葬儀は、一般的には誰かが亡くなった後に考慮しつつ、葬儀社に依頼し、内容が決定したら葬儀を行うイメージを持つ方が多いでしょう。
しかし、誰かが亡くなった後に、葬儀社をよく選定せずに依頼することでトラブルが起きることもあります。そのため、葬儀には生前契約ができる葬儀社も増加しつつある状況です。
ここでは、葬儀の生前契約に対するメリットや注意点などについてみていきましょう。
葬儀は、生前契約と予約を行うことが可能です。契約内容そのものの定義は、各社によって異なるものの、事前に契約しておくことによって葬儀を行うタイミングにおいて様々な手間を省くことが目的です。
また、生前契約は身元保証等高齢者サポートサービスなどともいわれており、官公庁から案内が出ているほど一般的なものとして浸透しています。提供している業者や団体は様々であるものの、利用者からみれば「葬儀に関わる一連の手続きを業者に任せられる」ことがサービスの特徴になっています。
生前契約を行う対象は、故人となる可能性がある人が行います。生前契約は1900年代の初めにアメリカで生まれ日本にも浸透したサービスです。
身寄りがない人や家族に対してメッセージを残したい方などが生前契約を選択します。また、通常の葬儀における予約は家族でも可能であるものの、生前契約に関しては故人が行う必要があります。
生前に葬儀の予約をする理由とは、「葬儀によって負担をかけない」ことが最大の理由です。
葬儀における負担は以下のものが考えられます。
仮に、一般葬が主流な地域で急な不幸で家族が亡くなったとしましょう。地域での遺族のイメージを悪化させないため、遺族が一般葬を選択したとします。その場合に発生するコストや手間、葬儀後の一連の対応などは遺族が負担しなければなりません。
一般葬であれば、葬儀の費用は決して安価ではなく、参列する人々に対してもしっかりとした対応が必要です。加えて、現在では葬儀のスタイルは非常に多岐にわたる選択肢があるものの、「家族に故人の望む葬儀の形が上手く伝わらずに葬儀が行われる」可能性があります。
家族がいる方だけでなく、1人暮らしの方も含めて、生前契約によって葬儀の内容を決定し、費用を支払っておくことで、その後のあらゆる負担を軽減することが可能です。また、故人となった場合に、どのような葬儀を行って欲しいのかを明確に伝えることもできるため、生前契約の予約がサービスとして提供されているといえるでしょう。
葬儀の生前契約の内容は、葬儀会社によっても異なるものの、生前だけでなく死後の一連の手続きや事務処理も含んでいます。
法律行為の種別 | 生前 | 任意 | 死後 |
---|---|---|---|
サポート内容 | 緊急時の連絡、手術後の身柄引き受けなど。 | 財産及びこれまでの利用料支払いなど。 | 葬儀に必要な死亡届などの事務処理、葬儀の執行、契約の解除など。 |
サポート内容に全てが含まれてるわけではないものの、生前契約・予約を行うことによってあらゆる負担を軽減できます。加えて、契約内容に関しては、変更できる場合とそうでない場合が分かれている点には注意が必要です。
法律行為に関しては、利用者は気にする必要はありません。サポートの内容として何をどこまで行うのかを把握しておけば有効に生前契約・予約サービスを活用できるでしょう。
葬儀の生前契約や予約は、ある程度手順を踏んで契約に至ります。また、契約によって行うのは、サービスの購入であるものの、金額やどこまでサービスが充実しているのかは各社によって大きく異なる点は相談前に把握しておきましょう。
サービス内容が多岐にわたるものの、生前契約や予約を行う場合には、そのサービスを提供している葬儀社に相談することからスタートしましょう。
この場合、一社だけではなく、数社の中から選択することを予め意識しておくとスムーズな比較が可能となります。加えて、相談のみと伝えているのに下記のような行為に及ぶ業者は契約を避けることをおすすめします。
葬儀社も利益を追求しなければならないことから、ある程度商品をアピールされることもあるでしょう。しかし、断っているのに強く推されるなどの場合は、その葬儀社では、あらゆる場面でトラブルが起きる可能性があると想定して問題ありません。
葬儀の内容はある程度、プランによって選択することが可能です。そして、相談を行う段階から、具体的な葬儀の内容を決めていきます。例えば、家族葬などであれば、喪主が誰になるのか、どのくらいの費用になるのか、遺影はどうするのかなどを決定することになるでしょう。
複数の葬儀社に相談する場合は、事前に葬儀の内容をある程度想定しておくことでスムーズに話ができるようになるといえます。加えて、どのような葬儀社に相談を行ったとしても、相談の段階である程度内容を決めておくことで比較しやすくなるでしょう。
そして、それぞれの葬儀社のサービスや価格などを比較し、契約の締結を行います。
サービスやプランを比較したうえで、契約の締結を申し込むことで葬儀の生前契約・予約が完了します。この場合、以下の点をよく確認する必要があります。
葬儀におけるトラブルは、金額に関するものが非常に多く、生前契約においてもその傾向は変わりません。また、どのような葬儀のスタイルであったとしても、決して安価な金額とはいえないものであるため、後のトラブルとなりやすい部分を事前に聞いておくことでトラブルを避けることが可能です。
コストや事務処理などどのような効果があるのか知ることによって、葬儀の生前契約・予約を想定した相談を家族にしやすくなります。
葬儀のスタイルや誰を呼ぶのかなど、葬儀を生前契約・予約することによってニーズに合わせた葬儀が可能となります。とくに葬儀のスタイルに関しては、コストだけでなく、誰を呼ぶのかに至っても指定することが可能です。そのため、できる限り自分の要望に合わせた葬儀を行うことができる点はメリットだといえるでしょう。
葬儀は、時間・金銭・事務処理など非常に大きな手間がかかるものです。場合によっては、葬儀で揉めることも少なくありません。
しかし、葬儀の生前契約・予約によって、デメリットをほぼ解消することができます。また、離れた家族と暮らしている方や1人暮らしの方においても、周りの方々に迷惑をかけずに様々な手続きを葬儀会社がしてくれることもメリットの1つだといえます。
葬儀の生前契約・予約の場合、葬儀にかかる費用を事前に把握することが可能です。また、しっかりとした葬儀会社であれば、見積もり以上の金額が加算されることはありません。仮に、加算されることになった場合、遺族とのトラブルに発展する可能性があります。
もっとも、また、葬儀費用に関しては支払い方法が葬儀社によって異なります。この場合、前払いよりも後払いや葬儀信託に預け入れる方法をとる葬儀会社を選択することでトラブルを避けることが可能です。
生前契約・予約には、とくに支払いに関するデメリットがあります。しかし、事前に対処することによって予防することが可能です。
葬儀社も利潤を追求して運営しているため、倒産する可能性があります。仮に、会社が倒産した場合においては、前払いなどの支払い方法では、その金額を取り戻すことができなくなるといえるでしょう。
また、キャンセル代などを考慮する必要はないものの、新しい葬儀社と契約を結ぶか亡くなった場合に急いで探すことになります。そのため、葬儀社に依頼する場合には、経営状況や評判、どのような料金の支払い方があるのか把握しましょう。
仮に、葬儀社の状況を知り、後払いで葬儀費用を葬儀信託に預けているなどの場合は、葬儀信託が葬儀費用を返還することになります。そのため、依頼者がトラブルに見舞われることはないといえるでしょう。
葬儀の生前契約・予約は、契約の解除となった場合、契約書の約款に基づいてある程度の金額を請求されます。その金額は、葬儀社によって異なるものの、場合によっては解除料金がトラブルの引き金となることも少なくありません。
こういった場合は、契約する前に以下のポイントを見直しましょう。
葬儀の費用は、どのようなスタイルを選んだとしても安価とはいえません。そのうえで、一度申し込んだ契約内容に対して、葬儀社がどの程度対応できるのかは葬儀社によって大きく異なります。
加えて、契約後は葬儀費用を全く支払っていなかった場合であっても、解除料金は発生すると想定できるため、法律の専門家などにも相談しておくことをおすすめします。
生前予約・契約の注意点を知ることで、多くの選択肢からどのようなポイントで、葬儀社のプランなどを選択すればいいのかみていきましょう。
契約内容に関しては、契約後でも見直しができるかどうかがポイントになります。
例えば、一般葬で想定していた葬儀を家族と話合いを重ね、家族葬や直葬に変更することができるかどうかは、葬儀会社によって対応が大きく変わるといえるでしょう。
そのため、契約を結ぶ前に契約内容もそのものの見直しが可能かどうかをよく確認することをおすすめします。また、サービスの案内の時点で契約内容の説明が行われることが多いため、注意深く担当者の話を聞く必要があります。
前提条件として、葬儀の生前予約においては、解約金はほぼ発生することが想定できます。トラブルとなりやすいのはその解約金であるものの、最初から葬儀の開催費用に対してどの程度の料金を支払うのかを解説してくれる葬儀社もあります。
そのため、解約金が発生すると想定したうえで、それがトラブルとなる金額なのかについてよく確認しておきましょう。
葬儀の生前契約・予約サービスは、どのような葬儀会社でも解約金が発生することが想定されます。相談ではなく、契約が行われた場合には、サービスを実行するための様々な手数料が発生すると考えられるためです。
加えて、解約金に関しては、葬儀の費用の割合で加算する葬儀社も少なくありません。契約そのものに対して、余りにも高い解約金であった場合は、国民生活センターや法律の専門家に相談が必要です。そのため、契約時には解約金の条件をよく確認することに注意を払いましょう。
葬儀の生前契約・予約サービスと契約する場合、事前に家族に伝えておくことをおすすめします。
注意点として、葬儀は予約をしていたとしても突発的に起こるものです。そして、故人が生前契約を行っていたことを家族が知らなければ、葬儀社との間にトラブルが起きます。
また、以下の点に留意して家族に伝えることでトラブルとなることを防ぐことが可能です。
葬儀の生前契約においては、契約を1人で決める前に相談できる家族がいる場合は、相談を行ってから内容を決定しましょう。そうすることによって、トラブルのない故人の意志を反映した葬儀が可能となります。