いると言われるエホバの証人。戒律が厳しいことでも知られていますが、葬儀はどのように執り行われるのでしょうか?この記事では、エホバの証人の葬儀についてわかりやすく解説しています。
1870年代に米のチャールズラッセルらによって、創立された宗教団体です。
聖書を経典としているので、キリスト教の一派とされていますが、「新世界訳聖書」を使用し、カトリックやプロテスタントなどキリスト教の主流派を否定する立場を取っています。
最終的にハルマゲドンにより世界は滅亡し、エホバの証人の信者のみが生き残ると説明されています。さらに、それまでに死んでしまった信者も復活し永遠の生命を授かり、楽園を築きあげるというのが聖書の内容です。
そのため、死者はハルマゲドンの後に復活するための準備段階に入ったというのがエホバの証人の死生観です。
エホバの証人の葬儀は、葬儀場などで行われることは希で、各地の王国会館や自宅で行われることが多いです。葬儀を行っても儀式的なものは、ほぼありません。葬儀を行わずに火葬を行う信者も多いようです。
キリスト教の一派とされていますが、カトリックやプロテスタントのようにミサなどは行いません。エホバの証人は他の葬儀とどこが違うのでしょうか?
エホバの証人の信者にとって、葬儀はお別れの儀式ではありません。ハルマゲドンの後に復活すると信じているので、一時的なお別れと考えられています。
そのため、一般の葬儀のように悲しみに打ちひしがれた遺族を慰めるというものではなく、最後の別れではないので、仰々しい祭壇や遺影などを飾ることはありません。
写真を飾る場合もありますが、生前のスナップ写真のような普通の写真を飾る程度になります。
死者には意識がないので、死者に対してのセレモニーは意味がないと信じられています。そのため、死者の霊を慰めるための献花や、焼香といった宗教的な儀式は行いません。
エホバの証人の葬儀は、料金をとったり寄付金を集めたりすることを禁じています。また、香典は死者の魂に対して供えるものなので、霊魂の存在を信じていないエホバの証人の方は香典を受けとりません。
親族の方の中にエホバの証人の方がいて葬儀に参列する必要がある場合、香典は持参しないか「御花料」を表書きにしてお渡しするのがいいでしょう。
エホバの証人では宗教的な葬儀の儀式は行いません。そのため、親族のみで行われる追悼式(お別れの会)にも決まった流れはありません。
ここでは、エホバの葬儀の流れの一例を紹介します。
生前の故人がどんな人だったのか?どのような生き方をしてこられたのかについてお話やビデオ、スライドなどを使って参列者に紹介します。
遺族や参列者が故人との思い出を語ります。故人の紹介とは違い、故人がどのように教えに向き合ってきたのか?どれだけ信仰が深かったのかなどについて語られます。
遺族や参列者に対して、遺族の言葉を朗読します。死と復活の希望の章が選ばれることが多いです。
参列者が讃美歌を合唱し、祈りを捧げます。
短いお別れの会を行い、参列者が棺に花を入れて出棺します。火葬場には親族のみが同行し収骨後は、墓地に埋葬するか自宅で遺骨を保管します。火葬後に儀式はありません。
エホバの証人は、「新世界訳聖書」による死生観を大切にしている宗教団体です。そのため、通常の葬儀の流れとは異なるので気をつけてください。このように、宗教による葬儀の違いはよくあるため、宗教団体のメンバーではない方が葬儀に参列する場合は気をつけてください。