少子高齢化による継承者の減少にともなって、お墓の管理という問題が浮上しています。管理する人がいなくなった墓は無縁墓といわれ、撤去されてしまう可能性があります。
墓じまいとは、お墓を処分してしまうこと。まだ管理する人がいる間に、遺骨を引っ越ししてしまうのです。墓じまいをすることによって、どのようなことになるのでしょうか。また、墓じまいをするためには具体的に何をすれば良いのでしょうか。こちらの記事で解説します。
繰り返しになりますが、墓じまいをする背景には、それぞれの理由がありますが、大きな理由として挙げられるのは「お墓の承継者が途絶えるから」「経済的に維持できないから」「遠方に住んでいて管理が難しいから」です。それぞれの理由を解説します。
少子高齢化社会や未婚者の増加に伴って、承継者が途絶えるという問題があります。現在は、子供がいない家庭も多くて、将来的にお墓を管理する人がいなくなるため、墓じまいを選ぶ人が増えているのです。
お墓の維持や管理には費用がかかります。毎月数千円から数万円の管理費が必要で、法事でも数千円から数万円など、毎年費用がかかります。これらの費用を負担するのが厳しいという理由で、墓じまいを選ぶ人が増えています。
地元を離れて暮らしている場合は、近場の墓地や霊園などに移すこともあるでしょう。また、遠方に住んでいて、日々の仕事や生活に追われてしまう人も多く、お墓の管理に悩む方は多いようです。
お墓の継承者がいなかったり、維持費が負担になっていたり、遠方に住んでいて管理が難しい場合に墓じまいという方法がとられる。
無縁墓になると、寺院や霊園などの管理者が墓を管理することになります。また、無縁墓なのかどうかを、管理者は勝手に判断することもできないため「維持費や管理費が何年間も未納状態である」「雑草などの手入れがされていない」「誰も供養に訪れていない」と分かった時点で、墓地に立て札を立てたり、官報に掲載するなどしたりして、縁故者からの連絡を待ちます。その後、1年経過しても連絡が来ない場合には無縁墓と判断されます。
無縁墓と判断されたら、管轄の自治体へ改葬許可の申請を行い、許可が出た時点で撤去に移ります。このときの撤去費用は、寺院や霊園の管理者が負担することになるため、撤去後の遺骨は、他の方の遺骨と合葬されることがほとんどです。
維持費などの未納や手入れがないなどで無縁墓と判断されると、許可が出た時点で撤去が始められる。無縁バカが撤去された後は、遺骨は他の遺骨と合葬されることが多い。
高齢化に伴い、墓じまいする方が増えています。墓じまいする理由は檀家として経済的負担が大きいというより、少子化による墓を守する承継者が途絶えてしまうことが主な理由です。計画的に墓じまいしなければ、無縁墓として撤去されてしまい、他の遺骨と混ぜる合祀墓行きとなるため注意して下さい。
墓じまいをするときは、具体的に以下のような手順で進めていきます。
お墓の中には、ご先祖の遺骨が入っていますが、誰の遺骨であるのか、大きさ、経過年数、状態を確認して下さい。骨壷に名前が記載されていない場合は、マジックを使用して名前を書いて下さい。
墓じまいをする理由は墓守する承継者が途絶えてしまうことが要因のため、管理しなくて済む方法を選択しなければいけません。管理をすべてお任せできる寺院や霊園を選ぶか、散骨するのかを選びます。
ご先祖様の遺骨が眠るお墓を墓じまいする際に、親戚同士の意見をまとめて置かなければトラブルが発生します。本当に墓じまいをして良いのかをシッカリと話し合いましょう。墓じまいの同意を得て、書面化しておくとトラブルを防止することができます。
墓地のある寺院や霊園の管理者に墓じまいする旨を連絡します。専用の申請書が用意されているため、インターネットか電話をして申請書を取り寄せます。
改葬許可申請の手続きを行い、寺院や霊園から許可証をもらいます。墓じまいをした後に散骨する場合など、新しい墓がない場合は遺骨を受け渡しを断られてしまうこともあります。その場合は、住職の方を根気強く説得して下さい。改葬許可申請手続きをして、受入証明書を発行してもらったら、墓じまい先の寺院や霊園に提出します。
墓の撤去業者は墓石屋になります。寺院や霊園の敷地が狭い場合は、指定業者が決められている場合があるため、確認して下さい。撤去業者の依頼費用は平米あたりで見積書が出てきますが、重機が入れないなどの条件がある場合は、基本料金に追加料金が発生します。そのため、1社の撤去業者から見積書を取得するのではなくて、複数の業者の見積書を取得してみて下さい。
墓石屋に墓の中にある遺骨を取り出してもらいます。お墓の中にある遺骨は湿気を含んでいて、カビが生えている場合もあります。殺菌をして新しい骨壺に入れて下さい。
遺骨を取り出して、撤去した墓地は更地にします。
墓じまいは、ご先祖様の遺骨を動かすため、非常にデリケートな問題です。墓じまいにかかる費用を基準に業者を検討するのは危険と言えます。ここでは、どのような業者があるのかをご紹介します。
墓じまいをする理由としては、承継者がいない場合や遠方に住んでいてお墓の管理が難しくなったことなどが挙げられます。墓じまいをする方が良いのか、お墓を引っ越しした方が良いのか、今後を決めかねるという場合に相談を乗ってくれる業者もあります。 墓じまいを本当にするべきなのか悩んだ場合は、まずは専門家のアドバイスを聞いてみることもオススメです。
近頃は、お墓参りの代行を実施してくれる業者もいます。1回15,000円で、お墓の掃除や献花、お墓参りを実施してもらえるのであれば「お願いしたい」という方もいるのではないでしょうか?このように、さまざまなお墓の管理方法があるので、まずは相談をしてみて下さい。
墓じまいをする理由は、各家庭で事情は異なります。また、時代の変化と共に樹木葬や海洋葬を選択する人も増えてきました。このような選択肢がある業者を選ぶことによって、希望する条件に柔軟に対応をしてもらえるでしょう。
また永代供養にも、個人・合祀・夫婦永代供養墓などさまざまなスタイルがあります。さまざまなプランが用意されている業者を選べば、希望に沿った墓じまいが行えるはずです。
墓じまいやお墓の引っ越し(改葬)は、法的な手続きを伴うため、初めて手続きをする場合は分からないことだらけです。 市役所で改葬許可申請書を提出して、併せて移転先の墓地から「受け入れ証明書」を受け取るなど、手続きには結構な時間と労力が必要です。寺院や霊園によっては書類上だけでは済まない駆け引きなどもあり、墓じまいを良く思わない寺院の場合は、住職を説得するのも一苦労です。
このような煩雑な手続きをサポートしてくれる業者を選ぶことによって、スムーズに墓じまいの手続きを進めていくことができます。故人を弔う気持ちを優先した手厚いサポートをしてくれる業者を選んで下さい。
墓じまいの費用は、想像を超えて高い金額となります。お墓から取り出した遺骨をどのように取り扱うのかによって、費用も変わってくるので注意して下さい。基本的には、1㎡いくらという費用計算をしますから、墓じまいの費用の大きさに応じて数十万円から数百万円までの幅があります。 永代供養墓に遺骨を移せば、永代供養の費用が別に発生しますし、散骨を選んだ場合や樹木葬を選んだ場合でも、費用はかかるのです。それぞれ、どれぐらいの費用が発生するのかは確認しておきましょう。費用は、親族で話し合い平等に負担するのが一般的です。
永代供養の費用は、新しくお墓を建てる場合と以前から使用しているお墓を移動するだけの場合では異なります。また、合祀での永代供養の仕方があります。この合祀による永代供養であれば、費用も大分抑えることができるでしょう。寺院や霊園によって、各自の相場があるため、一概に費用がいくらなのかは記載できません。気になる寺院や霊園に問い合わせをしてみて下さい。
墓じまいをして、遺骨を散骨する海洋供養を選ぶ人も増加しています。散骨事態の費用の目安は20,000円~40,000円程度で散骨が可能です。業者にすべて依頼しておけば、遺骨の散骨の準備まで行ってもらえます。
遺骨の一部を手元供養として、加工したりそのまま小さな骨壺に入れて、供養する手元供養の方法もあります。ペンダントに遺骨の一部を納めて身に付けたり、加工をしたりして宝石にする方法もあります。
合祀による永代供養なら、費用も大分抑えることができる。寺院や霊園によって相場は異なる。海洋散骨の場合は20,000円~40,000円程度が相場。手元供養という方法もある。
いかがでしたでしょうか。今回は墓じまいの方法や無縁墓についてのお話をしました。
先祖を祀るお墓の問題は非常にデリケート。計画を立ててしっかり行わないと思わぬトラブルが発生する可能性があります。墓じまいにかかる費用も、場合によってさまざま。よく話し合いをして、計画を立てて行いましょう。