日本の葬儀がは仏式で行われることが多いです。そのため、神道の葬儀の流れを知らない方が多いです。実は、日本で一番古い葬儀は、神道式。神道の葬儀「神葬祭」は、古来の葬儀形式とも言えるでしょう。
今回は、神道の葬儀の中でも「柩前日供の儀」の儀式と、葬儀に使われる「霊璽」についてわかりやすく解説します。
柩前日供の儀は、神道の葬儀の儀式の1つ。毎日、朝と夕方の2回、生前故人が好んで食べていた食物と水を供えます。食物と一緒に、故人が生前に使用していた食器や箸も添えて祀りましょう。故人が納棺されてから、出棺されるまでの間、柩前日供の儀は続けられます。
神道では、故人の魂は霊界に行くのではなく、家の守護神となると考えられています。遷霊祭の儀によって、魂は霊璽に移されるので、それまでの間故人は生きている人と同様に扱われます。そのため、生きている人と同様に食事の準備をする柩前日供の儀があるのです。
霊璽は、故人の魂の依り代となるものです。形状は位牌と似ており、故人の魂が宿ると言う点でも同じように考えられています。
しかし、位牌と霊璽では全く違う点があります。霊璽の場合は、守護神として宿ることになり、普段は目につかないところから家を見守るという姿になります。そのため、位牌とは違い霊璽は質素なものになり、漆塗りのものや、派手な色のものはありません。
遷霊祭で霊璽に故人の魂を移す儀式が行われます。最初の遷霊祭は、通夜祭の中で行われその後十日祭、二十日祭、三十日祭、四十日祭、五十日祭と10日ごとに儀式が行われ、忌明けとなる五十日に、完全に霊璽に魂が宿るとされています。
そのため、正式な霊璽を使うのは五十日祭が終了してからになり、それまでは白木でできた仮の霊璽を祖霊舎に飾ります。
霊璽には、零号が記されます。地域や故人の年齢によって零号の称名は変わりますが、一般的には成人男性には「大人(うし」女性には「刀自(とじ)」子供の場合は「童子」「姫」の文字が使われます。
戒名は生前の名前ではなく、死後につけられた名前であるのに対し、零号は生前の名前を記しそのしたに称名を付与する形となっています。
男性の場合は、「(生前の名前)大人之命」女性の場合は「(生前の名前)刀自之命」と記されます。
故人の霊は、家の守護神となりますが、神棚には神様が祀られているので、神棚ではなく祖霊舎に飾られます。神棚と祖霊舎は対にならないように飾りましょう。どちらかにお参りする際に、どちらかに背を向ける形になるのは良くありません。