最近、花祭壇が注目を集めています。特に、家族葬などの小規模葬儀で花祭壇が利用されることが多いのですが、その理由は何でしょうか?このページでは、家族葬での祭壇の種類や、それぞれの祭壇のメリット・デメリットなどについて解説しています。
仏様や神様、亡くなった故人に供え物を捧げて供養するためのものが祭壇です。そのような広い意味で言えば、自宅に常設されている仏壇も祭壇の一つとなります。
葬儀の祭壇と仏壇を区別するならば、葬儀の時点ではまだ仏様になっていない修行中の身である故人の修行の負担を少しでも軽くしてあげるためにお供えものや花を飾るのが祭壇で、四十九日を過ぎて仏様となった故人の徳を積み重ねるために、手を合わせたりお供えするのが仏壇になります。
葬儀で準備する祭壇は、葬儀会場の中央に設置する大きな祭壇と、四十九日まで故人の自宅に設置する祭壇の二つになります。ここでは、家族葬でよく使われる祭壇の種類について解説します。
葬儀場の中央に飾られるメインの祭壇として使用されることが多いのが白木祭壇です。昔から神事や皇室の儀式で使われており、かつては祭壇は使い捨てがほとんどだったため、燃焼しやすい白木が好んで使用されていたと言われています。
時代が移り変わるのと共に、一般でも利用されるようになり、白木の持つ格調の高いイメージが好まれて、最近では多くの仏式葬儀で使用されるようになりました。
白木の祭壇は、仏式以外の葬儀ではあまり見かけることはなく、仏式特有の祭壇と言えるでしょう。
白木祭壇は葬儀社からレンタルして設置するのが一般的です。サイズの大小によってレンタル費用が変わってきますが、設置の手間がかからないことや、使い捨てではないため、保管していたものを使えるので、他の祭壇と比べて費用が安いというのがメリットの一つになります。家族葬を行う方の中には、葬儀の費用を抑えたいと考える人も多く、白木の祭壇が多く利用されています。
神事や皇室の儀式で昔から使用されている白木は凛としていて格式が高いイメージがあります。中央に白木の祭壇を設置すると、葬儀場のイメージが厳かなものとなるメリットがあります。
葬儀ごとに祭壇を作成するのではなく、他の葬儀で使った祭壇を設置し直す形になり、所謂、使いまわしとなります。どうしても、故人のために祭壇は新しいものがいいと考える方の利用は向いていないかもしれません。
格調が高いイメージがありながら、費用も抑えられるということで白木の祭壇の人気は高いです。多くの葬儀で利用されているので、何度か葬儀に出たことがある人だと、どこかで見たようなありふれたイメージを受けるかもしれません。
一般の葬儀の多くが白木祭壇で行われている中、急激に人気が高まっているのが花祭壇です。花祭壇は文字通り、祭壇を生花で飾り、遺影などを花で囲む形式になります。
昔から葬儀で使われる花は、菊やユリなど白や黄色のものが多かったのですが、最近ではピンクなどの花も取り入れることにより、以前よりも明るいイメージの花祭壇が増えてきました。
通常の葬儀は厳かなイメージを好むことが多いですが、家族葬の場合は身内で集まって、アットホームな雰囲気の中で故人を見送りたいと考える人が多く、式場も厳かな感じよりも、明るい感じを好む方が多いようです。無機質な祭壇に遺影を設置して故人を送るのではなく、様々な生花に囲まれて送られる故人の遺影も心なしか笑顔に見えるかもしれません。
花祭壇には決められたデザインや形式などはありませんので、故人のイメージに合うオリジナリティー溢れた祭壇を作ることができます。
白や黄色の葬儀用の花だけではなく、ピンクや紫の色合いの花で祭壇を飾るというのは、昔からの形式にとらわれない新しい考え方です。身内や親しい人だけで故人を送る家族葬も新しい葬儀の形式とされていますので、家族葬で花祭壇を利用するシーンが増えているのも不思議はありません。
使いまわしをする白木祭壇とは違い、花祭壇は葬儀毎に祭壇を作る必要があります。また祭壇を飾る生花も一度使ったものは廃棄してしまうので、祭壇の費用は白木祭壇と比較すると高くなります。
花祭壇のベースとして、白木祭壇を使用している場合は、白木祭壇の費用にプラスして生花の費用や祭壇設置の費用がかかります。
白木祭壇はどこの葬儀社でも利用することができますが、設置の手間がかかる花祭壇は、葬儀社によっては対応してなく、プランに入っていないこともあります。そのため、家族葬を行う場合は、花祭壇に対応できるかどうか事前に確認する必要があります。
白木祭壇ならば、基本プラン内にある祭壇のサイズを指定するくらいなので、祭壇についての打ち合わせ時間はそれほど多く必要はありませんが、花祭壇の場合は、どんな花を使うのか?祭壇全体のデザインはどのように仕上げるかなど、打ち合わせをする時間が必要になります。
花祭壇のオプションがある葬儀社であれば、過去のケースなどを参考にしてデザインなどを提案してくれることもありますが、ある程度、自分の中で花祭壇のデザインをイメージしておかなければ、打ち合わせなどにかなり長い時間を取られてしまうことになります。
神式祭壇は、神道の葬儀で使用される祭壇です。
白木の祭壇を用いることが多いですが、最近では生花でデザインした祭壇もよく見られるようになりました。仏式との大きな違いは、神道の祭事でかならず必要になる三種の神器「勾玉」「鏡」「刀」が祭壇に供えられているところです。
通常、神式の祭壇は装飾がほとんどされていない、シンプルなものが用いられます。そのため神道ならではの、厳かなイメージがあります。
神道では、三種の神器など祭壇に供えなければならない決まり事がおおいため、祭壇は通常の白木祭壇よりも費用が高くなってしまうことが多いです。
日蓮正宗の葬儀で使用される祭壇は、祭壇に飾る供花や装飾など全てが樒によって飾られています。
数日で枯れてしまう仏花などを置かず、強い生命力がある常緑樹の「樒」で飾られます。樒で飾られた祭壇は華やかさはありませんが、日蓮の教えである「質実剛健」のイメージを忠実に表した祭壇と言えるでしょう。
白木祭壇と比較すると、日蓮正宗の祭壇を利用するケースはかなり少なくなります。そのためベースは白木祭壇を利用するとしても、樒などで装飾するための料金が上乗せになるため、費用は高くなってしまいます。
祭壇で使用するのは「樒」と決まっているので、仏花などをお供えしたり、故人の好きだった花を供えることができません。
キリスト教の葬儀で使用される祭壇は、カトリックとプロテスタントで若干の違いはありますが、共通しているのは中央に十字架を配置することです。
仏式で多くみられる白木などの木材で作り上げるのではなく、生花を使った祭壇が多いのもキリスト教祭壇の特徴になります。
キリスト教祭壇は、白木祭壇のように大きなサイズのものを利用することはあまりなく、比較的小さくてシンプルな祭壇で葬儀を行うことが多いです。生花を使いますが、祭壇自体が小さいので、白木祭壇よりも費用が安い場合もあります。
葬儀が多様化しており、大手の葬儀社であれば、当然キリスト教の葬儀にも対応していますが、全ての葬儀業者がキリスト教の葬儀に対応しているわけではありません。コストを重視して葬儀社を選んだ場合、キリスト教祭壇に対応しておらず、別料金を請求される可能性がありますので、注意する必要があります。
宗教に縛られない葬儀形式のオリジナル祭壇も最近増加しています。
オリジナル祭壇は、生花によって自由に祭壇をデザインするものなので、花祭壇と似ている部分はありますが、花祭壇の場合、ある程度の形式やデザインが決まっているところに花をえらんでいくという形になり、オリジナル祭壇は、祭壇という形にとらわれずに最初からデザインを行っていくというものになります。
そのため、より故人のイメージにあった祭壇を作り上げることができます。
祭壇の大きさによっては、かなり生花の量が必要になりますので、白木祭壇などと比較すると料金は高くなります。また、通常の祭壇よりも作成するのに人手が必要な場合も多いことから、人件費についても料金が加算されることが多いです。
オリジナル祭壇で葬儀を行う場合、どのような祭壇にしたいか自分でイメージしておく必要があります。通常、葬儀は亡くなられた日の翌日が通夜になりますので、すぐに祭壇の作成に当たらなければ時間的に間に合わなくなります。
オリジナルの祭壇を希望する時は、葬儀の直前ではなく、生前葬の予約をしたり、予めどのような祭壇ができるのか?自分のイメージしている祭壇は可能か?などの確認をしておくのがいいでしょう。
家族葬を希望される方の多くは、葬儀費用を抑えたいため、祭壇のコストを重視する方が多いですが、それ以外にもどのようなポイントを重視して祭壇を決めるのがいいのでしょう?
通常の葬儀の場合、参列される方が多いということがあり、しきたりが重視されることが多いです。宗派があるならば、宗派のしきたりに従って祭壇を選ぶ必要がありますが、家族葬の場合は、参列される方が身内やごく親しい知人のみになりますので、宗派についてはそれほど拘る必要はないでしょう。
親しい人に囲まれてアットホームな雰囲気で故人を送りたいのであれば、故人のイメージで作られたオリジナル祭壇を利用するのも参列者にも故人にも喜ばれるのではないでしょうか?
オリジナル祭壇で故人を送ることを決めたときに、難しいのは自分の持っているイメージを、葬儀社やデザイナーに伝えることです。イメージを確実に伝えてオリジナル祭壇を作るならば、言葉で伝えるだけでなく、画像資料などを集めて、イメージ通りのオリジナル祭壇の作成をお願いしましょう。
祭壇に供えるためのお花の供花代が送られてくることも多いです。通常、供花は祭壇に供えるユリや菊などの生花や、花輪として供られるものですが、花祭壇を利用する場合、業者に予め供花料を祭壇を作る際に利用する生花にして欲しいと伝えることで、祭壇作成の際の生花料金がカバーできる場合もあります。
花祭壇の人気が高まっている理由の一つに、葬儀自体が家族葬のように小規模化していることがあります。
大きな葬儀だと、故人の個性や遺族の思いよりも、形式を重視することが多く、祭壇も無難な白木祭壇を使う傾向が多くなりますが、家族葬などの小規模葬儀では、形式よりも、故人の個性を重視したり、遺族の思い出に残る葬儀を希望する人が多いです。
使い回しで無機質な白木祭壇よりも、オリジナリティーが溢れ、暖かみのある生花に囲まれた花祭壇で故人を送りたいと思う方が増えています。
花祭壇は自由にデザインできるのが特徴ですが、葬儀にピンクなどの華やかな色はちょっと・・・と感じる方におすすめなのが、ユリなどの白い花を基調にした白とグリーンの祭壇です。白とグリーンの生花に囲まれた祭壇は凛としたイメージを与えてくれます。
家族葬で人気が高いのが、生花と灯りで祭壇を飾るモダン風な祭壇です。生花をライトアップすることで、祭壇が明るく華やかなイメージとなります。
ゴルフが好きだった故人には、ゴルフクラブを模した祭壇、車が趣味だった方には車の形に生花を飾るなど、自由なデザインができるのは花祭壇ならではです。