遺産相続は、どんなに親しい家族でもお互いの主張が折り合わずに「争族」となるといわれています。また、財産の種類によっては登記が必要になるなど手続きが複雑になります。そのため、弁護士に相談をしようと思う方もいるかもしれません。
このような場合の弁護士費用は誰が支払うものなのでしょうか?この記事では、遺産相続の弁護士費用について分かりやすく解説します。
遺産相続の弁護士費用の負担者は、依頼内容に応じて異なります。
遺言執行者を弁護士に依頼する場合は、被相続人が弁護士費用を負担します。遺言執行者とは、遺産相続するために財産目録の作成、遺産管理、相続登記などの手続きを行う人のことです。このような業務を弁護士にお任せする場合は、相続財産から弁護士費用を負担します。
遺産分割協議の代理交渉や遺留分減殺請求(遺言書で特定の人に遺産分割すると書かれていた場合は、最低限の遺産の取り分を確保するために請求するもの)など、自分の意見を主張してもらう場合は、依頼者が弁護士費用を負担することになります。
弁護士は、依頼者の権利(主張)を最大限守るように業務を遂行する立場の人です。そのため、依頼者が弁護士費用を支払うものと理解しておきましょう。
遺産相続の弁護士費用には平均費用相場は存在しません。その理由は、相続財産の金額からパーセンテージを負担する仕組みだからです。一体、どれぐらい負担をしなければいけないのか、弁護士費用の内訳を確認しておきましょう。
遺産相続に関する相談料は、1時間1万円程度です。実際に遺産相続の代理交渉などは着手金を支払わない限り行ってもらえません。しかし、遺産相続に関する相談であれば、料金を支払えば何度でもできます。
近頃は、初回相談料を無料とする弁護士も増えてきました。少しでも費用を抑えたい方は、初回相談料が無料の弁護士に相談をしてみてください。
弁護業務を依頼する場合は、着手金を支払わなければいけません。相続人の人数や紛争の可能性、遺産分割の財産の種類によって着手金は大きく変動します。
平均費用相場は20万円~200万円程度ですが、状況によって異なります。そのため、参考程度にしてください。
無事に遺産相続を終えることができたら、弁護士に報酬金を支払います。
報酬金は財産金額によって変動します。財産金額が300万円以下の場合は15%、3億円を超える場合は5%と財産の総額が上がるほどパーセンテージが低くなります。しかし、弁護士によって報酬額は変わるため気をつけてください。
遺産相続で揉めた際に裁判を起こす際は収入印紙を購入したり、家庭裁判所に出向いたりしなければいけません。交通費や収入印紙代のようなものは実費として扱われて、別途支払う必要があります。
次に、遺産相続の弁護士費用に関するよくある質問をご紹介します。
遺言執行者は弁護士に依頼をした方が良いでしょう。遺産相続は争族になりやすいです。また、遺産分割の対象となる財産を把握して正しく分割しなければ、やり直しになることもあります。このようなトラブルを防止するためにも依頼を検討してみてください。
弁護士費用には定価が定められていません。弁護士に応じて費用は異なります。また、自分の意見を主張してもらうために依頼する場合は相性も必要です。そのため、複数の弁護士を比較検討しましょう。信頼できて安心してお任せできる弁護士に依頼をしましょう。
弁護士費用の大きな負担となるものが「着手金」です。着手金が支払えない場合は、分割払いにしたいと相談してみてください。柔軟に対応してもらえるはずです。
また、収入が一定金額以下の場合は民事法律扶助制度が活用できます。民事法律扶助制度とは、少ない費用で弁護士に依頼ができる制度です。法テラスで詳細について確認できるので、興味がある方はご覧になられてください。
遺産相続は専門知識が必要になり、金銭が絡むため争族が起きやすいです。そのため、遺言執行者を弁護士に依頼することをおすすめします。
また、遺産分割協議の代理交渉や遺留分減殺請求を弁護士にお任せすることができます。遺産相続をスムーズに進めるためにも、弁護士の利用を検討してみてはいかがでしょうか。