霊園や墓地に建てられるお墓は、形状から和型と洋型に分類されます。代々、引き継がれるお墓を建てる場合には、見た目にもこだわりたいものですね。そのためにも、お墓の構造について理解をしておきましょう。この記事では、和型墓石の構成要素について分かりやすく解説します。
和型墓石は、直方体の石材を積み重ねた縦長のお墓が主流です。4段の墓石が積みあがっています。また、備品として水鉢や花立て、香立て、卒塔婆立てなどが付けられます。墓地のスペースが広い場合には、墓誌や物置台が設置されることも多いです。
和型墓石の本体を構成する要素は、下から「芝台」「中台」「上台」「棹石」の順番に積み上がっています。
芝台(げだい・しばだい)とは、お墓の石塔部分の一番下に位置する石のことをいいます。基本的には、石塔部分の同じ石材が使用されますが、墓石を長持ちさせるために、吸水率の低い石を選ぶ方も多いです。お墓によって、芝台を付けるか付かないかを決められます。
芝台を付けると、石塔部分の背が高くなり威厳が生まれて、雨水や土汚れから墓石を守ることができます。しかし、背が高くなると掃除がしにくいというデメリットも発生するので注意しましょう。
中台(ちゅうだい・なかだい)とは、骨壺を納めるスペースの上に位置する石のことをいいます。和型墓石は上から「天・人・地」という名称で呼ばれており、中台は「地」に該当します。地は、財産維持という意味合いがあるため、家紋などが彫刻されることが多いです。
上台(じょうだい)とは、棹石を支える役割を担う石のことをいいます。上台は「人」に該当し、中台と同様に家紋が彫刻されることが多いです。
棹石(さおいし)とは、お墓の一番上の石のことをいいます。「〇〇家之墓」や「〇〇家之先祖代々之墓」や「南無阿弥陀仏」などの文字が書かれています。従来は、このような文字が彫刻されておらず、戒名が刻まれていました。
和型墓石は、本体以外にも備品が取り付けられています。
境界石は、別名で「外柵」と呼ばれており、隣の墓石との境をハッキリとさせるために敷きます。また、雨が降った際に地盤の崩れや流水を防止してくれるなどの重要な役割を担います。
お墓に埋葬されているご先祖様に水を供えるための器です。四角形の石材の上部にくぼみが掘られています。くぼみの深さにルールは定められていませんが、5mm程度~数センチが一般的な深さです。
仏教の教えでは、ご先祖の霊魂は食べ物を召し上がりません。線香の香りと水が食べ物になります。そのため、ご先祖様にお水を飲んでもらうために水鉢を設置しましょう。
花立ては、文字通りで、花を供えるための墓石をいいます。花立ての穴が小さかったり、水抜き穴が無くて汚れた水が溜まりやすかったりなどの問題も起きやすいです。ご先祖にキレイな花を供えるためにも、花立てにこだわりましょう。
ご先祖様の霊魂は、線香の香りと水が食べ物になります。そのため、香立てを設置しましょう。香立ては、線香を立てるタイプと寝かすタイプの2種類があります。
線香を立てるタイプが主流ですが、野外で雨が降ったときに、濡れて固まってしまうというデメリットがあります。寝かすタイプであれば、線香の灰が落ちる心配もありません。好みの問題もあると思うので、どちらが良いかを検討してみましょう。
故人を供養するために、お墓の後ろに木の板「卒塔婆」を立てます。卒塔婆は、追善供養(亡くなった方への供養としておこなう善行)で立てるものですが、お墓の後ろに卒塔婆立てが設置されることが多いです。
墓地が広い場合は、墓地と備品の他、墓誌が建てられることも多いです。墓誌は、そのお墓に納骨されている故人の名前や戒名、没年月日、享年や行年などが彫刻されています。また、空いたスペースを有効活用して、お墓参りの道具が保管できる物置きを設置する方もいます。