葬儀が終わった後に、必要な諸手続きは思ったよりも多いものです。税金や年金受給停止手続きの他にも、不動産や自動車の名義変更などの手続きもあり、それぞれに手続き期限が定められているので注意が必要です。
この記事では、葬儀後に必要になる諸手続きの流れについてわかりやすく解説しています。
生前年金を受給していた場合、亡くなられた後に年金の受給停止の手続きが必要となります。受給停止手続きを行わなければ、亡くなられた後も年金が振り込まれてしまい、放置しておくと、罪に問われる可能性があります。
故意に届け出なかったわけではなく、忘れていた場合も罪に問われるため、支給手続きは必ず期限内に行うようにしましょう。
年金支給停止手続きは、年金事務所や年金相談センターで行います。厚生年金も国民年金も手続きの場所は同じですが、手続期限が異なるので注意が必要です。
年金事務所等に、故人の年金証書、死亡の事実を明らかにできる書類(死亡診断書など)を持参して手続きを行います。
年金は偶数月に2ヵ月分まとめて振り込まれる後払い方式です。そのため、亡くなられた後には必ず未支給分が発生します。
同一生計を営んでいた家族であれば、未支給分を受け取ることが可能ですが、生前のように自動的に振り込まれる方式ではないので、受け取るためには手続きが必要になります。
受給停止と同時に手続きを行うため、停止手続きの書類に加えて、故人と同一生計を営んでいたことが証明できる書類(住民票)が必要になります。
また、振込してもらう銀行や郵便局の口座情報も忘れずに持参してください。
遺族年金は「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の2種類があります。
遺族基礎年金は「18歳到達年度の末日までにある子(障害の状態にある場合は20歳未満)のいる配偶者」
遺族厚生年金は「厚生年金保険の被保険者中または被保険者であった方が亡くなられたときで、その方によって生計維持されていた遺族」が受け取ることができます。
手続きは受給停止手続きと同様に、年金相談センターや年金事務所で行います。手続きの期限は年金受給者が亡くなられた日から5年以内です。
故人の所得税の申告と、遺族の相続税の申告が葬儀後の主な税金手続きとなります。
故人の死後に準確定申告を行い、所得税を支払います。長期入院などで未納分がある場合は、前年度にさかのぼっての申告が必要です。
最寄りの税務署に申告書を提出。亡くなられてから4ヵ月の期限内に申告しないと、延滞金が発生する可能性があります。
故人から遺産を受け取った場合、相続が発生することを知ってから10ヵ月以内に相続税の申告をする必要があります。
葬儀にかかった費用などは、相続税から控除されます。また、通常の香典は課税対象になりませんが、金額が大きい場合は、課税対象となることがあるので注意してください。
亡くなられてから14日以内に、各市町村役場に国民健康保険資格喪失届の届け出を行い、健康保険証を返納します。
市町村によっては、死亡届の提出時に、資格喪失の手続きを行うため、届け出が不要なところもありますが、保険証は返納しなければなりません。
故人が生命保険に加入していたのであれば、保険会社に連絡を行い、死亡保険の受給申請をします。
支払事由が発生した日の翌日から3年以内に、申請を行わない場合、時効が成立して、死亡保険金を受け取れなくなってしまいます。
故人の銀行口座は、死亡届が出されたら凍結されてしまい、預貯金を引き出すことはできなくなります。遺産相続の配分が決まるまで、口座は凍結されているので、相続の詳細が決まったら銀行に届け出を出して、口座の凍結を解除してもらう必要があります。
故人名義の不動産がある場合、名義変更を行う必要があります。名義変更が終わった時点で相続完了と見做されるので、相続税が発生します。
電気や電話、ガスなどの公共料金は名義変更をしなくても、今まで通り使うことは可能ですが、利用料金の支払を故人の口座から引き落としていたのであれば、名義変更と支払方法の変更を行う必要があります。