少子高齢化が急速に進んでいる日本では、お墓の継承が大きな問題になってきています。そうでなくとも、伝統的な価値観が変わっていたり、そもそも経済的負担が大きいからといった要因で、お墓の形も変わりつつあります。
共同墓地というと、会ったこともない人たちと一緒に葬られてしまうといったイメージがある方もいらっしゃることでしょう。しかし今後共同墓地の利用は増えていくと思われます。この記事では共同墓地についてのポイントを説明していきます。
共同墓地とは、個人のお墓ではなく、石碑や供養塔などの広い地下納骨スペースなど、共同で骨壺を納めるタイプのお墓のことをいいます。別名では「集合墓」「合葬墓」「総墓」などと呼ばれ、2003年頃から全国に少しずつ拡大してきました。
近頃では、後継者がいない夫婦や未婚者の方など、多くの方が共同墓地を検討し始めています。 以前の共同墓地は、地域で自然発生的に生まれた墓地という意味合いが強かったのですが、現在は、かつての意味とは全く異なる意味を持ち、コミュニティという新しい意味が含まれています。
地域の方が共同で管理や運営を行う墓地のことを共同墓地といいます。そのため、別名では「集落墓地」や「村墓地」と呼ばれていました。
1948年に制定された「墓地、埋葬等に関する法律」の以前からあった共同墓地に関しては「みなし墓地」と呼ぶこともあります。この墓理法という法律が誕生をしてからは、行政から許可を取得しなければ、墓地を造ることは許されなくなったのです。このような理由により、この法律以前にある墓地を「墓地とみなす」という意味で「みなし墓地」と呼ぶようになりました。 地域で自然発生的に生まれた墓地は、それぞれの地域色を持っています。
また、地域の人たちで管理や運営を行うため、各人の住まいから通える範囲に墓地が多いです。
コミュニティとしての意味を持つ共同墓地が、2010年頃から急速に広まりを見せています。石碑や供養塔などの広い地下納骨スペースなど、共同で骨壺を納めるタイプのお墓のことを言います。
墓地と言えば、先祖代々受け継がれるお墓に入るのが一般的でしたが、未婚者の増加や子を持たない夫婦などの増加によって、共同墓地を希望する方が増えてきました。先祖の墓に入る必要はなく、友人同士で入れたり、ペットと一緒に安らかに眠れるというメリットがあるため、近頃は注目を集めています。
また、最近では介護施設のコミュニティで共同墓地のコミュニティが築かれていたりもするのです。 また、納骨方法もさまざまです。個人の遺骨を骨壺に入れる方法と、複数の人の遺骨を混ぜて納骨する方法もあれば、一定期間は個人の遺骨を骨壺に入れて納骨し、その後に混ぜて納骨するという方法があります。
共同墓地は、骨壺を共同で納めるタイプの墓地を指す。地域で自然発生的に生まれたもののほか、ここ10年ほどで新しく登場したコミュニティとしての共同墓地もある。
一般的なお墓を購入する場合と比較すると、共同墓地は次のような特徴があります。
一般的なお墓を購入する場合は約200万円の費用が必要です。また、お墓を管理してもらうための管理料5千円程度を寺院に支払わなければいけません。
その一方で共同墓地は約10万円程度で契約できます。寺院や霊園などによって、契約金額は変動しますが、高い場合でも50万円程度でしょう。永代使用料をまとめて支払えば、管理費を支払う必要もありません。
共同墓地が安い理由は、1つのお墓を複数の人で利用するからです。近頃では、老人ホームのコミュニティ名を付けた共同墓地に入る人も増えています。また、中には「墓友」と呼び、死後に同じ墓に入るのを前提として友人たちと墓を建てる人が増えています。愛犬や愛猫などのペットとも同じ墓に入るのも可能です。
共同墓地は、お盆やお彼岸などの供養祭で、まとめて供養されることが多いです。大抵の墓地では、個別の法要は行われません。一般的なお墓の場合で檀家である場合は、年忌法要の案内が届いたりしますが、そのような頼りも基本的は届きません。個別の法要をしなくてもいいと思えない方は注意が必要です。
一般的なお墓の場合は、家族がお墓をお参りして草むしりをしなければ、荒れ地のような状態になってしまいます。これに対して、共同墓地は、寺院の方が管理をしてくれるため、手間が省けます。
お彼岸やお盆の特には合同供養が行われるため、家族の都合が悪くて墓参りに帰れないという場合でも安心です。また、他の方も合祀されているため、墓地には常に花が手向けられていることでしょう。
一般的な墓地の場合は、駅から離れている場所にあったりして、お墓参りに行くのに一苦労ということも少なくありません。しかし、共同墓地は多くのご遺族の方が参拝に来るため、比較的立地が良い場所にあることが多いです。また、駅などから離れている墓地の場合でも、駐車場が完備されています。
共同墓地にかかる費用は、墓地を使用するための「使用料」と、その墓地を管理するための「管理費」です。使用料と管理費をまとめて「永代供養料」として納めるところもあります。さまざまな形式の墓地があるため、自分の予算に合うものを選びましょう。
使用料とは、墓地を使用するための費用です。公営墓地の場合は、数万円で使用できる墓地もあります。民営の場合は、公営よりも使用料は高額となりますが、手入れなどが行き届いた手厚いサービスを受けられます。寺院の墓地の金額は高いという印象がありますが、共同墓地であれば安くするという寺院もあるようです。しかし、実際の費用が分かりづらいという悩みも多く上がっています。このように寺院に使用料が記載されていない場合は、直接聞いてみましょう。
管理費用は、地域よって大きく異なります。民営の場合は、公営より費用が高くなり、10万円以上する墓地も多いです。また、金額だけではなくて支払い方法についても確認することをおすすめします。
共同墓地に悪化る費用は使用料と管理費用に分けられるが、この2つをまとめて永代供養料としている墓地もある。一般的に、民営の墓地は公営のものより費用が高い。
ここでは、共同墓地の特徴について解説します。
共同墓地のメリットとしてあげられるのは、主に以下のような点です。
一般的なお墓を建てる場合は、150万円から200万円ほどしますが、多くの割合を占めているのが墓石代です。共同墓地の場合は墓を建てなくて済むため、墓石代をかけずに済みます。その結果、50万円以下で済ませられるのです。金額は各自治会によって異なるため、明確な統計が取れるわけではありませんが、比較的、費用は安い傾向があります。
地域の人が力を合わせて管理をすると決めた墓地なので、住宅の近くにあることが多いです。そのため、お墓参りがしやすい場所にあります。基本的には1つの自治会に1つの墓地が用意されているため、家から歩いてお墓に行けたり、自転車でもお墓参りできる距離にあります。また、駅から離れている場合でも、広い駐車場が完備されているため、お墓参りがしやすいです。
共同墓地の所有者は、地域住民の方達です。そのため、お墓参りの定期的な清掃をすれば、そのままご近所付き合いができます。地縁を広げていくという意味では非常に良いでしょう。
共同墓地には、以下のようなデメリットがあります。
現在の墓埋法では、墓地経営は地方自治体、公益法人、宗教法人に限定されているため、新しく共同墓地を新設は基本的には少ないです。家の近くに共同墓地があり、席が空いていれば取得できますが、販売自体がそもそも少ないため、希望しても入れないこともあります。そのため、共同墓地を契約したいけれど、契約できずに悩む方も多いです。
ご近所付き合いを好む人の場合は、共同墓地を契約することでお付き合いが増えることはメリットになりますが、人付き合いが苦手な方はご近所付き合いを苦痛に感じてしまうでしょう。 「あそこの人はお墓の掃除ができない」「あの人が持ってきたお花は枯れていた」「あそこの人は、なかなかお墓の様子を見に来ない」と呈されます。
また、共同墓地の工事をする場合は、利用者全員の合意のもと行わなければいけません。そのため、工事の話し合いを開始しても、思うように話がまとまらないということも良くあります。話し合いには参加をしなければいけないため、ご近所付き合いをしなければいけません。
実際に共同墓地が向いている人は次のような人でしょう。
近頃は少子高齢化社会で、お墓の後継者いなくて悩んでいる人がいます。後継者がいなければ、お墓の管理ができません。しかし、共同墓地を選択すれば、寺院や霊園の方が管理や供養をしてくれます。供養は半永久的なもののため、後継者がいない場合でも供養されないという不安を抱かずに済みます。後継者がいなくて、夫婦が亡くなった後のお墓の管理に悩んでいる方は、共同墓地が最適です。
また、近頃では生涯未婚のままの人も増えてきており、そのような方からも共同墓地は注目されるようになってきました。
一般的なお墓を建てる場合は、約200万円かかります。これらの費用は墓石代が多くを占めると説明した通りです。このような一般的なお墓と比較をすると、共同墓地は10万円程度で済むため、お墓にお金をかけれないという方には最適です。
共同墓地には、さまざまな人が眠っています。また、希望すれば愛犬や愛猫などのペットと一緒に眠ることも可能です。天国にいっても大勢の人と賑やかに楽しく過ごしたいとお考えの方は、共同墓地が向いています。
いかがでしたでしょうか。今回は共同墓地の特徴や費用ついてのお話をしました。
共同墓地は、伝統的な価値観が崩れ始めた現代において新たに注目を浴びるようになった墓地です。多くの価値観が許容差されるようになり、人生最期のかたちも多様化してきました。
共同墓地に入ることを検討しているなら、近くの墓地に行って話を聞いてみるのも良いでしょう。メリットとデメリットや費用もしっかり吟味して、満足のいく形になるようにしてください。