我々は昔から、人が亡くなると葬儀を挙げて故人の魂を送り出し、家に設置した仏壇を通して故人の御霊を弔ってきました。読者の皆さんの中にも、ご自宅やご実家に仏壇が置いてあって、線香をあげて手を合わせた経験のある方がいらっしゃるかと思います。
日本の家々の多くには仏壇が置かれているので、身内が亡くなった場合、すぐに仏壇を購入しなければならないと思う人もいるでしょう。しかし急ぐ必要はありません。まずは仏壇そのものや仏壇のマナーについて知識を深め、それから仏壇の購入を検討しましょう。
仏壇の購入時期は、基本的には決まっていません。多くの方が仏壇を購入する時期は、大きく分類すると以下の3つに分けられます。
この項目では、それぞれの購入タイミングについて解説をするため、仏壇のご購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
仏壇の購入には、新規購入と買い替えによる購入の2通りがあります。どちらの場合でも、「購入したい」と感じた場合が購入するのに適したタイミングです。仏壇は、身内の不幸が起きた場合にだけ、購入するものではないため、生前に購入をしても良いのです。生前に仏壇を安置することを「寿院」と呼びますが、仏教の教えでは「長寿が約束される」と言われているのです。仏壇は、ご先祖様に挨拶をする場所のため安置して挨拶をすると、きっとご先祖様も喜んでくれるでしょう。
家を購入した場合などのタイミングに合わせて、仏壇を安置したいと思う方も多いです。引っ越しに合わせて、新しい仏壇を安置することができるため、引っ越し前に購入することをお勧めします。とくに、新しい家に仏壇を設置する計画がある場合は、設計段階で場所を決めておくことで、仏間のサイズに適した仏壇を購入することができます。新しい家に、ピッタリと収まるのは気持ちが良いものです。 また、仏壇を設置する方角なども気になる方が多いと思いますが、転居する際に設置場所を考えておくことで、安心して設置することができます。
身近な人が亡くなり、仏壇が家にないときは、早く購入したいと思うことがあるでしょう。仏壇は、頻繁に買い換えるものではありませんので、焦って購入しないようにしてください。ジックリと検討しましょう。身近な人がなくなった場合、一般的に四十九日を目処に購入することが推奨されています。ジックリと検討したい場合は、一周忌を目処に選んでも問題はないでしょう。大切なご先祖の方を安置する場所になるため、ゆっくり検討して、後悔のない仏壇を購入してください。
仏壇の設置場所に悩んでしまう方もいるでしょう。ここでは、実際に仏壇を設置する場所について詳しくご紹介します。
リビングは洋室のため、モダンな造りの仏壇で合わせやすいものを選ぶと良いでしょう。リビングの床の色と相性の良い仏壇を選ぶと違和感がなく馴染みます。しかし、日当たりの良い窓側へ設置をすると、仏壇が傷んでしまうため注意が必要です。
家族が食事を楽しむ場所に仏壇を設置することは、ご先祖様にとって心地よい場所となります。ダイニングテーブルなどの家具の色と雰囲気に見合った仏壇を選んでみてください。リビング同様で、日当たりの良い場所は仏壇を傷める原因となるため注意してください。
書斎は静かで落ち着いた場所のため、ご先祖様とゆっくりと話すことができます。書斎に設置をする場合は、書斎の部屋の広さと仏壇のサイズのバランスを考慮することがポイントです。
寛げる場所の寝室に、仏壇を設置する方が増えてきています。その理由は、就寝前や起床後にご先祖様に手を合わせられるという理由が挙げられます。寝室に設置をする場合は、部屋の広さや雰囲気に合う仏壇を選んでください。
和室が客間する場所として利用されている場合は、賑やかな場所となり、個室として利用されている場合は寛げる場所となるため、ご先祖様も喜ばれる場所となります。畳の上に仏壇を設置する場合は、畳を傷つけないように、下にカーペットやシートなどを敷きましょう。厚手のシートだと仏壇がグラグラする恐れがあるため、薄手のシートを敷くことをおすすめします。
床の間は、家の中心を意味しており、その家の中で最も重要な場所とされています。このような場所に仏壇を設置すると、ご先祖様は喜んでくれます。また、床の間は仏壇の劣化の原因ともなる直射日光が入り込んでくる心配もないため、安心して安置することができるのです。
仏壇を設置する向きには、大きく分けると以下の3つの考え方があります。
宗派によって違いがあるほか、直射日光などの環境的な要因もありますので、ご自身の宗派や家の間取りなどを考慮したうえで決めてください。
仏教の理想世界である西方浄土を礼拝するために、西を背にして東向きに設置します。浄土真宗、浄土宗、天台宗はこの考えに基づいて、設置する方角を決めています。
仏壇の背を北にして南向きに設置します。直射日光が当たらず、南風も通るため湿気を防ぐことができるので、保存上でも最適といえます。
仏壇の前で合掌して拝む方向の延長線上に家の宗派の本山がある位置に設置します。宗派の本山が京都にある場合、関東の居住者と中国・九州の居住者では向きが逆となります。結果、本山や住む場所によって、東向きにも西向きにも、そして南向きにもなります。
仏壇を購入する場合、ご自身の仏教や宗派を確認して選ばなければいけません。宗派によって、仏壇の種類は大きく異なってきます。もし、ご自身の宗派が分からないという方は、お世話になっている寺院の方へ問い合わせをしてみてください。
宗派 | 本山 | 通称 | 略称 | お仏壇 |
---|---|---|---|---|
浄土真宗本願寺派 | 西本願寺 | お西 | 本派 | 金仏壇 |
真宗大谷派 | 東本願寺 | お東 | 大谷派 | 金仏壇 |
臨済宗 | 妙心寺、南禅寺、建長寺、円覚寺 | – | – | 唐木仏壇 |
曹洞宗 | 永平寺、総持寺 | – | – | 唐木仏壇 |
天台宗 | 比叡山延暦寺 | – | – | 唐木仏壇 |
真言宗 | 高野山金剛峯寺 | – | – | 唐木仏壇 |
浄土宗 | 知恩院 | – | – | 唐木仏壇 |
日蓮宗 | 身延山久遠寺 | – | – | 唐木仏壇 |
仏壇の金額はバラバラですが、価値や値段を決めているのは何なのでしょうか? 仏壇の値段の違いは、品質の違いによるところが大きいです。主な品質の違いとは「工法」「木の材質」「箔と漆の品質」で、ほかにも「彫物と蒔絵の精巧さ」「産地」でも違いがあります。
どのような工法で作られているかによって、品質は異なってきます。通常、主材は芯材に天然の原木を練りつけます。この練り方の工法に「前練り」「二方練り」「三方練り」「四方練り」があります。後者であればあるほど、高級な仏壇です。木目を印刷した塩ビシートを貼り付けたプリント加工された仏壇もあり安いですが、長く使用していると塩ビシートが剥がれてきます。
唐木仏壇などは、木材の材質によって大きく価格が変動します。唐木仏壇は広葉樹を用いていることが多く、黒檀、紫檀、黄王檀、鉄刀木、黒柿などの外国銘木や、国産の欅、屋久杉、桑などの銘木を使用して、素材の木目の美しさを活かした仏壇が高級です。
金仏壇の場合は、金箔と漆の品質が価格に大きく影響します。金箔は、純度と厚さにより値段に大きな差が出るのです。金箔には、細工を施せるように僅かな量の銀と銅が混ぜられており、金の純度が高い順に「1号色」~「4号色」といいます。また、厚さについても、四枚掛、三枚掛、二枚掛、一枚掛とあり、厚いものの方が当然高価となります。 その一方で、漆塗りは高度な技術を要するため、色むらがなく、何度も塗り重ねられたものの方が価値は高く、耐久性が伸びます。
仏壇を購入するときは仏壇だけでなく、仏具一式や産廃のための道具も一緒に購入しましょう。
仏壇と遺書に購入すべき仏具は、以下の通りです。
仏具の他にも、参拝するための道具を用意しなければいけません。参拝するときに使用する参拝道具は、次の通りです。
いかがでしたでしょうか。以上、仏壇の購入に向けてチェックしたいポイントを紹介しました。
仏壇には置き場所や一緒に購入する仏具などのマナーがあります。仏壇は決して安い買い物ではなく、ましてやそう何度も何度も買い換えられるものではないので、しっかりと調べ、考えてから購入されることをおすすめします。